2011/08/05

ミュリエル・スパークと Poptones

Potobello Road by liliane callegari
Potobello Road, a photo by liliane callegari on Flickr.

先日の Poptones に関する記事、ちょっと書き足りなかったので補足します。

歌詞に出てくる次の部分に注目。

This bleeding heart
Looking for bodies
Nearly injured my pride

字面だけ追って訳すと「血を流す心臓が死体を探し求め...」ってなるんだけど、bleeding heart というのは辞書にも載っている通り偽善者を意味するのね。テレビで何かの事件がある度「たいへん心を痛めてます」ってコメントするような連中のこと。で、少女の幽霊は Nearly injured my pride、危うくプライドが傷付きそうになったって言うの。

変でしょう?おかしいでしょう?この少女の幽霊は自分が殺されたことやその犯人よりも、白々しい同情を寄せる連中に腹を立ててるのよ。その白々しさを象徴するのがカセットから流れるポップソング、ポップトーンってわけ。

このひねくれたユーモア、いや人間案外そうゆうもんだよ、馬鹿だよねーって感じ、これすごーくミュリエル・スパーク(Muriel Spark)の小説に共通する部分なんですよ。彼女の作品「ポートベロー通り (The Potobello Road)」や「棄ててきた女 (The Girl I Left Behind Me)」などに通じるものがあります。

スパーク作品の日本語訳はほとんど絶版なんだけど、「棄ててきた女」は2007年発行の「異色作家短編集」という本に収録されているので今でも入手しやすいはずです(ただしわずか数ページの作品ですけど)。

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