2011/08/21

こわくないよ、ジョニーおじさんだよ、きみの味方だよ (Psychopath - パブリック・イメージ・リミテッド)

PiL @ Benicàssim by fiberfib
PiL @ Benicàssim, a photo by fiberfib on Flickr.

サマーソニック 2011 の大阪、東京への出演、そして新木場スタジオコーストでの単独公演と8月13日から3日間連続でおこなわれた PiL (Public Image Ltd.)の来日コンサートはすべて無事終了しました。Twitter などネット上にもこれらのコンサートに行った人たちの声がたくさん寄せられています。ジョン・ライドン(John Lydon)に関する評価をオラが独自に手法でまとめたところ、多かった声の上位三つは次のような結果になりました。

  • かっこいい!
  • チャーミング!
  • すごい声!

さらにこれらの結果を一言でまとめると「ジョン・ライドンはかっこいい!」です。

普通ではあり得ないことです。太鼓腹で前歯の1本抜けた55歳のおっさんが手鼻を飛ばしながら歌うのを見て「かっこいい!」ですって?認めたくない人も多いでしょう。ですが、アイムソーリー、あいにくこれは事実です。

おそらくは「かっこいい!」と言った人たち自身、自分が実際に目にするまでは信じられなかったはずです。でも今のジョン・ライドンが歌う姿は信じられないほどかっこいいんです。この事実が多くの人たちに認められたことをオラはうれしく思います。また今のジョンを「かっこいい!」と感じ、そう表現できる人が日本にもたくさんいることを、オラは誇らしく思います。

音楽はずっと変革を叫ぶ抵抗の音であり声だったし、もちろん今もそうだ。

他人のボディ・ランゲージを読み取る能力というのは、人間にとって最も大事な能力なんだ。今じゃいくらでも好きなだけ長い時間ネットの世界で暮らせるが、それだけじゃ人間が本来持ってるこうした能力を高めることはできない。ま、インターネット上のポルノはまた格別だけどな。

俺たちとオーディエンスの間にはすごく特別な絆があるんだ。(PiL のコンサートでは)自分自身を自由に解き放つんだ。それがたとえ三本足のロバみたいな踊りだったとしても恥ずかしがることなんかない。むしろそれこそが重要なんだ。

宗教的な体験に近いとも言える。それはすごく親密な空間で、自分のそうした体験を別の人間と共有するところなんだ。生きてることを讃える場であり、これこそが PiL の真髄だ。

パンクはネガティブなものじゃないし、そうであったこともない。PiL はパンクを進化させたものだ。PiL はあらゆるアプローチを可能にする。きちんとした曲の形式に沿って演奏することもあれば、そんなものを放り投げてしまうこともできる。

パンクはかくあるべしという考えに従う必要はない。パンクは形を持たない。それはあんたが正直に、誠実に、敬意を持って表現するなら、あんたが望むどんな形にもなりうる。

John Lydon - A Reluctant National Treasure

中には自分をうまく表現できない子もいますが、そんな子だってジョニーおじさんは見捨てたりしません。

ずいぶんおとなしいな。こわがってるの?大丈夫だよ、ジョニーおじさんだよ。きみの味方だよ。

‘Uncle Johnny’ brings the party to Preston

本日紹介する曲は1997年にジョン・ライドン名義で発表したアルバム「Psycho's Path」に収録されている曲「Psychopath」です。最終日の新木場ではこの曲も演奏されました。

「Psycho's Path」がスタジオ・アルバムとして現時点でのジョンの最新録音です。つまり14年間新しい作品は出ていないんです。本人はアルバムも作りたいし、ツアーもしたかったのにそれが不可能だったんです。レコード会社って、一体何が仕事なんでしょう?

ピエロの恰好をしたサイコパスが俺の中にいる
俺を引きずり込もうとしている

俺はそいつに身を委ねた

空の上に辿り着くと
悪魔と天使は俺を無視して通り過ぎて行った

俺はそいつに身を委ねた

溺れる者のように、藁をつかもうともがく
手にしたのは見えない条項が書かれた契約書

俺はそいつに身を委ねた

もう逃げられない
ピエロの恰好をしたサイコパスが俺の中にいる
俺を引きずり込もうとしている

「いったいどんな気分だい?」
友人たちが話すのは、そんなくだらないことばかり

俺が手に入れたものは
誰かの指図でそうしたわけじゃない
俺がまだ手にいれてないものが
俺に必要なもの

俺はそいつに身を委ねた

俺ができる最もおぞましいことは
お前にこの身体を差し出すこと
俺ができる最もおぞましいことは
お前にこの身体を差し出すこと

俺はきみにつきまとう
吹き出物のように
ブードゥーの呪いのように

俺はそいつに身を委ねた

俺がまだ手に入れていないものこそ
信じるに値するもの

多くの無意味なこと
多すぎて区別できない
多くの現実と虚構の混濁

俺がまだ手に入れていないものこそ
俺が欲しいもの

ピエロの恰好をしたサイコパスが俺の中にいる
俺を引きずり込もうとしている

罪の中に浸っていたい
心の落ち着く場所がない
俺の頭の中にあるもの
俺が言ったこと
俺がすること
奴らは俺を糊みたいにはりつけ
身動きが取れないようにする

俺ができる最もおぞましいことは
お前にこの身体を差し出すこと
俺ができる最もおぞましいことは
お前にこの身体を差し出すこと

亡霊たちが引き起こす頭痛
俺に棲みついている寄生虫
奴らが頭の中を走り回っている

俺ができる最もおぞましいことは
お前にこの身体を差し出すこと

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