2012/10/14

俺にとっては歌うことも議論なんだ - This is the story of Johnny Rotten

10月から今年の PiL ワールドツアー後半戦、アメリカとカナダでのツアーが始まっています。わずか1ヶ月の間に20ヶ所でライヴを行います。連日毎回2時間以上のライヴです。これがどれほど超人的なことか、去年の来日ライヴや4月の Heaven でのライヴ DVD を見た人ならわかると思います。

レッド・ツェッペリンなら2時間やっても実際にロバート・プラントが歌ってるのはその3割くらいの時間に過ぎません。でもジョニーは違うんですよ。2時間以上、本当に全身全霊で、目いっぱい休みなく吠え続けるんです。どうしてあんなことを毎日のようにやって喉をつぶさないのか、本当に不思議です。心配になってきます。でも YouTube に上がってくる各地でのライヴの様子を見ると、相変わらずの全力投球でまったく加減してません。

それだけでなく、ツアーの合間には数多くの音楽サイトのインタビューを受け、サイン会までやってます。つい先日はアル・ゴアが会長を務める民主党系メディア Current TV に出演、インタビューの冒頭でオバマ支持を明言して、反オバマな人たちから盛大に叩かれたりしています。

火中に栗を拾いに行くというか、火を見ると栗を探さずにいられない自分の性格を、ジョニーはインタビューでこのように語っています。

Q: どんなものに対して不誠実さを感じますか?

すべての政治家、公的機関、それに政党だよ。一旦その中に組込まれてしまうと、妥協を強いられることになる。そしてその妥協こそが嘘の源になってる。俺は妥協と戦うことにやりがいを感じてるのかもしれないな。俺は妥協する必要なんて感じない。人は多様になればなるほど良いものになれるんだ。

みんなの意見が一致することなんてあり得ない、それでいいんだってことにみんなどうして同意できないんだ?俺の特に仲のいい友人の何人かは、俺とはまるで意見が合わない。何ごとに関してもまったく一致しない。だけど俺にとってはそれこそが素晴しい関係なんだ。

Q: それはどうしてですか?

自分ではこうすべきだって思っていることが、ほかの人間にはそうとは限らない、それを絶えず俺に警告し気付かせてくれるからだよ。それがいいんだ。俺たちは誰もがそれぞれ違うことに興味を持ち、異なる視点や意見を持ってる。だが自分をさらけ出してまったく違った視点を持つ人と議論してみると、やがて自分が間違っていたと気付くこともある。それが学ぶ機会になるんだ。自分の間違いを認めることが最高の成果になる。確実に自分の糧になるんだよ。

Q: 自分が間違ってたと思ったのはどんなことですか?

すぐに思い付くことといえば、学校で教師と言い争ったことだな。だがその経験があったからこそ、俺は答に辿り着くこができた。俺は別に言い争いが好きなわけじゃない、ただシステムを盲信するんじゃなく真実は何かってことを知りたいだけなんだ。だからいつも議論してるんだよ。俺にとっては歌うことも議論なんだ。

Q: それは興味深い話ですね。どうして歌が議論になるんですか?

自分のものの見方を表明することだからさ。あるいは別の人間の視点に立ってものを見ようとする行為でもある。その見解は正しいものかもしれないし、間違っているかもしれない、だけどいずれにしろ、ほかの人間にコミュニケーションを促すことなんだ。そうやって新たな議論の種を蒔くんだよ。俺のことが嫌いで俺のやること成すことすべて気に入らない奴だっているが、逆に俺をヒーロー視する奴同様、ちゃんと議論をする限りどちらにもものを言う正当な権利があるのさ。ただもの分かりがいいだけの人間なんかよりはるかにマシだよ。「あの人いい人ね」ってのは人に対する最悪の侮辱だよ。

今日の昼間、YouTube で ACL Music Festival の中継を観ていたら、ニール・ヤングがコンサートのラストで「Hey Hey, My My」を歌っていました。知ってる人は知ってる、ジョニー・ロットンのことを歌った曲です。

1979年の「Rust Never Sleeps」に収録されている古い曲ですが、調べてみると奇しくも PiL が復活した2009年あたりからコンサートのセットリストに復活し、毎回最後に歌われているようです。同じインタビューの中で、この曲についての話もジョニーがしていました。

Q: ニール・ヤングが書いた「Hey Hey, My My」をあなたがどう思ってるのかずっと知りたかったんですが。

「Rust Never Sleeps」に入ってる曲だろ?笑っちゃうよ。(真似て歌い始める) "This is the story of Johnny Rotten. The king is gone but not forgotten." 俺もニール・ヤングが何を考えてこの曲を作ったのか知りたかったんだよ。だから VH1 で Rotten TV って番組をやってたとき、彼に直接その話を聞きたいってマネージメントに電話したことがあるんだ。だけど彼の事務所から返ってきた返事は「ジョニー・ロットンなんて知らない」だった(笑)。俺があの曲に関して知ってるのはそれだけさ。

Q: それはヒドい話ですね。その後もニール・ヤングに会ったことはないんですか?

彼はずっと俺のソング・ヒーローのひとりさ。彼が長年に渡って書いてきた詩や独特のアプローチが大好きなんだ。特にアルバム「Zuma」、あれが大好きなんだ。

Q: 素晴しいレコードですよね。

もちろん彼に会ってみたいとは思うよ。だけど長年思い描いてきた人物の場合、実際に会ってみるとがっかりするかもしれないって覚悟しなくちゃならない。

俺はビーチ・ボーイズも好きなんだよ。この間イギリスのテレビのライヴショーにビーチ・ボーイズが PiL と一緒に出演したんだ。YouTube なんかでも話題になってるはずだよ。その時俺はひどい風邪をひいていて喉の調子も良くなかったんだけどさ、ステージで歌ってるときは、驚異のヴォーカリスト集団ビーチ・ボーイズが聴いてるんだって、気になって仕方なかった(笑)。ブライアン・ウィルソンがすぐそばに座って指を鳴らしながら頭を揺らして楽しんでたんだぜ。すげえうれしかった。感激だよ。

その後バンドのメンバーのひとりが俺をブライアンに紹介してくれたんだけど、今まで会ったことがないほど奇妙な人物だった。だらっとして、心ここにあらずって感じだった。「写真を撮るのかい」って彼は言ったんだ。それで一緒に写真を撮ったんだけど、まるでロボットみたいだった。その後彼は椅子まで連れて行かれると、座ってテレビの画面をただ見つめていた。それが今のブライアンだった。俺は彼のことをすごく尊敬していたから、彼があんな風にボロボロになっているなんて信じたくなかったよ。

ま、ロットン様の音楽的嗜好はこうして実に多岐に富んでいるってことさ。

Mr. Rotten - John Lydon

でも PiL の演奏を聴いてるブライアン・ウィルソン、とても楽しそうだよ。

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