2013/01/09

寄付活動に対するヴィニ・ライリー本人からのコメント

XFM Session 2006

先週からヴィニ・ライリーへの寄付活動に関して書いてますが、昨日 BBC がこの件で直接ヴィニにインタビューした記事が公開されたので、締めくくりとしてヴィニの発言部分を抜粋してご紹介します。

甥っ子のひとりが何とかしなくちゃと思ってやったんだと思うよ。何しろぼくは病気のせいでひとりじゃ何もできない状態だったから。

いろんな人がぼくを助けるためにお金を寄付してるって知ったときは、何だかすごくいたたまれないみじめな気持ちになったよ。だって、今まで人にお金を借りなきゃならない状況になったことなんてなかったからさ。お金はぼくがまるで知らない人たちから送られてきものだった。きっとぼくの音楽のファンたちだね。

だけどこういうやり方は特権の濫用だと思う。ぼくと同じような境遇にいる人はいくらでもいるけど、彼らは誰からも援助してもらえないんだよ。自分が何かやったことの対価でない限り、人からおいそれとお金を受け取る気持にはなれないんだ。寄付してくれた人たちに対して、何か特別なアルバムを作って送るべきなんじゃないかと思ってる。寄付してくれた人にはそれを受け取る権利があるよ。

正直どうしたらいいか分からない。ぼくがお金に困った原因は、障害者と認定されるまでに18ヶ月もかかったからなんだ。その間、一銭の収入もなかったんだよ。認定を受けるために提出する書類は、30ページもあってものすごく大変な仕事だった。ぼくは字を書くのもやっとで、ペンすらちゃんと持てないんだから。

審査の手続きもひどく厳しいものだった。ぼくが障害者のふりをしているだけなんじゃないかと、何度もしつこく調べるんだ。障害者のふりをしてるんだったらどんなにいいだろう、そう思ったよ。

今回の出来事で、却ってぼくの方が人々のために何かしてあげたいという気持になったんだ。そのことの方がお金よりもずっとぼくにとって意味がある。広告もなければ、プロモーションもない、ただ音楽があるだけ。それだけなのに、ぼくを助けてくれる素晴しい人たちがいたるところにたくさんいる。そのことがぼくにとってこの上なく大切なものなんだ。

今のぼくは、8歳の子どもが初めてギターを練習したときみたいなありさまなんだよ。苛立たしくてたまらない。ぼくの頭の中では音が鳴っててそれをどう演奏すればいいのか、すべて分かってるんだ。だけどそれは頭の中だけのことで、実際に弾くことができないんだ。

Durutti Column guitarist Vini Reilly 'embarrassed' by appeal

(2014/11/09追記) 一時、音楽活動の再開は絶望的と見られていたヴィニですが、徐々に活動を再開しつつあります。2014年現在の状況については「「私たちは今もトニー・ウィルソンの子供たちなんです」ドゥルッティ・コラム Chronicle XL」を読んでください。

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