tag:blogger.com,1999:blog-67756950035320571942024-03-17T03:52:07.835+09:00Music for CloudbustersI still dream of Orgononyasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comBlogger395125tag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-67597487361081822162015-11-15T16:20:00.001+09:002015-11-15T23:09:32.126+09:00便所と夫婦と世界が抱える問題 (Double Trouble - Public Image Ltd)<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://1.bp.blogspot.com/-O7WcqIZY5zE/VkgwzZRdQ6I/AAAAAAAASnU/5-jHf6_H2AE/s1600/double_trouble.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" height="400" src="http://1.bp.blogspot.com/-O7WcqIZY5zE/VkgwzZRdQ6I/AAAAAAAASnU/5-jHf6_H2AE/s400/double_trouble.jpg" width="396" /></a></div>
<blockquote>いったい何をごちゃごちゃ言ってんだよ。何だって?トイレがまたぶっこわれた?ああ、前は俺が直したよ。また配管屋を頼めって言ったろ。何度でも頼めって...。</blockquote>
<p>なんということでしょう。PiLのニューアルバムWhat the World Needs
Now...はトラブルの歌で幕を開けます。その名もDouble Trouble、あろうことか便所の配管トラブル、ウンコ飛び散り夫婦喧嘩ソングです。</p>
<p>ここに至った経過を見ず知らずの第三者の立場から簡単にご説明いたします。ジョン・ライドンは元祖パンク、Do It Yourselfの人ですから何でも自分でやります。ご飯作ったり、義理の孫のためにPTAの会合に出席したりと家のこともマメでして、<a href="http://latimesblogs.latimes.com/music_blog/2011/01/john-lydon-offers-thoughts-on-plumbing-mouthwash-barbershops-vs-clippers-and-the-mekons.html">トイレの配管一式まで自分でやってしまいます</a>。だもんで、妻のノラは別のトイレの調子が悪くなったときもまたジョンが直してくれると思ってそのままにして置いたらそれが大惨事に...という次第です。</p>
<blockquote>
<p>甘い言葉などいらない<br>
俺を安全な場所に押し込むな<br>
やさしく抱きしめられてたまるか<br>
俺が望むもの、それはトラブル、トラブル、トラブル</p>
<p>文句あるんんだろ、望むところだ<br>
もっと怒れよ、すっきりしようぜ<br>
白黒はっきりさせよう、それしかない</p>
<p>俺が望むものはトラブル、次から次へやってくるトラブル<br>
俺にトラブルを与えてくれ</p>
</blockquote>
<p>一応解説しておきますと、Double Troubleというのはシェイクスピア由来のフレーズです。マクベスに出てくる魔女たちがヒキガエルやトカゲ、毒草なんかを大きな鍋で煮込みながら歌う呪いの歌です。映画のハリー・ポッターにも出てきます。Double, Double, Toil and Trouble(次々とふりかかれ、苦難と厄災よ)って歌詞です。<a
href="https://www.youtube.com/watch?v=Z2xfpoQx6oI">実際に聴いてみると納得いただけると思いますが</a>、三歳児ならToilet Troubleって空耳するのも無理はありません。けどだからといって、還暦を目の前にした大の男がWhat the World Needs Now...と冠したアルバムの一曲目でそれを力いっぱい歌うかというと、歌うんです。パンクですから。</p>
<blockquote>
<p>崇められるなんてごめんだ<br>
肩身の狭い思いはまっぴらだ<br>
俺の名を汚すな<br>
トラブル到来で屈辱とおさらばだ</p>
</blockquote>
<p>世の中がエボラだ、戦争だ、経済格差だ、テロだって次々と大きなトラブルに見舞われているときに便所が壊れたって夫婦喧嘩ですか、呑気だねえという感想を抱く方々も少なくないことでしょうが、便所や夫婦喧嘩の問題にちゃんと取り組めないような人が世界の問題をどうこうできるはずなどありません。そうゆうもんです。それもできないような人たちがなぜか結構政治家や実業家になってしまっているということが問題をさらに根深いものにしているのです。便所と夫婦喧嘩は今こそ歌うべき大きな問題です。</p>
<p>ジョン・ライドンが今までに経験した最大のトラブル、それは7歳のときに髄膜炎にかかり、それまでの記憶をすべて失ってしまったことです。親の顔も自分が誰なのか分からない、言葉も話せず人の話はノイズにしか聞こえない、スプーンの持ち方すら分からないほどでした。<a href="https://yasusii.blogspot.jp/2014/10/anger-is-energy-my-life-uncensored.html">数年かかって徐々に記憶は取り戻したのですが</a>、いくつかの後遺症が残り、中でも幻影は長く続いたそうです。</p>
<blockquote>
<p>ひどい頭痛と目まい、失神、火を吹く緑色のドラゴンとか存在しないものが見え始めた。そんなものいないって分かってる自分の中に、ドラゴンが見てパニックを起こしてる自分がいるんだ。それがどれほど恐しいことか。身体が勝手に反応して止まらない。恐怖のあまり引き付けを起こした。</p>
<p>次の朝、母親は容態がさらに悪化していることに気付いて医者を呼んだ。医者が到着すると俺は気を失なった。気が付くとそこは救急車の中だった。俺はまた気を失なった。次に俺が意識を取り戻したのは病院の中で数ヶ月後のことだった。俺は6ヶ月以上も昏睡状態だったんだ。</p>
<p>率直に言って、俺が空想にふけるようなことはまずない。俺の頭の中にそんな余地はない。他人の気持ちを考えない奴だってときどき言われるのはそのせいかもしれないな。時間をムダにしたくないのさ。朝起きるのはものすごい努力を必要とするけど、俺にとっては眠ることの方がその10倍も大変なことなんだ。眠るのが嫌いだ。起きたときにまた自分が誰だか思い出せなくなるんじゃないかって恐怖に襲われるんだ。この感覚はおそらく一生俺につきまとうはずだ。絶対に消えない。俺がなかなか眠らず、常に警戒してるのはそのせいなんだよ。ま、昔は「眠らずにいられるモノ」に頼ったことがあったような気もするけどな。</p>
<p>退院してからもしばらくの間は度々幻影に悩まされた。すごく怖いやつだ。中でも思い出すのは神父。今でもときどきその夢を見る。背が高くガリガリに痩せた男で黒い髪に黒い瞳、そのものすごく恐しい目で俺を睨むんだ。ハンパじゃなく大ごとなんだ。そいつが夢に現われると、俺は立ち向かわなくちゃならない。そうすれば消え去る。だけどそれは簡単なことじゃない。自分が夢を見てる状態で夢のコントールなんてできないだろ。だけどどうにかこうにか、何年もかかって、俺は自分の夢をコントロールできるようになったんだ。</p>
<p><a href="http://www.pilofficial.com/pilpr31.html">John Lydon - Anger Is An Energy: My Life Uncensored</a></p>
</blockquote>
<blockquote>
<p>もう少しで死ぬところだったんだ。まったく笑えるようなことじゃない。だけど妙なことにあの病気が今の俺を作ったんだ。あれを経験したからこそ俺は今ここにいるんだ。かつて俺を死にそうにしてくれた神様には感謝するよ。記憶をすべて失なってしまい自分が誰であるかさえ分からなくなったんだ。あのときの苦しさは今も忘れちゃいない。俺が今までに味わった最大の達成感はあの病気を克服したことさ。</p>
<p><a href="http://www.southflorida.com/music/sf-john-lydon-pil-lauderdale-culture-20151027-story.html">Lydon calling: A visit with the punk king</a></p>
</blockquote>
<p>ジョン・ライドンというのはこうゆう人ですから、身近な個人的なトラブルと世界的なトラブルに優劣を付けたりしません。小さな個人的なトラブルに悩んでる人を馬鹿にしたりしません。どれも大切なことです。だからみなさんも日常様々トラブルに遭遇してると思いますが、Double Troubleを聴いて元気を出して立ち向かってください。健闘を祈ります。</p>
<p>ところトイレの件はどうなったのでしょう?</p>
<blockquote>
なんだかんだで、俺たちはバケツを使うハメになる
</blockquote>
<p>おう、いえー。</p>
<iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/uCZt22aQyIk" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-84469374208820431152014-12-23T23:07:00.000+09:002014-12-24T21:55:58.734+09:00今日がクリスマスじゃなくて良かった(Thank God It's Not Christmas - スパークス)<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://www.flickr.com/photos/14149634@N00/15886863119/" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="http://1.bp.blogspot.com/--o_rVdOxZ74/VJl0lyGvGoI/AAAAAAAAQiQ/CFgPyEf-uQ4/s1600/15886863119_346dc51ae2_o.jpg" height="339" width="640" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">Sparks at Barbican, a photo by <a href="https://www.flickr.com/photos/14149634@N00/">astonishme</a> on Flickr.</td></tr>
</tbody></table>
<p>2014年の暮れも押しせまってまいりました。みなさんいかがお過ごしでしょう。唐突ですが、少子高齢化問題について考えてみましょう。今年もその解決の兆しすら見えないまま終えようとしています。もちろんこんなところで何を書いたってどうなるもんでもないのですが、どうせみんなこんなの読んでるくらいヒマなんでしょう?それを良いことに適当なことを書き連ねてみたいと思います。</p>
<p>わたしは1960年代前半の生まれです。日本の高度成長期って呼ばれてる時代に生まれ、子ども時代を過ごしました。その頃、少子化とか高齢化なんて世間ではまったく問題になっておらず、そんな言葉自体ありませんでした。当時問題になっていたのは人口爆発のほうです。そんなの聞いたことない?このままどんどん地球上の人口が増え続けると食料が足りなくなって大変なことになるぞ、奪い合いで戦争が起きるぞ、そう言われてたんです。当時の少年マガジンにはおどろおどろしい挿絵と一緒にそんな記事がよく載っていて、子どものわたしは夜も眠れなくなるくらい心配したものです。</p>
<p>ところが現実に約50年経った今、みんなが心配しているのは出生率の低下、人口減少のほうです。でもちょっと待て、戦争や伝染病で大量の人が死んだり、大量の移民でもない限り、人口ってそんなに急に増えたり減ったりしないんじゃないの?</p>
<p>日本に関して言えば、1960年代、既に近所の家族構成は夫婦一組に子ども二人というのが一番多いパターンでした。三人という家もそこそこあったけど、一方で一人っ子というのも結構いたし、もちろん子どものいない家だってありました。人間二人につき平均で二人の子どもが生まれてやっと人口は横ばいなんだから、人口が減るの当たり前じゃん。普通に算数ができれば誰でもわかる理屈。問題は50年前既に始まっていたのに、同時は誰もそんなこと問題にしていませんでした。</p>
<p>ちまたのニュースで見かけるのはもっぱら「日本の」少子高齢化問題ばかりですが、もちろん日本に限ったことではぜんぜんなく、世界共通の問題です。スチュアート・ブランドという人は、その原因が「都市化」にあると説明しています。</p>
<blockquote>
<p>都市で起こっている現象に関しては、2007年の国連報告「とめどのない都市化の将来」で、ジョージ・マーティンがこう書いている。</p>
<p>「都市部における新たな社会変化の特色として、女性が力を持つようになり、男女の役割に変化が起き、社会状況が改善され、出産前後の健康管理が高度化し、恩恵も受けやすくなる。これらの要因が、出産を急激に減少させる」</p>
<p>田舎では子どもが増えれば資産が増えることにつながるのだが、都会のスラムでは子どもが増えれば足手まといになる。したがって都会で自由を得た女性は、子どもは少数にとどめて高い教育を受けさせようとする。したがって、都市化は人口爆発を抑制する効果を持つ。</p>
<p>女性一人当たり2.1人の出生率という人口維持ラインは、大部分の地域でとどまるところを知らずに下がり続けている。人口の趨勢は、現存する人類の子どもが子孫を残す今世紀の半ばにピークに逹し、その後は減少に転じる。</p>
<p>ピーク時には、どのような状態になるのだろうか。2008年の国連の予想によると、90億人をやや上回る。ただし先進国の出生率が、なんらかの理由でふたたび盛り返すことを前提にしている。だがそれは起きにくく、80億人が上限ではないかと私は踏んでいる。それ以降は急速な減少に向かうため、危機感を抱いている者が多い。</p>
<p>あなたが知っている女性、あるいはあなた自身に子どもがいないとすると、ほかの女性が倍の4.2人を生まないと人口は維持できない。だが、それは無理だろう。</p>
<p>「地球の論点」 スチュアート・ブランド 英治出版</p>
</blockquote>
<p>第二次世界大戦後、一時的な出生率の急上昇現象が世界的に発生しました。ベビーブームというやつです。このとき生まれた子どもたちが成長し、大挙して都市へ向かったのが1960年代のことです。彼らはそれまでの文化とは一線を画す、様々な「若者文化」を生み出しました。さて、いつもの通り、ここからわけのわからない方向へ話がズレます。</p>
<p>ロンとラッセルのメイル兄弟がやってるバンド、スパークス。カリフォルニア生まれの二人がバンドを始めたのは1960年代の終わりのことです。スパークスはアメリカでデビューしたものの、全然売れませんでした。スパークスの歌の基本となっているのは「都市での人間の孤独」です。当時のアメリカはまだそんなに「都市化」されていなかったのかもしれません。</p>
<p>彼らは活動の拠点をイギリスに移し、1974年にアルバム「Kimono My House」を発表しました。これが大ヒット、一躍彼らは大人気スター・バンドとなります。イギリスの子どもたちの方が、アメリカよりずっと孤独を感じていたのだと思います。以来、彼らはイギリス、ヨーロッパを中心に活動を続けてきました。「Kimono My House」は不朽の名作として、今も聴き継がれています。</p>
<p>クリスマスといえば欧米の伝統的家庭では家族が集まって過す楽しい日です。でも都市というのは、家族を持たない、あるいは一緒に過ごせない人たちをたくさん生み出す場所です。そんなクリスマスの光景を歌ったのが「Thank God It's Not Christmas」という名曲です。「Kimono My House」に収録されています。</p>
<p>この歌の歌詞、一見リア充を羨み、孤独な自分を嘲笑ってる内容にも見えますが、その程度で40年もの間名曲とは呼ばれたりしません。よく聴けばわかります。この曲は「いつもそこにいる、クリスマスにだってひとり残ってるきみ」へのラヴ・ソングなんです。</p>
<p>つい先日、ロンドンのBarbicanでアルバム発売40年を記念して、フルオーケストラと一緒に「Kimono My House」全曲を演奏するコンサートが開催されました。40年来のファンがたくさん集まって大盛況でした。同じ形式のコンサートは、最近やっとスパークスに共感できるようになったアメリカでも来年2月に予定されています。</p>
<p>あー、少子高齢化の話はどこへ行ったかって?そんなに簡単に片付くわけないでしょ。それはまた考えることにしましょう。だけどスパークスの歌を聴けば、ちょっとだけ幸せになれるよ。</p>
<p>メリー・クリスマス。</p>
<p><iframe width="640" height="360" src="//www.youtube.com/embed/WzV2Hz225qA" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
<blockquote>
<p>耳をすますと何が聞こえる?<br />
おしゃべりとグラスがぶつかる音<br />
たわいもない会話に女性の笑い声<br />
それがずうっと続いてる</p>
<p>目をこらすと何が見える?<br />
外からは様子の見えないお庭<br />
みんなが集まって楽しんでる気配<br />
それがずうっと続いてる</p>
<p>だからぼくは夜になると<br />
居酒屋や行きつけの店へ行き<br />
意外な出会いを求め<br />
なんとか誤ちを犯せないかとがんばるんだ</p>
<p>でもやがて夜が明けて<br />
ところどころかなり同じパターンの<br />
昼ドラみたいな毎日の繰り返し</p>
<p>大勢の人と騒音に紛れ<br />
催眠状態の中、潮の満ち引きみたいに過す<br />
ゆっくりと日が落ちて<br />
また夜になるまで</p>
<p>居酒屋や行きつけの店にたむろする<br />
おなじみの連中をごらんよ<br />
店の照明が暗くなって<br />
「さっさと帰れ」サインが出るまで<br />
ほかに行くところがないんだ</p>
<p>今日がクリスマスじゃなくて良かった<br />
だってクリスマスに<br />
残ってるのはきみくらいで<br />
ほかに何もすることがなくなってしまうから</p>
<p>今日がクリスマスじゃなくて良かった<br />
だってクリスマスには<br />
みんなあたりから姿を消してしまい<br />
きみと過ごすしかなくなるから</p>
<p>クリスマス・キャロルを歌う子どもたち<br />
まだ少しばかり時期が早いのに<br />
でもその歌声は豊かで清らかで透き通るよう</p>
<p>みんな待ち望んでる、みんなが大好きな日<br />
その日がもうすぐやって来る<br />
それに異議を申し立てるなんて<br />
できるんだろうか</p>
<p>もしこれがセーヌ川だったらぼくらもきっと<br />
すごく上品な気持ちなれるんだろうけど<br />
目の前は<br />
大通りのゴミを押し流すただの大雨</p>
<p>今日がクリスマスじゃなくて良かった<br />
だってクリスマスに<br />
残ってるのはきみくらいで<br />
ほかに何もすることがなくなってしまうから</p>
<p>みんなが大好きな日のみんなが大好きな過ごし方は<br />
選ばれた一部の人たちのもの<br />
ぼくやきみのみたいな人間には<br />
まるで関係ない</p>
<p>みんなが大好きな夜のみんなが大好きな礼拝<br />
そこで話され、行われる素晴しいことも<br />
きみにはまるで関係ない</p>
<p>もしこれがセーヌ川だったらぼくらもきっと<br />
すごく上品な気持ちなれるんだろうけど<br />
目の前は<br />
大通りのゴミを押し流すただの大雨</p>
</blockquote>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-86047616942970759922014-11-08T23:25:00.002+09:002015-11-15T13:27:08.926+09:00「私たちは今もトニー・ウィルソンの子供たちなんです」ドゥルッティ・コラム Chronicle XL<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://4.bp.blogspot.com/-zVrS4Wyuuis/VF4nnlHixhI/AAAAAAAAQbQ/0X8EJ6f89e8/s1600/chroniclexl.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="http://4.bp.blogspot.com/-zVrS4Wyuuis/VF4nnlHixhI/AAAAAAAAQbQ/0X8EJ6f89e8/s1600/chroniclexl.jpg" height="440" width="640" /></a></div>
<p><a
href="https://yasusii.blogspot.jp/2014/11/pauline-murray-and-invisible-girls.html">前回のポーリン・マーレイのアルバム</a>に引き続き、「FACT番号の無いファクトリー作品」の話です。</p>
<p>ヴィニ・ライリーが脳梗塞で倒れ、正式リリースが遅れていたドゥルッティ・コラム(The Drutti Column)新作「Chronicle(年代記)」が今年7月にやっと正式リリースされました。</p>
<p>ドラマーのブルース・ミッチェル(Bruce Mitchell)によると、この作品はヴィニが今まで出会ってきた友人たちの肖像を音楽で描いたもので、いわば<a
href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%8B%E3%82%B0%E3%83%9E%E5%A4%89%E5%A5%8F%E6%9B%B2">エドワード・エルガー「エニグマ変奏曲」</a>のドゥルッティ・コラム版とも言えるものだそうです。</p>
<p>同じ「Chronicle」と題されたアルバムとして、2011年マンチェスターでの特別ライヴのチケット購入者限定で配布されたものがあるのですが、今回リリースされたのはこれを再構成し新たな作品を加えた2枚組「Chronicle
XL」です。一枚目が2011年の録音を再構成したChronicle One、二枚目はヴィニの60歳を記念して追加された内容のChronicle Twoとなっています。</p>
<p>CDは化粧箱入りのパッケージになっていて、ヴィニが撮影した友人たちのポートレート写真が掲載したブックレットが同梱されています。さらにヴィニが暮らしていた町の地図のポストカード、ピンバッジのほか、一枚のサンドペーパーが入っていてその裏には2011年版Chronicleのダウンロード・コードが記載されています。</p>
<p>前述のブックレットでブルース・ミッチェルがこのアルバムの成り立ちとヴィニの状態について詳しく書いていますので、それをご紹介します。</p>
<blockquote>
<p>一緒に仕事をするのが難儀な人間といえば、まず第一に名前が挙がるのがヴィニ・ライリーでしょう。二番目は私かもしれませんが...</p>
<p>このアルバムの成り立ちについてお話ししましょう。曲の多くは2011年、ブリッジウォーター・ホールで開催したプレミア・ショーでのお披露目に向けて作られたものです。</p>
<p>このアルバムの始まりは、友人たちの肖像を音楽で描いた作品群をヴィニが撮影したポートレイト写真と一緒にアルバム化するという企画で「バイオグラフィーズ」と呼んでいました。私はこの思い付きとヴィニが撮った写真を大いに気に入ってました。おそらく私から言い出したアイディアだったと思います。</p>
<p>エルガーやバッハ、ヴィヴァルディといった作曲家たちは友人たちを音楽で描いたロマンチックな作品を残しています。ヴィニ・ライリーなら同じことができるはずだ。私はそう考えたのです。また音楽と写真を一緒にパッケージングしてちょっとした「アート作品」を世に出す良い機会だとも考えました。そうです。結局のところ、私たちは今もトニー・ウィルソンの子供たちなんです。</p>
<p>ヴィニはうなずいてこのアイディアに同意してくれましたが、さてどうなることか。一旦レコーディングの現場に入ってしまえば自分のやりたいようにやる、それが彼です。またスタジオ入りするためなら、どんなリップ・サービスも厭わずやってのける奴です。</p>
<p>私たちの長年に渡るプロデューサーを続けてるイカレポンチ、インチ・スタジオのキアー・スチュワート(Keir Stewarts)が全体の指揮を努め、ジョン・メトカルフェ(John Metcalfe)、テイム・ケレット(Tim Kellett)のほかヴィニの恋人ポピー・モーガン(Poppy Morgan)がピアノ、ドラムと洗濯と士気の担当が私という布陣でした。</p>
<p>集中、そして続く強力な音楽、ヘッドフォンを通じて鳴り続けるユニークなギターの音に合わせ、ドラムキットでガタガタ音を鳴らす、私はこのような場にまた参加できたことを嬉しく思いました。相棒の巨匠くんがゲームの掛け金を引き上げたら、私もそれに食らい付きました。</p>
<p>ところが突然、ポピー・モーガンが演奏を止めてしまいました。起伏の激しいアーティストの気性にはもう耐えられない、別れてアジア旅行に行くと言い出したのです。この出来事により、ヴィンセント・ジェラルド・ライリーは宇宙にさまよい出してしまいました。絶望の淵に滑り込み、「バイオグラフィー」のプロジェクトはエドガー・アラン・ポー風の陰鬱で暗く荒れ狂った失恋物語の様相を呈し始めました。私の勘違いだったと思いたいのですが、そのサウンドはまるで「Pain is Bright(訳注: アルバム LC収録Never Knownの歌詞)」でした。</p>
<p>2011年4月30日、私たちはプレミアショーをブリッジウォーター・ホールで開催、背景スクリーンにヴィニが撮影した写真を投影しながらバイオグラフィーズの曲を演奏しました。ある意味、私たちが悪戦苦闘するさまを披露したようなもので、観客にとっても同様だったと思います。どうにかこうにかショーをやり遂げたのですが、気付いてみると最後の写真が手違いにより終演後もスクリーンに映されたままになっていました。たくさんの観客を見下ろすように映し出されていたのはトニー・ウィルソンの写真でした。彼ならきっと「これこそ『イヴェント』だな」と言ったことでしょう。</p>
<p>その後もポピーは戻って来ませんでしたが、ヴィニは自分のベッドルームに篭り、創作に没入するようになりました。床にひざまずいたり、しゃがんだりしながら、借り物のポータブル・スタジオ機材を使って作曲し、サンプリングし、過去の音源を再加工し、ギターサウンドを入れ、ささやくようなヴォーカルをトラックに追加していきました。今から40年近く前、両親の住む家で作品を作り始めたときとまったく同じ方法です。彼はベッドルームの床に戻ってきたのです。</p>
<p>そのさらに数ヶ月後、ヴィニは玄関で倒れ救急車を呼びました。脳梗塞の発作が起きたのです。このため私たちはアルバム「バイオグラフィーズ」の制作を一旦中断し、ドゥルッティ・コラムの過去作品のリイシューと特別盤のリリース作業に専念することにしました。協力してくれた友人はKookyレーベルのフィル・クリーヴァー(Phil Cleaver)とファクトリー・ベネルクスのジェイムス・ナイスです。私たちは彼らの連帯と紳士的行為に大きな恩を感じています。</p>
<p>入院、治療中も遅々としてではありますが、ヴィニは音楽を続けていました。あるときは病院のベッドに赤いギブソンSGを引き摺ってきて「技能」と健康を取り戻そうとしていました。ギブソンSGならネックが細くて彼の衰えた左手でも握りやすいという理由でこのギターを選んだのです。その後さらにインチ・スタジオへ短時間ながらも通って絶望からの回復に努めました。ビル・ランス(Bill
Rance)とローズ・バーリー(Rose Birley)が歌い、キアー・スチュワアートがとりまとめ役を買って出てくれ、演奏のほか彼のあらゆる社交術を駆使して精神の安定に努めてくれました。そしてヴィニ、私は彼をこの戦いのマン・オブ・ザ・マッチに選出します。</p>
<p>いかなることがあろうと「人の胸に希望は永遠に湧き出る」ということです。私と一緒にあなたも肝に命じておいてください。そして私たちはついにこの美しい作品を完成させました。私はいつも車で町中を忙しく走りまわりながら、このアルバムの曲を流しています。とても快適です。もうヴィニからの奇矯な電話に煩わされることもありません。</p>
<p>「アルバムのタイトルはChronicleでいいかな?」彼が尋ねました。<br />
「もしろんさ。Chronicleのパート1とパート2だよ」私はそう応えました。</p>
<p>さて紳士、淑女のみなさん、作品の評価については議会に委ねることをお許しいただければと...</p>
<p>2014年 ブルース・ミッチェル</p>
</blockquote>
<p>一時はブルース・ミッチェルでさえ絶望的と言っていたヴィニ・ライリーの体の状態ですが、少しずつギターが弾けるようになってきています。今年5月にはブルースと一緒に<a
href="https://www.youtube.com/watch?v=bdQNyvO0qE0">Chorlton Arts
Festivalのステージで演奏もしました</a>。つい先日はSome Kind
of Illnessのメンバーと一緒にカフェでギターを弾くヴィニの姿が<a
href="https://www.facebook.com/video.php?v=681286468627496">Facebookにアップされていました</a>。</p>
<p>このほか<a
href="https://www.academia.edu/8179132/Durutti_Column_Interview_2013">
昨年のインタビュー</a>で「ミケーラ・ターナー・ノーラン(Michaela Turner
Nolan)という素晴らしいナチュラル・ヴォイスの女性と出会ったんだ。すぐにでも次のアルバムを作りたい」なんて言ってるんですが、女性には注意した方がいいと思うなあ。前のポピー・モーガンだってヴィニの娘くらいの年齢でしょう。<a
href="https://myspace.com/thedurutticolumnmcr/photos">Myspaceにはこんな写真載せ
ちゃってたし...</a>。</p>
<p>まあとにかく、ヴィニが元気になってきて良かったです。案外イメージとは裏腹の助平さんなのかもしれませんが、それが生きる活力になります。</p>
<p>(2015/01/18追記)<br />
アルバムChronicle XLはiTunesやAmazon MP3でもリリースされ、入手しやすくなりました。
</p>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-71346778192493210242014-11-03T20:10:00.002+09:002021-11-29T23:00:40.946+09:00「ファクトリー」番外の名作 Pauline Murray and the Invisible Girls<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="http://2.bp.blogspot.com/-zLDlO6G8OQM/VFdiDhnqCRI/AAAAAAAAQY8/SEf79hu_QMY/s1600/invisiblegirls.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="http://2.bp.blogspot.com/-zLDlO6G8OQM/VFdiDhnqCRI/AAAAAAAAQY8/SEf79hu_QMY/s1600/invisiblegirls.jpg" height="398" width="400" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">Pauline Murray and the Invisible Girls</td></tr>
</tbody></table>
<p>この10月、1980年にリリースされたポーリン・マーレイ・アンド・ザ・インヴィジブル・ガールズ(Pauline Murray and the Invisible Girls)唯一のアルバムが突如、リマスターで再リリースされました。</p>
<p>かのマーティン・ハネット(Martin Hannett)がプロデュースを手がけた知る人ぞ知る名作です。ポーリン・マーレイと彼女のパートナーでありベーシストのロバート・ブレミア(Robert Blamire)を中心に、スティーヴ・ホプキンス(Steve Hopkins)、ヴィニ・ライリー(Vini Reilly)というファクトリー勢とバズコックス(Buzzcocks)のジョン・マー(John Maher)という一部の人々にとっては涙が出るほどの豪華メンバーで作られた作品です。録音はストロベリー・スタジオでジャケットのデザインはピーター・サヴィル(Peter Saville)が担当、レコードは当時RSOというレーベルからリリースされたのですが、事実上の「ファクトリー」作品と言って差し支えありません。</p>
<p>あ、トニー・ウィルソン?<a href="https://www.youtube.com/watch?v=XI-w7LjSNi4">トニーもちゃんとレコーディング中、スタジオに顔出してますよ</a>。</p>
<p>「ポーリン・マーレイなんて名前、知らない」という方も多いでしょうから、まず簡単にご紹介しておきます。オリジナルのパンク少女です。1976年、イングランド北部、人口数万の小さな都市ダラムに暮していた当時18歳のポーリンは、まだレコード・デビュー前だったセックス・ピストルズのギグを観に行って大きな衝撃を受けます。これこそ自分が求めていたものだ、こうしちゃいられない、自分もステージに立たなくちゃ、そう考えた彼女は近所の楽器を弾けそうな男の子たちをかき集めてバンドを結成します。そのバンドがペネトレーション(Penetration)です。</p>
<p>きわめて早い時期に登場したパンク・バンドということもあり、ペネトレーションは翌年1977年にはもうヴァージンとの契約を果し、ファースト・シングルをリリースします。さらに翌年にはファースト・アルバム「Moving Targets」を発表、UK チャートの上位に食い込みます。</p>
<p>このペネトレーション、パンク・バンドとして売り出されたんですが、実はいわゆるパンクとは一線を画す異なるユニークな音楽性を持っていました。ポーリンのノンビブラート、直球ど真ん中勝負の声、パンクなのになぜかポップで哀愁を帯びたメロディー、妙に整った曲構成とアレンジ。作曲の中心になっていたポーリンやロバートの才能でしょうね。おまけにギターのサウンドがメタルなんですよ。当時パンク・バンドでギターが「キュィイーーン」というのは暗黙の禁じ手となっていたのですが、ペネトレーションのギターは平気でキュィイーーンなんですよ。たぶん近所でメンバー集めたときに「あんたギター弾ける?じゃギター担当で決まりね」って感じでやったので、そうゆうタイプのギターが混ざってしまったのでしょう。結果的にそれがユニークなサウンド作りに大きく貢献しました。</p>
<p>一時は北米ツアーをするくらいまでになったのですが、2枚目のアルバムは思ったように売れず、レコード会社も「パンクはもうおしまい、次!」ということになり、1979年にはもう解散してしまいました。</p>
<p>ペネトレーション解散後、ソロとしての再起をかけたポーリンがマーティン・ハネットに自らプロディースを依頼をして作成したアルバムがこの「Pauline Murray and the Invisible Girls」です。</p>
<p>アルバム再発までの経緯と当時の状況について話をしている最近のインタビューがありましたので、ご紹介します。</p>
<blockquote>
<p>ダークなポップ・アルバム。曲は意図してポップにつくろうとしたわけではなくて、自然にそうなったの。わたしの声はすごくキャッチーに録られてるけど、その後に発表された他の音楽のようにクリーンなポップじゃなく、ちょっとトゲがある。</p>
<p>あれはマーティン・ハネットがプロデューサーとしてその後80年代に出したアルバムの青写真的なもの。転換点だったのよ。ちょうどレコーディングをしている最中にイアン・カーティスが自殺をして、異様なムードが取りまいていた。</p>
<p>アルバムはRSOレーベルからリリースされたんだけど直後に突然潰れてしまって、それっきりわたしはレコード会社との契約も無くなってしまった。テープはずっとわたしたち(ロバート・ブレミアとポーリン・マーレイ)が所有していて、何とか再び世に出したいと思ってた。だってあればミッシング・リンクで「ファクトリー」ともつながっているものなんだから。権利も自分たちで持ってたから何度もリリースしようとしたんだけど、力が及ばなかったの。</p>
<p>ところがうれしいことにこの3月、クレスプキュールのジェイムス・ナイスから再リリースについて打診があったの。</p>
<p>あの作品を作ったのは自分なんだけど、当時のわたしはこの上なく落ち込んでいたの。ものすごくつらい時期だった。きっとそのときの気持ちがあのレコーディングに詰まっているんだと思う。ペネトレーションでの経験しかなかったから、マーティンやセッション・ミュージシャンたちとやることに自信がなかったのよ。そんなの初めてだったから。</p>
<p>マーティンと一緒にレコーディングを始めると、なんだか音楽が自分の手を離れていくような気がした。曲のデモを演奏してその録音を聴き直したら、いつの間にかアレンジができ上がってるのよ。まだピアノやストリングス、セッション・ミュージシャンの誰とも一緒に演奏していないのに。</p>
<p>マーティンは他のプロデューサーとは全然違っていた。じゃヴォーカル、もう一度やってみよう、次はきっともっと良くなるよ、なんて言うのが普通のプロデューサー。だけど彼は何ひとつ指示しないの。彼はただバックトラックを流して、わたしはそれに合わせて歌う。またトラックを流してわたしが歌う。それからまた歌う、また歌う、この繰り返し。これが延々10回くらい続くのよ。しまいにはもううんざり。</p>
<p>最近ウェイン・ハッスィー(Wayne Hussey)と話す機会があったのだけど、彼も同じことを言ってた。ウェインはギター・パートを録音してたんだけど、何度演奏してもコントロール・ルームから何ひとつ指示がなくて、10回を越えたところで辛抱たまらずコントロール・ルームに入って行ったら、そこにはマーティン以外誰もいなくて、しかもデスクの下で寝てたんだって。テープだけリピート設定されてたって。万事がこの調子だったのよ。</p>
<p>箱にしまってあったマスターテープは一部音が消えていたりで、期待していた状態じゃなかったの。だけど箱の中には未開封の日本版のレコードが残っていて、それを基準として使うことができたの。技術が発展したおかげ。オリジナルのテープは劣化してひどい音になっていたから、全部マスタリングし直す必要があったのだけど、新品状態のレコードが残っていたのでそれを基準にしてオリジナルのサウンドを再現することができた。ジェイムス・ナイスがすごくいい仕事をしてくれたおかげで素晴しいサウンドに出来上がったのよ。</p>
<p><a href="http://rockshot.co.uk/dir/11805/interview-pauline-murray-invisible-girl/">NTERVIEW: PAULINE MURRAY. INVISIBLE GIRL.</a></p>
</blockquote>
<p>ここで本人が言ってる通り、アルバムはリリースされたもののレコード会社がその直後に倒産、プロモーションが充分に行われなかったせいもあって、音楽誌や一部の人たちにとても高く評価されたにもかかわらず、ヒットには至りませんでした。</p>
<p>その後34年、現在に至るまで彼女はどうしていたのでしょう。これも同じインタビューで語っています。</p>
<blockquote>
<p>このファースト・ソロ・アルバムをリリースした後、10インチ・シングルの「Searching for Heaven」も出したんだけど、その後でRSOが潰れてしまいレコード会社との契約がなくなってしまったの。ニューカッスルの家を出てロンドンに3ヶ月住んで、その後ロバートと一緒にリバプールのトックテスへ引っ越したんだけど、その1週間後に暴動が起きた。その頃色々なゴタゴタも抱えていて、家に帰ることもできなかった。音楽の世界から逃げ出したわたしはもう二度とカムバックできないんじゃないかと感じてた。わたしは歌がうまいわけじゃないし、もうおしまい、もうこれ以上続けたくない。次のレコード会社との契約も望めなかったから、音楽の世界に背を向けようとした。</p>
<p>それでもどうにかニューカッスルへ帰って、Chrysalis音楽出版の人に会ってみると、その人はInvisible Girlsのアルバムを作成したとき作曲者契約を担当した人だったの。おかげで何曲か作って、Big Starのアルバムの曲Holocaustのセッションにも参加できた。これで自信がついてまた次のステップに進むことができた。ただ作曲家契約はしたものの文無し。どのプロジェクトもお金にならなかった。自前のレーベルPolestarを立ち上げ、バンドを組んでStorm Cloudsとしてアルバムをリリース、国内で何度かライヴもしてみた。80年代の中頃のこと。誰も興味を持ってくれなかった。</p>
<p>ロバートの家は印刷屋をやっていたから、彼はしばらく帰ってその仕事をすることになった。わたしは1年ほどレストランで皿洗いの仕事をした。それが当時のわたしにはできる精一杯のことだったから。だけどそのおかげで現実の世界に戻ることができた。</p>
<p>リバプールに住んでいた頃から、わたしはいつかリハーサル・スタジオを開きたいという夢を持っていんだけど、偶然にもひとりの地主さんから「この物件をきれいにしてくれるなら家賃は数ヶ月分無料にするよ」って話があったの。わたしは思い切って契約を結んだ。何もないところから始めたんだけど、次第に仕事としての体を成してきて、それが今の<a href="http://www.polestarstudios.co.uk/">Polestarスタジオ</a>になったの。</p>
<p>数年前、カウンシルから建物をひとつ買い取って、今の場所に移転したの。メンテナンスされずに放置されてた建物だったけど、自分達で全部直してね。今ではリハーサル・スタジオが4つ、レコーデイング・スタジオも1つあるのよ。マキシモ・パーク(Maxïmo Park)やジョン・アシュトン(John Ashton)もここを使ってるのよ。長いことかかったここまできたの。子供は二人いてもう大人になってる。昔とはぜんぜん違う生活。</p>
<p>2001年にはペネトレーションを再結成して何度か素晴しいショーもできたし、すてきな人たちとも出会えた。数年前、マーティン・スティーヴンソン(Martin Stephenson)の勧めでヴィヴ・アルバーティン(Viv Albertine)、ジーナ・バーチ(Gina Birch)、ヘレン・マコッカリボック(Helen McCookerybook)と一緒に何曲か演ることになって、それがきっかけでアコースティック・ギターを弾くようになったの。まだほんとに数曲しか作ってないんだけど、今までの曲とはまったく違ったものになってる。</p>
<p>1年くらい前からペネトレーションを呼びたいというオーストラリアのプロモーターから話を受けていたのよ。だけどオーストラリアでペネトレーションはほぼ無名のバンドだから、ファン開拓のためにシドニーとメルボルンでアコースティック・ライヴをやって、色々プロモーション活動をすることにしたの。ソロでのアコースティック・ツアーなんて初めてで新たな挑戦だけど、これまでやってきたライヴ同様、すごくやりがいを感じる。ペネトレーションとは正反対のくつろいだ感じのライヴになるはず。</p>
</blockquote>
<p>ちょうどこれを書いてる今、ポーリンは初のオーストラリア・ツアーの真っ最中です。</p>
<p>最後に、このアルバムから当時シングル・カットされた「Mr. X」という曲をご紹介します。2014年の今も、充分に聴く価値のある曲です。歌の背後に漂っている特徴的なギターの音はもちろんヴィニ・ライリーによるものです。</p>
<p><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/9AU0cQtJ5iw" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe></p>
<blockquote>
<p>言われた通りに笑ってください<br />
次に笑い者になるのはあなたなんです<br />
スポットライトに照らされてるあなたを<br />
みんなが注目してますよ</p>
<p>明日、あなたはお金持ちになってるかも<br />
明日、あなたはお金持ちになってるかも</p>
<p>この白線の上に立ってください<br />
ただのゲームですよ<br />
問題に答えるんです<br />
ではお名前をどうぞ</p>
<p>明日、あなたはお金持ちになってるかも<br />
明日、あなたはお金持ちになってるかも</p>
<p>勝つために屈辱に耐えなくちゃならない<br />
友達がみんな期待してる<br />
だけどどうしたらいいんだろう<br />
勝つために屈辱に耐えなくちゃならない<br />
友達がみんな期待してる</p>
<p>制限時間は20秒<br />
問題は20問です<br />
迷ってるひまはありませんよ<br />
この目隠しを付けてください<br />
では照明を消します</p>
<p>明日、あなたはお金持ちになってるかも<br />
明日、あなたはお金持ちになってるかも</p>
<p>カウントダウン開始です<br />
選択肢は10個、どれを選びますか<br />
生涯もう二度とないビッグチャンスです<br />
でもここであなたの集中力は切れ<br />
言葉が出なくなる</p>
<p>明日、あなたはお金持ちになってるかも<br />
明日、あなたはお金持ちになってるかも</p>
</blockquote>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-87603461251425919042014-10-11T21:18:00.001+09:002015-11-15T13:29:06.332+09:00怒りはエネルギーだ - ジョン・ライドンの自伝第二弾「Anger is an Energy: My Life Uncensored」<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://4.bp.blogspot.com/--R_DE2yOhHI/VDkeH6RcDII/AAAAAAAAN3M/qfsPvjxi_CY/s1600/AngerIsAnEnergy.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="http://4.bp.blogspot.com/--R_DE2yOhHI/VDkeH6RcDII/AAAAAAAAN3M/qfsPvjxi_CY/s1600/AngerIsAnEnergy.jpg" /></a></div>
<p>1994年に出版された「Rotten: No Irish, No Blacks, No Dogs」に続くジョン・ライドンの自伝第二弾「Anger is an Energy: My Life Uncensored」が10月9日に発売されました。</p>
<p>「えーっ、自伝ってそんなに何冊も出すものなの?」って思いました?いや、自伝/伝記大好きの国イギリスではぜんぜん珍しくないことのようです。それに書くべきことがある、出す価値があるから出すんです。</p>
<p>ということで、最初はおもしろいエピソードでもちょこっと訳して紹介しようかなと思ったんですが、当のジョン・ライドンが宣伝のため、ラジオ、テレビ、出版イベントなどに出演しまくっておりまして、そのひとつのインタビュー記事がすごく良かったもんですから、そっちを紹介します。</p>
<p>まず予備知識のない方のためにちょっと説明しておきますと、ジョン・ライドン、別名ジョニー・ロットンは7歳のとき髄膜炎という病気にかかります。一命はとりとめたものの、高熱の後半年も昏睡状態が続き、目覚めたときには完全に記憶を失なっていました。自分が誰かわからない、両親の顔も覚えていない、言葉も話せない、体の動かし方すら覚束無いという状態です。彼は7歳からその後4年間を自分が誰であったかを思い出すために費します。</p>
<blockquote>
<p>怒りは俺のあらゆる種類の記憶を取り戻すために必要なエネルギーだった。完全に記憶を取り戻し、自分が誰で、自分の両親が誰だかわかるようになるまで数年かかった。病院は両親に「とにかく彼を怒らせなさい」と言った。それが記憶を取り戻すエネルギーになるんだって。だけどもしそうしなければ、ずっとこのままだろうって。</p>
<p>不満とかいうレベルの話じゃないぜ。俺は自分自身に対して怒ったんだ。とにかくそのエネルギーのおかげで俺は自分が見つけるべきものを見つけられるようになった。この怒りのエネルギーがあったからこそ、今俺はこうしているんだと思う。おかげで俺は人間として独り立ちできたわけさ。マルコム・マクラーレンなんかがあたかも俺を育て上げたみたいに言ってたが、それより遥か以前のことだよ。</p>
<p>だがまた自分が起き上がれなくなってしまうんじゃないか、自分が誰だか思い出せなくなってしまうんじゃないかという恐怖は今も消えない。これ以上の孤独な思いはほかに絶対ない。両親が俺を憐れんで甘やかしていたら、俺は施設に入れられて、ずっとそのままだったのかもしれない。</p>
<p>というわけで、俺の個性や生命力というものができ上がったわけだ。危機一髪だったのさ。せっかくセカンド・チャンスをもらったんだぜ。無駄になんかできるわけない。</p>
<p>俺の曲に対してその視点や意図に共感を示す人々がいる。彼らはそういうことをすべて理解していて、俺と経験を共有できてるんだ。驚くべきことだよ。</p>
<p>俺にはそこで共有されている痛みが何だかわかる。そういう人間がいれば、同じような経験を共有できる。もちろん細かな点は違っているだろうよ。だけど目を見ればわかる。だから俺はそれを心の奥の闇に閉じ込めるんじゃない、オープンにしなくちゃならない、白日の元にさらそうという気持になるんだ。</p>
<p>だから俺は続けてるんだ。そういうのを見るのがうれしいんだ。だってみんな生きてるってことなんだぜ。「コンサート会場は空っぽだ、ジョン。みんな自殺しちゃったんだ」なんてうれしいわけないだろ。</p>
<p>俺たちはみんな色んなものに対する怒りを抱えている。だが幸いなことに、その怒りをポジティヴに使うこともできる。俺は、歌を作るってことはそれを促すものでなくちゃならないと思ってる。</p>
<p>俺は正しい音程で歌う必要なんてないし、アメリカン・アイドルの予選を通過するためにやってるんでもない。俺はノイズを組み合わせて曲を作る。俺が感じるままのノイズだ。作曲家になんてならなくていい。ただ誠実にやればいい。俺はいつも自分が感じるあらゆる感情を表現しようとしている。ギグで解き放つ感情が歌に命を吹き込むんだ。</p>
<p>曲の中には歌うとき、ものすごく緊張するものもある。たとえばDeathDisco、あれは俺の母親の死について歌ったものなんだ。死で誰かを失うことに慣れることなんてできるわけない。</p>
<p>だがそうした歌を歌うとき、即興演奏というのはジェットコースターになる。俺が今PiLで一緒にやってるのはみんなすっげーいい連中ばかりで、高い技能と許容力を持ち合わせている。彼らがそのノイズとトーン、張り詰めたサウンドで俺をチャレンジしがいのある高みへ連れて行ってくれるんだ。</p>
<p>音楽にはどんな制限もルールもない、完全なる自由、最高の空間だと思うね。その代わりたくさんのものをつぎ込まなくちゃならないが、その価値はある。トレードオフさ。だけどそれだけの価値があるんだ。</p>
<a href="http://www.stroudnewsandjournal.co.uk/whats_on/music/11520964.John_Lydon___aka_Johnny_Rotten___to_talk_Sex_Pistols_and_more_at_Cheltenham_Literature_Festival/">'We all have an inner anger which should be used to a positive end' - John Lydon speaks to the SNJ ahead of the Cheltenham Literature Festival</a>
</blockquote>
<p>ね、今出す価値、読む価値のある本だと思うでしょ。原著は500ページを越えるぶ厚い本なんですが、Amazon Kindle版はなんとわずか<a
href="http://www.amazon.co.jp/Anger-Energy-My-Life-Uncensored-ebook/dp/B00KE4ITD2/">580円で売ってます</a>(580円というのは発売直後のサービス価格だったらしく、現在は通常価格になっています。2015/01/30 追記)。<p>
<p>でも「英語で500ページの本なんて読めないよ」という人が大半でしょう。そうですよね。邦訳出るかなあ。昨今の日本の出版状況からすると、このボリュームの翻訳本が出る可能性はきわめて低いんですよね。そのまま日本語にすると700ページ、800ページというボリュームになってしまうため、値段が高くなる
→ 売れる部数が限られる → 出しても採算取れない、ってことで、出版社は出すのをためらってしまうんですよね。<p>
<p>でもここは前作「No Irish, No Blacks,
No Dogs」を出したロッキングオン、意地見せて出してくれよお。今、一番出すべき本でしょう。全国の小中学校の図書館に必ず一冊は置いとくべき本だよ。<p>
<p>あ、そうそう、本のタイトル「Anger is an Energy」というのは、もちろんPiL(Public Image Ltd)の代表曲「Rise」のフレーズから取ったものです。<p>
<p><iframe width="640" height="360" src="//www.youtube.com/embed/IbT0DpMb7i0" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
<p>それから、この本の出版準備と<a
href="https://yasusii.blogspot.jp/2014/04/blog-post.html">ジーザス・クライスト・スーパースター出演</a>のため、ジョン・ライドンはPiLとしての活動を休止していましたが、12月にライヴ活動を再開、同時にニューアルバムのレコーディングを始め、来年夏発売の予定です。</p>
<dl>
<dt>(関連記事)</dt>
<dd><a href="https://yasusii.blogspot.jp/2011/03/no-irish-no-blacks-no-dogs.html">ロッキングオンにはジョン・ライドンの自伝「No Irish, No Blacks, No Dogs」の完全版を出していただきたい</a></dd>
<dd><a href="https://yasusii.blogspot.jp/2011/12/may-road-rise-with-you-rise.html">May the road rise with you (Rise - パブリック・イメージ・リミテッド)</a></dd>
<dd></dd>
</dl>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-33103435453811294212014-09-04T14:30:00.001+09:002015-11-15T13:29:53.239+09:00あなたたち、今までどこに隠れてたの?(Before The Dawn - ケイト・ブッシュ)<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://www.flickr.com/photos/shelbob/58995543/" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="http://4.bp.blogspot.com/-jz6akAwvP0o/VAf29tb_p_I/AAAAAAAANng/6bjFv9uNi40/s1600/58995543_232b7c8bfe_o.jpg" height="300" width="400" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">a sky of honey, a photo by <a href="https://www.flickr.com/photos/shelbob/">Sheldon Wood</a> on Flickr.</td></tr>
</tbody></table>
<blockquote>
<p>かつてポップコンサートにおいて、これほど好意的で、爆発のような轟音の喝采を受けた者があっただろうか。その大歓声に彼女が何と応えたのかよく聞き取れなかったが、おどけてこう言ったのだけは、はっきり聞こえた。<br />
「あなたたち、今までどこに隠れてたの?」</p>
<p><a
href="http://thequietus.com/articles/16098-kate-bush-live-review">An
Ultrahuman: Kate Bush Reviewed Live, By Simon Price</a></p>
</blockquote>
<p>こんなのを読んだだけで「ど、ど、どの口が言うかぁ!」とその場で号泣し始めてしまう長年のファンが後を絶ちません。ケイト・ブッシュ、35年ぶりのフルコンサートが8月26日、ロンドンのハマースミス・アポロ(旧ハマースミス・オデオン)で開幕になりました。一部ニュース・サイトなどでツアーと表現されていますが、正確に言えばツアーではありません。劇場は同じアポロ1ヶ所だけの連続公演です。10月1日まで、1ヶ月あまりの短期間に22回の公演が予定されています。チケットは発売から30分と経たないうちにすべて売り切れてしまいました。</p>
<p>いやね、ロンドンまで観に行くことができなかったんで、初日の成功がTwitter やニュースで報じられるまで、もう心配で心配でならなかったんですよ。だって、前にちゃんとしたコンサートをやったのって1979年だよ、ケイトがデビューして間もない二十歳のときだよ。そのときだってまともなステージ経験もないのに、いきなりイギリス、ヨーロッパで29回のコンサートをやってみんなをびっくりさせたんだけどさ。それが最後、あとはテレビショーで歌ったり、他のアーティストのコンサートにゲストとして出演したりというのが何度かあっただけ。ライヴ活動をまったくしてなかったの。しかもここ20年くらいはニューアルバム出してもキャンペーンで人前に出ることすらほとんどなかったんだから。</p>
<p>ケイトは今、56歳です。<a href="https://yasusii.blogspot.jp/2013/01/vermillion-border.html">同世代のヴィヴ・アルバーティンみたいな例</a>もあることだし、この歳になってステージ・カムバックというのも2014年的には有りでしょう。だけどさ、それならそれで普通は小規模なライブやテレビ出演で肩慣らししてから始めるよね。いきなり3時間におよぶステージを短期間に22回連続でやるなんて馬鹿なこと、誰も言い出したりしないよね。</p>
<p>35年前の自分の経験なんて、赤の他人の経験とさほど変わりありません。そんな長丁場で声は持つんだろうか、体力は持つんだろうか。それより何より、今の自分にステージで人を魅了する力なんてあるんだろうか。みんなをがっかりさせてしまうんじゃないだろうか。長年のブランクで雪だるま式に膨れ上がったファンたちの妄想を受け止める力なんてあるんだろうか。いかなる大スターであっても尻込みせずにいられない状況です。</p>
<p>でもファンならみんな知ってます。ケイトに常識は通用しません。今までもずっとそうだったし、これからも間違いなくそうです。世の中の状況とか流行とか、35年経ってるとか、他人はどうやるとか、常識的にどうだとかそんなの全部ケイトの前では意味を成しません。本人に尋ねたらきっと「あら、そんなに変かしら」ぐらい言うに決まってます。</p>
<p>公演日程も序盤を過ぎました。あとは事故なくすべての公演を終え、観に行くことのできなかった世界中のファンのために、コンサートのビデオが発売されることを祈るのみです。</p>
<p>コンサートの内容についてはtangerineさんという方が初日の様子を詳しくレポートしてくれてるので、以下をご覧ください。</p>
<ul>
<li><a
href="http://thenoisehomepage.cocolog-nifty.com/small_talk/2014/09/kate-bush-londo.html">Kate
Bush London Hammersmith Eventim Apollo 2014年8月26日 part1</a></li>
<li><a
href="http://thenoisehomepage.cocolog-nifty.com/small_talk/2014/09/kate-bush-lon-1.html">Kate
Bush London Hammersmith Eventim Apollo 2014年8月26日 part2</a></li>
<li><a
href="http://thenoisehomepage.cocolog-nifty.com/small_talk/2014/09/kate-bush-lon-2.html">Kate
Bush London Hammersmith Eventim Apollo 2014年8月26日 part3</a></li>
</ul>
<p>あとね、Twitterなどで「なんだ、初期の曲はやらなかったのかあ」みたいなのをよく見かけますが、ケイト・ブッシュは「今なお前進し続ける常識はずれのアーティスト」です。ケイトは「今が」全盛期です。まだ聴いてない方は最近の三作「Aerial」、「Director's Cut」、「50 Words for Snow」を聴くことを強くお勧めします。</p>
<p>コンサートの1曲目は「Lily」です。アルバム「The Red Shoes」のバージョンしか知らない人も多いと思いますが、近作「Director's Cut」ではこのように変貌を遂げています。このテンションで始まるんだよ。びっくりするよ。</p>
<p><iframe width="640" height="360" src="//www.youtube.com/embed/MNoF4tfg5BQ" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
<blockquote>
<p>ケイト・ブッシュはなぜ何十年も沈黙し、これをもっと早くやらなかったのだろう。それは彼女が生きて過ごす時間こそがこのショーを実現するために必要だったからなのだと思う。</p>
<p><a href="http://www.newstatesman.com/culture/2014/09/tracey-thorn-kate-bush-hammersmith-apollo-ecstatic-triumph-life-s-work">Tracey Thorn on Kate Bush at the Hammersmith Apollo: the ecstatic triumph of a life’s work</a></p>
</blockquote>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-71407044893529430652014-07-19T17:32:00.000+09:002015-11-15T13:31:13.562+09:00ジョン・ライドンの自伝はゴースト・ライターが書いた?<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="http://4.bp.blogspot.com/-qPRO-5MGRK8/U8or8AwKqYI/AAAAAAAANKo/Irxwk3282L4/s1600/nodogs.jpg20140719_0000.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="http://4.bp.blogspot.com/-qPRO-5MGRK8/U8or8AwKqYI/AAAAAAAANKo/Irxwk3282L4/s1600/nodogs.jpg20140719_0000.jpg" height="392" width="640" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">John Lydon with Keith and Kent Zimmerman</td></tr>
</tbody></table>
<p>タイトルはよくある釣りなのであわてないように。ジョン・ライドンの「No
Irish, No Blacks, No Dogs(邦題: Still A Punk - ジョン・ライドン自伝)」、書いたのはジョン・ライドン本人じゃなく別の作家ですが、ゴーストじゃなくて表紙にちゃんと名前が書かれています(上の写真)。ジョン・ライドンや周囲の人たちに取材をしてあの本を書いたのはキース/ケント・ジマーマン兄弟です。</p>
<p>ある人物の生い立ちやらエピソードなど、事実を元に書かれた本のうち、別の第三者が書いたものは伝記(biography)、本人が書いたものが自伝(autobiography)と呼ばれています。だから上記ジョン・ライドンの本は分類上伝記であって、自伝ではありません。</p>
<p>原著のどこにもautobiographyなんて書かれていないのに、わざわざタイトルを「ジョン・ライドン自伝」に変更して、表紙からジマーマン兄弟の名前をはずしてしまったのは日本のロッキング・オン社です。責めたい人はロッキング・オンを責めてください。</p>
<p>少し前、日本でもゴースト・ライター騒動がいくつかありましたが、どうして書いた人の名前の隠すような商習慣があるんですかね?「この本おもしろい。この人が書いた本、ほかも読みたい!」ってなっても、隠してたらわからないじゃない。</p>
<p>一方でロッキング・オンが出した日本語版、翻訳はすごくいいんです。口語が生き生きと訳されています。勉強になります。オラなんか、英語翻訳の教材として今でもよく読み返してます。ところがですね、翻訳者の名前がどこにも書かれていないんです。ひどい。</p>
<p>で、長いこと誰が訳したのかわからなかったんですが、数年前、偶然<a
href="http://www.amazon.co.jp/Still-punk%E2%80%95%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%B3%E8%87%AA%E4%BC%9D-%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%B3/dp/4947599286/">Amazon
のページ</a>を見て、<a href="http://csasj.org/j/member.html">竹林正子さん</a>が翻訳したものと判明しました。Amazon は権利関係をデータベースで管理しなければならないため、著者、翻訳者などをちゃんと表示してるみたいです。</p>
<p>今の若い方は知らないでしょうが、昔のロッキング・オンは「俺たちはスターを崇めたりしない。主役はスターじゃなくて、聴き手の俺たちの方だ!」という雑誌だったんですよ。で、英語の歌詞で言ってることもろくに理解しないまま、スタッフが強引な解釈を書きまくってて、逆にそれがおもしろい雑誌だったんです。それがいつから「主役の俺たち」をスターの影に隠すような商売になってしまったかなあ。あ、どれくらい昔かというと、1970年代、ロッキング・オンの値段が280円だった頃の話です。</p>
<p><a href="http://ro69.jp/product/book/detail/25755">2014年7月現在、「STILL A PUNK―ジョン・ライドン自伝」は品切れになっていて再版の予定がない</a>みたいなんですが、ロッキング・オンには、諸々の反省を踏まえ、初心に立ち返り、著者名、翻訳者名を正しく表記、さらに<a href="https://yasusii.blogspot.jp/2011/03/no-irish-no-blacks-no-dogs.html">大幅にカットした内容を追加して</a>、「No Irish, No Blacks, No Dogs (完全版)」を出版していただきたいと思います。</p>
<p>伝記、自伝の話をもうちょっと続けると、イギリス人ミュージシャンってよく自伝とかバイオグラフィー出しますよね。これ伝統なんだそうです。イギリスでは伝記がよく読まれていて、伝記を書く人の社会的な地位も確立されてるそうです。伝記がイギリスの長編小説に大きな影響を与えてきたそうです。<a href="http://www.shinchosha.co.jp/kangaeruhito/high/high100.html">丸谷才一さんがそう言ってるので間違いありません</a>。<p>
<p>ジョン・ライドンの本を書いたジマーマン兄弟はアメリカ人ですが、<a
href="http://gapersblock.com/bookclub/2011/06/23/how_criminal_a_conversation_with_keith_and_kent_zimmerman/">この本を書いたことで実力が認められて、ミュージシャンの伝記だけじゃなく、色々な本を書くようになったそうです</a>。あ、<a href="http://www.golfloco.com/2010/10/307/">アリス・クーパーの「Golf Monster」</a>もこの二人が書いたものです。</p>
<p>あと何だったかな。そうだ、<a href="http://www.pilofficial.com/pilpr29.html">ジョン・ライドンはホンモノの自伝をこの10月に出します</a>。今回はちゃんとautobiographyって言ってるので本人が書いてることは間違いありません。ただしひとりじゃ無理なので、Andrew Perryって音楽ジャーナリストとの共著になるって正直に言ってます。<a href="http://www.amazon.co.uk/Anger-Energy-My-Life-Uncensored/dp/1471137198/">Amazon UKにはもう載ってます</a>。タイトルは「Anger is an Energy: My Life Uncensored」。</p>
<p>
(追記)<br />
よく調べてみると、<a href="http://www.johnlydon.com/jlbooks.html">No Irish... 初版の表紙にはThe Autobiographyってサブタイトルが書かれていたことが判明</a>。つまりジョン・ライドン自身も執筆してたんだね。ごめん、ロッキング・オン、「ジョン・ライドン自伝」で間違ってなかったのな。それから竹林正子さんの名前も奥付に書いてあった。許してください。ということで、この文章自体が単にロッキング・オンに難癖つけただけみたいになってしまいましたが、それでももちろん完全版は出すべきだぞ。</p>
<dl>
<dt>(関連記事)</dt>
<dd><a href="https://yasusii.blogspot.jp/2011/03/no-irish-no-blacks-no-dogs.html">ロッキングオンにはジョン・ライドンの自伝「No Irish, No Blacks, No Dogs」の完全版を出していただきたい</a></dd>
<dd><a href="https://yasusii.blogspot.jp/2014/10/anger-is-energy-my-life-uncensored.html">怒りはエネルギーだ - ジョン・ライドンの自伝第二弾「Anger is an Energy: My Life Uncensored」</a></dd>
</dl>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-17598435318135181602014-07-19T00:00:00.003+09:002022-04-26T15:39:42.678+09:00Clothes, Clothes, Clothes. Music, Music, Music. Boys, Boys, Boys - ヴィヴ・アルバーティン自伝<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://www.flickr.com/photos/46123010@N04/14342551869/" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="http://4.bp.blogspot.com/-voFC0baeMdU/U8kzj0wWLlI/AAAAAAAANJs/0PE6I821snA/s1600/14342551869_984993812b_k.jpg" height="640" width="480" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">Clothes, Clothes, Clothes. Music, Music, Music. Boys, Boys, Boys, a photo by <a href="https://www.flickr.com/photos/46123010@N04/">themostinept</a> on Flickr.</td></tr>
</tbody></table>
<blockquote>
<p>自伝なんて書いて出すのはバカか文無しに決まってる。ま、私はどっちにも当てはまるかもね。</p>
</blockquote>
<p>ヴィヴ・アルバーティン(Viv Albertien)が50代後半になってソロで復活、<a href="https://yasusii.blogspot.jp/2013/01/vermillion-border.html">デビュー・アルバムをリリースしたのは一昨年のことです</a>。BBC 6 Music なんかけっこうプッシュしてたのですが、案の定、ごくごく一部を除いてほとんど話題になりませんでした。もちろんそんなことでメゲるヴィヴではありません。その後これといってライヴ活動もないままどうしていたかというと、<a href="https://www.youtube.com/watch?v=7hQWoF0e45Q">ジョアナ・ホッグ監督の映画「Exhibition」で主演</a>をつとめた後、自伝の執筆活動をしていました。執筆ったって書斎の机で書いてたわけじゃありませんよ、いつもの通り台所のテーブルで書いてたんです。</p>
<p>その自伝「<a href="http://faber.co.uk/catalog/clothes-clothes-clothes-music-music-music-boys-boys-boys/9780571297757">Clothes, Clothes, Clothes. Music, Music, Music. Boys, Boys, Boys</a>」は5月に出版されたのですが、これがイギリスでまさかの大ヒット、<a href="https://twitter.com/FaberBooks/status/489442983839010818">ヒースロー空港の書店のベストセラー・コーナーに陳列される事態にまで発展しています</a>。</p>
<p>ヴィヴのやっていたバンド、スリッツ(Slits)は、もちろん音楽ファンの間では元祖ガールズ・パンク・バンドとして有名ですけど、イギリスでさえ一般の人たちが誰でも知っているような存在ではありません。当然ほとんどの人は「ヴィヴ・アルバーティン?誰それ?」って感じのはずです。なのに自伝が大ヒットしたのはなぜなんでしょう?たぶんスリッツやヴィヴをまったく知らない世代にも共感できることが書かれているからなんだと思います。</p>
<p>本の内容ですが、ヴィヴの子供の頃から現在に至るまで、様々なことが「率直に」書かれています。何もそこまで書かなくても、ってことまで全部書いてあります。普通ここまであけすけに書いてしまうとスキャンダル狙いの売名行為とか言われかねないのですが、あまりにも堂々と率直にこれでもか、これでもかというくらい書かれているため、もはやそのような中傷のつけ入る余地すらありません。そうやってすべてを曝け出して生きるのがヴィヴ・アルバーティンという人間の生き方なんだ、って本です。</p>
<p>日本での出版予定はまだ無いので、ちょっとだけ中身をご紹介しましょう。貧乏な母子家庭にありながらも、ファッション大好き、音楽大好き、男の子大好きですくすくと育った少女ヴィヴは、アート系の大学に通いそこで(後にクラッシュを結成する)ミック・ジョーンズと出会い、セックス・ピストルズのライヴを観て、自分自身でステージに立つ決心をします。</p>
<blockquote>
<p>音楽の道に進み、どこかバンドに入るために大学をやめる。次に私がしなくちゃならないのは、それをママに話すことだった。私はママと一緒にロンドンの31番路線バスに乗った(景色がすばらしくて、私はよく用もないのにカムデン・タウンからノッティング・ヒルまでこのバスに乗っていた)。二階の前の席に座ってとりとめのないおしゃべりをした。</p>
<p>私は両足の間にギターを挟んで座り、ピストルズやらクラッシュやら、私が出会ったバンドの色んな人たちの話をした。ママはうんうんってうなずいて笑っていた。ママは私がずっと音楽に夢中なことをを知ってたし、私が楽器を習ってることを自慢に思っていた。今が私の計画を話すチャンス、そう思った。私は情熱的を込めて訴えた。<br />
「ママ、私、大学をやめてバンドをつくろうと思うの!」<br />
それを聞いた途端、ママは泣き出した。</p>
<p>ママを連れてバスを降り、チッパンハムのパブに入った。ママにお金を借りてレモネード・シャンディをひとつ頼み、半分ずつ二つに分けてテーブルに運んだ。ママは私を大学に入れるため、懸命に働いていた。大学へ進学した子供は親戚の中でも私が初めてだった。私の本や洋服をを買うため、ママは昼間の仕事が終わった後、夕方からクリーニング店で働いていた。だから私はまわりに貧乏だと思われたことなんてなかった。ママはいつも私を信頼して、考えを尊重してくれた。それなのに私は学校をやめようとしている。まだギターだって弾けやしないのに、学歴を得るチャンスをみすみす手離そうとしている。</p>
<p>自分が一体何をしようとしているのか、それは充分わかってる。それをママに伝えなくちゃならなかった。<br />
「ママ、私の着てるものを見てよ、誰もこんな格好してないでしょ。私、みんなとは違うのよ。ママは私がどれだけ音楽が好きか、よく知ってるよね。」<br />
ママはうなずいて、力なく笑おうとした。</p>
</blockquote>
ヴィヴ・アルバーティン、結構、かなりしょーもない娘です。思い込んだらまっしぐら、の割に実力や準備が伴いません。世のお母さんたちは、思わず引っぱたきたくなってしまうかも知れません。あるいは自分の昔を思い出して赤面してしまうかもしれません。
それでも彼女は様々な紆余曲折、みっともないこと、恥しいことを散々やった挙句、スリッツにギタリストとして参加、クラッシュのホワイト・ライオット・ツアーに同行することになります。この時点でヴィヴにはまだほとんどステージでの演奏経験がありません。初めてのステージがいきなりツアーで、当時流行していた観客からの唾吐きの洗礼を受けます。
<blockquote>
<p>「ワン、ツー、スリー、フォー!」<br />
曲は Shoplifting で始まった。ギターのチューニングがズレてたって、そんなの知らない。アリからときどき指摘されたけど、一体私にどうすれって言うのよ、ギターのチューニングなんてできないのよ。それでも演奏を続け、とにかく15分間のステージをやり切らなくちゃならない。</p>
<p>ステージの間中、唾の雨が嵐のように降り注いできた。私の髪は大量の唾だらけになった。目やギターのネックも唾で覆われた。滑ってギターのコードも押さえられない。アリを見たら、歌ってる彼女の口の中にも唾が入っていた。アリがそれを吐き出したのか飲み込んだのか、そんなこと知らない。自分の手が滑らないように注意してるだけで精一杯。</p>
<p>前列にいた観客がアリをステージから引き摺り降ろそうとした。すぐにみんな演奏をやめて、そいつらに襲いかかった。私はギターで殴った。パームオリヴもその連中をぼこぼこに殴った。警備員が来て、連中が顔から血を流したまま連れて行かれた後、私たちは演奏を再開した。</p>
<p>あっという間だった。楽器を床に叩きつけてステージを出た。ビールの缶が2、3個飛んできて、誰もいなくなったステージの上でガチャンと音を立てた。ミック・ジョーンズがステージの袖で待っていた。<br />
「上出来だよ」<br />
そう言って彼は私にキスをした。</p>
</blockquote>
<p>どう?続きを読みたくなるでしょう。スリッツやパンクのこと、全然知らなくてもおもしろいよ。だけど英語で400ページ越えるぶ厚い本なんで、翻訳が出版される可能性はかなり低いんです。音楽ファンだけをターゲットに翻訳出したら絶対に赤字。もっと広く、パンクなんて知らないって人にも読んでもらえる本だと思うのだけど、今の日本の出版社にはそんな余裕ないかなあ。イギリスでは映画化の話が出てきてもおかしくないくらいの勢いなんですけどね。</p>
<p>それからヴィヴを支えてくれたママは、<a href="https://twitter.com/viv_albertine/status/474146956173127680">この本の出版記念イベントの当日に亡くなったそうです</a>。</p>
<p><iframe width="640" height="360" src="//www.youtube.com/embed/e3t02TC0gc4" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
<dl>
<dt>(関連記事)</dt>
<dd><a href="https://yasusii.blogspot.jp/2013/01/vermillion-border.html">おばさんを甘く見るとウィッカーマンで焼かれるぞ The Vermilion Border - ヴィヴ・アルバーティン</a></dd>
<dd><a href="https://yasusii.blogspot.jp/2013/02/confessions-of-milf.html">靴は脱いでってば! (Confessions of a MILF - ヴィヴ・アルバーティン)</a></dd>
</dl>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-65716168985378351882014-06-07T23:13:00.000+09:002014-06-08T10:46:29.937+09:00神様ってのはそういう者を愛するんだろ? - ジョン・ライドン出演のジーザス・クライスト・スーパースター、全公演中止<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://www.flickr.com/photos/denaflows/12134668535/" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="http://4.bp.blogspot.com/-D3l-H3EFIjI/U5MbKTmLcYI/AAAAAAAAM0o/FkV9neqSvz8/s1600/12134668535_1cfc8e93bf_o.jpg" height="640" width="426" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">Bilbao BBK Live 2013 PIL, a photo by <a href="https://www.flickr.com/photos/denaflows/">Dena Flows</a> on Flickr.</td></tr>
</tbody></table>
<p>ジョン・ライドンがヘロデ王役で出演、今月9日のニューオリンズを皮切りに、北米54箇所をまわる予定だったミュージカル公演、ジーザス・クライスト・スーパースターの US ツアーは<a
href="http://www.jesuschristsuperstar.com/jesus-christ-superstar-arena-spectacular-tour-cancelled/">5月末の開始直前になって突然中止が発表されてしまいました</a>。こんな大規模なツアーがぎりぎりになって中止されるなんてよほどのことなんですが、公式サイトには何も理由が書かれていません。出演者やスタッフも同様に、満足な説明なしに突如中止を告げられたようで、<a
href="http://www.thewire.com/entertainment/2014/05/jesus-christ-superstar-cast-flashes-middle-fingers-after-tour-gets-canceled/371944/">Twitter
にも出演者らの怒りの声が上がってました</a>。</p>
<p>数日経って、<a href="http://www.billboard.com/biz/articles/news/touring/6113870/jesus-christ-superstar-tour-failed-due-to-horrific-ticket-sales">プロモーター Michael Cohl がニュースサイトの取材に応じました</a>。記事によると要するに「チケットがぜんぜん売れなかったので中止にした」ってことです。</p>
<p>アメリカの興業商売のことはよく知りませんが、こうゆうのってよくあるんですかね?なんか素人目には大々的にぶち上げてみたはいいけど資金が思うように集まらなくて、プロモーションにお金かけられなくて、それでもチケット売り上げで自転車操業しながらツアーやろうとしたけど、それもダメで万事休す、みたいに見えるんですけど。この Michael Cohl はミュージカル「スパイダーマン:ターン・オフ・ザ・ダーク」でも失敗してるんで、そっちの負けを取り戻そうとしてあせったんじゃないの?</p>
<p>まあ、一度中止が決定すると、あれこれ言っても再開されることはないので仕方ありません。初のミュージカル出演のため張り切って準備していたジョン・ライドンはこう言ってます。</p>
<blockquote>
<p>そのプロモーターとかいう奴とは一度ニューヨークでモメてるんだよ。あいつのことは気に入らなかったし、本能的に信用できない奴だと思ってた。</p>
<p>きっとみんながあっと驚くような中止理由を説明してくれるだろうよ。(プロモーターの)コール君は何で俺に電話しなかったんだ?5ドルくらいなら貸してやったのに。</p>
<p>どんな運命が待ち受けていようと、俺はそれを受け入れ最善を尽くすだけさ。神様ってのはそういう者を愛するんだろ?</p>
<p>次か?次はバレエをやることになってるんだ。</p>
<p><a href="http://www.nytimes.com/2014/06/01/arts/music/anger-for-jesus-christ-superstar-cast-and-a-black-eye-for-its-promoter.html">Anger for ‘Jesus Christ Superstar’ Cast, and a Black Eye for Its Promoter</a></p>
</blockquote>
<p>ということで、ジョニーおじさんのヘロデ王は幻に終わってしまいましたが、彼のバレエ、白鳥の湖にご期待ください。</p>
yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-86335886797299111952014-05-01T23:19:00.000+09:002014-05-02T11:45:16.495+09:00ハゲで太った中年の人魚がきみに会いにきました (Greens and Blues - ピクシーズ)<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://4.bp.blogspot.com/-2VprPBWEFE4/U2JWGa7iOGI/AAAAAAAAMqQ/J_zAzZSh6uA/s1600/greensandblues.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" src="http://4.bp.blogspot.com/-2VprPBWEFE4/U2JWGa7iOGI/AAAAAAAAMqQ/J_zAzZSh6uA/s1600/greensandblues.jpg" height="352" width="640" /></a></div>
<p>昨年、ピクシーズ(Pixies)のおじさんたち三人は、新作のレコーディング直前、長年一緒にやってきたキム・ディール姐さんに突如<ruby>三行半<rp>(</rp><rt>みくだりはん<rt><rp>)</rp></ruby>を突き付けられてしまいました。何でなのか分からない。何が悪かったんだろう?三人は途方に暮れました。</p>
<p>それでも新作のレコーディング用にスタジオも予約しちゃっていたし、いつまでもお布団の中で泣いていられない、三人はがんばってレコーディングしました。がんばってちゃんとしたものを作りました。それで新しいベーシスト、キム・シャタックを迎えてツアーにも出ました。ところが半年も経たないうちに新しいキムをクビにしてしまいました。しかもそのことをブラック・フランシスたちは直接キムに伝えず、マネージャーに言わせたというのです。</p>
<p>そりゃあねえ、キム・シャタックがしっくり来なかったというのは<ruby>傍目<rp>(</rp><rt>はため</rt><rp>)</rp></ruby>にもわかりますよ。だけどねえ、そうゆうことはやっぱりメンバー自身の口からちゃんと伝えるべきことじゃないの。そうゆうウジウジなとこがキム・ディールに見放される原因だったと思うよ。</p>
<p>それでまた三人はお布団にもぐり込んだのかというとそんなことはなくて、EP、アルバムと立て続けに発表、新作のプロモーションも積極的にこなしました。昨日、今日、ウジウジし始めたわけじゃなくて、デビュー以来一貫してウジウジしてる人たちですから年季が入ってるんです。</p>
<p>そんなウジウジ三人組を天は見放さず、パズ・レンチャンティンという新しい女性ベーシストを授けてくれました。このパズがすごくいいんです。パズがベースのヘッドに赤いお花を付けて「ぱらぱっぱっぱー」と歌うと、ああ、新しいピクシーズが生まれたんだなって実感できます。</p>
<p>アルバム「Indie Cindy」制作の段階ではまだパズは参加しておらず、パズはまだ正式メンバーというわけではないみたいなんですが、今度こそ三人揃ってパズに「ぼくらと一緒になってください」と頭を下げるべきだと思います。</p>
<p>ということで、ハゲで太った中年の人魚がきみに会いにきました。本人はたまたま立ち寄っただけなんて言ってますが、もちろん嘘です。
<p><iframe width="640" height="360" src="//www.youtube.com/embed/xH0mVEUQwWQ" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
<blockquote>
<p>たしかにぼくはの心は、ここにあらずってやつだね<br />
すぐにバラバラになって森の中を<ruby>彷徨<rp>(</rp><rt>さまよ</rt><rp>)</rp></ruby>ってしまうんだ<br />
ちょっと気味悪く感じたとしたら<br />
申し訳ない、許してほしい</p>
<p>ぼくは自分が人間だなんて言ったけど、そう、嘘なんだ<br />
この浜辺にはたまたま立ち寄っただけで<br />
すぐ海の向うへ出発しなくちゃならない<br />
またきみと会えることを祈るよ</p>
<p>ぼくはおしゃべりばかりして、きみの時間をムダにしてるね<br />
もう家に帰りたいのかもしれないのに<br />
でもすぐにぼくはここを離れる、そしたらきみはぼくのことなんて忘れてしまう<br />
ぼくは<ruby>翠<rp>(</rp><rt>みどり</rt><rp>)</rp></ruby>と<ruby>碧<rp>(</rp><rt>あお</rt><rp>)</rp></ruby>の中に、すっと消えてしまう</p>
<p>ぼくは自分が人間だなんて言ったけど、そう、嘘なんだ<br />
この浜辺にはたまたま立ち寄っただけで<br />
すぐ海の向うへ出発しなくちゃならない<br />
またきみと会えることを祈るよ</p>
<p>ぼくはおしゃべりばかりして、きみの時間をムダにしてるね<br />
もう家に帰りたいのかもしれないのに<br />
でもすぐにぼくはここを離れる、そしたらきみはぼくのことなんて忘れてしまう<br />
ぼくは翠と碧の中に、すっと消えてしまう</p>
<p>翠と碧の中に<br />
翠と碧の中に</p>
</blockquote>
yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-43002045419946927592014-04-05T23:49:00.000+09:002015-11-15T13:33:38.995+09:00「この俺がイエス様と一緒に歌うんだぜ。これ以上のことをいったい誰が何を望むっていうんだよ」ジョン・ライドン、ミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」にヘロデ王役で出演<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="https://www.flickr.com/photos/goldsoundzit/10809009863/" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="http://1.bp.blogspot.com/-TJ0Iun2U_U0/U0AVc6o5hEI/AAAAAAAAMiQ/tDNKmBTbfyA/s1600/10809009863_4eddd3f512_o.jpg" height="425" width="640" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">PIL @ Atlantico Live, Roma - 27 ottobre 2013, a photo by <a href="https://www.flickr.com/photos/goldsoundzit/">GoldSoundzIt</a> on Flickr.</td></tr>
</tbody></table>
<p>2010年以降、毎年春になるとライヴツアーを開始している PiL が、なぜか今年は何の音沙汰もありません。ジョン・ライドン、せっかく調子出てきたのに今年はお休み?と思っていたところ、昨日、驚きのニュースが発表されました。</p>
<p><a href="http://www.jesuschristsuperstar.com/north-america-arena-spectacular/">ジョン・ライドンがミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」にヘロデ王役で出演。6月9日から北米54都市をツアーします。</a></p>
<p>ファンとして2009年に復活してからのはジョンの活躍ぶりを見て、そろそろ映画やドラマから出演の声がかかるんじゃないかなって思っていたんですが、まさかの舞台ミュージカル、あろうことか「ジーザス・クライスト・スーパースター」、これはまったく予想してませんでした。</p>
<blockquote>
<p><a href="http://www.jesuschristsuperstar.com/artists/john-lydon/">この俺がイエス様と一緒に歌うんだぜ。これ以上のことをいったい誰が何を望むっていうんだよ</a></p>
</blockquote>
<p>さて、このミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」、舞台や映画の DVD が発売されていて、国内では劇団四季の演目にもなってるので観たことある人も多いかと思います。一方で「キリスト教礼賛ミュージカルでしょ?何でそんなのにジョン・ライドンが出演?興味ないね。」という人が結構いるかもしれません。別にキリスト教やミュージカルに詳しいわけじゃありませんが、そんな人たちのためにオラの生半可な知識で簡単にご紹介しておきます。</p>
<p>まずこのミュージカル、最初からミュージカルだったわけではありません。最初はレコードだったんです。アンドリュー・ロイド・ウェバーというイギリス人の作曲家が曲を作り、ロック・ミュージシャン達を雇い、キリストが処刑されるまでの7日間の話を元に演劇仕立てのレコードを作ったんです。このレコードが大ヒットしたためその後で舞台化が実現しました。ミュージカルの初演は1971年ですが、40年以上を経た今もウェバーが立ち上げた劇団 <a
href="http://www.reallyuseful.com/">The Really Useful Group</a> を中心に世界中で上演が続いている作品です。</p>
<p>で、中身はですね、イスカリオテのユダとキリストのお話です。</p>
<p>時代は現代なのか大昔なのかよくわからないようになっています。とにかくユダヤ人の国イスラエルがあります。形式的にイスラエルは独立した国でヘロデ王というのが統治してるんですけど、実質的にはローマ帝国の支配下にあります。民衆たちは貧困や圧政に苦しんでいます。</p>
<p>そこに「神の子」を名乗るひとりの青年キリストが現われ、病気の人を治したり、パンのかけらを籠いっぱいに増やしたりの奇跡をおこなったため「彼こそユダヤの王だ」と大評判となり、彼を慕う人々が大勢集ってきます。一方、権力者たちはキリストに集まる人々の動きを警戒します。これ以上騒ぎが大きくなってはローマから反乱の動きと捉えられかねないからです。ローマと戦争になったのではイスラエルはひとたまりもありません。</p>
<p>その気配をいち早く察知し、キリストやその支持者たちに危害が及びかねないと心配した友人のユダは、キリストに警告します。「もう神の子を名乗るのはよせ。普通に大工として生きればいいじゃないか」。しかしキリストはユダの言葉に耳を貸そうとしません。キリストは自信たっぷりで、娼婦マグダラのマリアに膝枕でナデナデされて喜んだりしています。ユダは思い悩んだ末、キリストや人々を守るため、権力者たちによるキリストの逮捕に手を貸します。</p>
<p>キリストは逮捕されたといっても別に盗みや殺人を犯したわけではありません。「神の子」を名乗ってるだけです。普通なら「おかしなことを言って人々を惑わせるな」でムチ打ちとかで済むはずだったのですが、権力者間の責任の押し付け合い、責任転嫁のせいであれよあれよという間に十字架にはりつけられることに。そして思い余ったユダは...。</p>
<p>何だかいつの時代も世界中のどこでも変わんないねえ、というお話です。ユダとキリストの間に同性愛的な雰囲気が漂い、見方によってはマグダラのマリアを加えての三角関係のお話とも取れます。</p>
<p>今でこそ「ジーザス・クライスト・スーパースター」はミュージカルの名作としての評価を確立していますが、発表当時は「神への冒涜だ!」と大変なバッシングを受けた作品です。だから「俺はアンチ・キリストだ」「教会は犬(Dog)をさかさまにしただけの God に祈りを捧げる場所」と歌ったジョン・ライドンを選んだのも、当然といえば当然の成り行きです。</p>
<p>今回、我らがジョン・ライドンが演ずるのは<ruby>傀儡<rp>(</rp><rt>かいらい</rt><rp>)</rp></ruby>のユダヤ王、ヘロデです。出番は少ないのですが、このミュージカル一番の憎まれ役です。ビデオは2000年の映画版、リック・メイオールのヘロデ王ですが、これをジョン・ライドンが演じるとどんなことになるのか、すごく楽しみ。</p>
<p><iframe width="640" height="360" src="//www.youtube.com/embed/AaXGVlVNi2o?list=PL558F6273810C07C3" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
<p>(2014-06-07追記)このミュージカルは残念なことに中止になってしまいました。<br />
<a href="https://yasusii.blogspot.jp/2014/06/blog-post.html">神様ってのはそういう者を愛するんだろ? - ジョン・ライドン出演のジーザス・クライスト・スーパースター、全公演中止</a>
</p>
yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-8347388470896612062014-01-20T00:50:00.000+09:002016-01-16T14:27:27.978+09:00真実と伝説なら伝説を選べ - 映画「24 Hour Party People」<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="http://4.bp.blogspot.com/-y9lC7TGg9Q8/UtvwVRuBO_I/AAAAAAAAMaQ/fy02bCut8wQ/s1600/HowardDevoto.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="http://4.bp.blogspot.com/-y9lC7TGg9Q8/UtvwVRuBO_I/AAAAAAAAMaQ/fy02bCut8wQ/s1600/HowardDevoto.jpg" height="358" width="640" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">The man who put latex gloves on</td></tr>
</tbody></table>
<p>先日 <a href="https://www.google.com/intl/ja/chrome/devices/chromecast/">Chromecast</a> を入手しました。テレビの HDMI 端子に差して YouTube なんかの動画をテレビ画面で表示する装置なんですけど、なかなか便利です。PC だって最近のディスプレイは大きいし、大して変わらないんじゃね?と思ってる人がまだ多いんじゃないかと思いますが、違うんですよ。テレビだと「ね、ね、おもしろいの見つけた、見て、見て!」ってすぐ家族に見せられるし、スマホ使って寝転がって操作できるんです。それに <a href="https://play.google.com/store/movies">Google Play</a> で映画をレンタルしてすぐにテレビで観ることもできます。</p>
<p>ということで、見損ねていた映画を色々借りて観たりしてるんですが、その中のひとつが「24 Hour Party People」です。イギリス、マンチェスターの音楽レーベル「ファクトリー」そしてクラブ「ハシェンダ」の栄枯盛衰を経営者のトニー・ウィルソンを中心に描いた映画です。ファクトリーの音楽同様、一部に熱狂的なファンのいるカルト的な映画です。10年以上前の映画ですいません、今まで観たことなかったんです。</p>
<p>10年遅れて観た奴が偉そうに言うのも何ですが、字幕の誤訳を発見してしまいました。字幕の誤訳なんて珍しくも何ともありませんが、ちょっとこれは映画のテーマにも関わる部分だと思うので、ファンのみなさんのためにも書いておきます。</p>
<p>映画の前半、セックス・ピストルズのライヴを観て新しい音楽文化の誕生を感じたトニー・ウィルソンはライヴ・ハウス商売に乗り出します。マンチェスターのライヴハウスを週1日だけ借り切って、そこに毎週自分が目を付けたバンドを出演させるという企みです。初日の盛況ぶりに気を良くしたライヴハウスのオーナーは、駐車場に停めたワゴン車に娼婦を呼んでそこにトニーを誘います。トニーは最初こそ遠慮したものの、ちゃっかりご相伴にあずかります。</p>
<p>その駐車場にトニーを探して彼の妻リンジーがやってきます。何やら怪しい物音のするワゴン車のドアをリンジーが開けると、娼婦の頭を股間に当てがったトニーの姿がありました。怒りに震えるリンジーはライヴハウス店内に戻り、トニーへの当て付けとしてハワード・デヴォートを誘います。</p>
<p>一方、コトが済んだトニーは店内に戻って妻を探しますが、今度はリンジーが見つかりません。トニーがトイレへ行くと奥の個室で怪しい物音がします。近づいてみると、ドアを開け放したままリンジーとハワードがフン、フン、フン、アン、アン、アンと行為の真っ最中でした。それでもトニーは冷静を装ったままリンジーに「失礼、車のキーは?」と尋ねます。リンジーもまた体勢はそのままで「バッグの中」と答えます。バッグから鍵を取り出したトニーは「ぼくは口だけだったけど、君はフルじゃないか」と捨てゼリフを残してその場を立ち去ります。それと同時にフン、フン、フン、アン、アン、アンの声が再開します。</p>
<p>さて問題のシーンはここからです。まずは日本語字幕版の通りに紹介します。</p>
<p>トニーが立ち去るトイレにゴム手袋をして洗面台を清掃している男がいます。黒ぶちメガネにスキンヘッドの男です。彼はおもむろに顔を上げてこう言います。</p>
<blockquote>
<p>忘れたい出来事だった</p>
</blockquote>
<p>その瞬間映像は停止してトニーのナレーションが入ります。</p>
<blockquote>
<p>これはハワードの実話だ。僕らは水に流すことで同意したらしい。僕は賛成する。ジョン・フォード監督の「真実と伝説なら伝説を選べ」に</p>
</blockquote>
<p>何となくわかったような、わかんないような、ちょっと変なセリフだと思いませんか?実はここの訳が変なんですよ。</p>
<p>この映画、登場するのはみな実在、あるいはかつて実在していた人ばかりなんですが、トニー・ウィルソンを始めすべての人物(ただしマーク・E・スミスを除く)を俳優が演じています。ですが、何人か本人がエキストラで出演していて、トイレ掃除をしていたのがハワード・ディヴォート本人なんです。</p>
<p>もう一度問題のシーンに戻りましょう。今度は英語原文と一緒に私の訳でいきます。ハワード・ディヴォート役の俳優がリンジー役と奥の個室でフン、フン、フン、アン、アン、アンとやっています。そこでトイレ掃除夫役のハワード・ディヴォート本人が顔を上げてこう言います。</p>
<blockquote>
<p>これはまったく身に覚えのないことなんだ</p>
<p>I definitely don't remember this happening</p>
</blockquote>
<p>この瞬間映像が停止してトニーのナレーションが入ります。</p>
<blockquote>
<p>こちらがホンモノのハワード・ディヴォートだ。彼とリンジーは、これは事実じゃないと言い張っている。だが僕はジョン・フォード監督の言葉を支持する。「真実と伝説なら伝説を選べ」だ。</p>
<p>This is the real Howard Devoto. He and Lindsay insist we make
clear that this never happened. But I agree with John Ford. When you
have to choose between the truth and the legend, print the legend.</p>
</blockquote>
<p>これならちゃんと意味が通りますよね。この映画がどんな映画であるかを登場人物自身が宣言しているシーンです。虚実ない交ぜの映画だよってバラしちゃってる重要なシーンです。</p>
<p>人間ねえ、これは真実だ、これが事実だって強く主張すると却って疑いの目で見る一方で、こんなの伝説だよ、虚構だよって言うとなぜかそこに真実を見い出そうとする変な癖があるんです。</p>
<p>前述の字幕はどうしてこんな間違いしちゃったかなあ。たぶんトイレの掃除夫がハワード・ディヴォートだと分からなくて「なんでこんなところで掃除夫がセリフを言うんだろう」って疑問を感じながら雰囲気で適当に訳しちゃったんだろうな。</p>
<p>あ、ハワード・ディヴォートって誰だか知らない?マガジンのヴォーカリストのハワード・ディヴォートです。次の映像は1977年、ちょうど映画のシーンと同じ頃にマガジンがトニー・ウィルソンの番組「So It Goes」に出演したときのものです。冒頭ちらっと映っているのがホンモノのトニー・ウィルソンです。</p>
<p><iframe width="480" height="360" src="//www.youtube.com/embed/1kFVxR9wBaU" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
<p>(2014/01/21 追記)</p>
<p>「"print the legend" が何で "伝説を選べ" になるの?」という質問をいだだきましたので捕捉します。</p>
<p>そうだよねぇ、今どきみんなジョン・フォードとかジョン・ウェインなんて知らないもんねぇ。これはですね、ジョン・フォード監督の映画「リバティ・バランスを射った男 (The Man Who Shot Liberty Valance)」に出てくる新聞記者の有名なセリフなんです。トニー・ウィルソンのセリフとはちょっと違います。</p>
<blockquote>
<p>ここは西部です。事実が明らかになっても伝説のほうを記事にするんです</p>
<p>This is the West, sir. When the legend becomes fact, print the legend</p>
</blockquote>
<p>新聞記事にして発行するから print なんです。あまり色々書くとこっちの映画のネタバレになってしまうので、興味ある人はジョン・フォードの映画をご覽ください。</p>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-62789769229679516212013-12-06T21:30:00.002+09:002013-12-06T21:41:29.551+09:00マニホールド氏の決断 (The Book - Magazine)
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="http://www.flickr.com/photos/eamoncurry/5132195800/" style="margin-left: auto; margin-right: auto;" title="Where now? Staffordshire (Manifold Trail) by eamoncurry123, on Flickr"><img alt="Where now? Staffordshire (Manifold Trail)" height="375" src="http://2.bp.blogspot.com/-I42PIQoc6Ns/UqHC4XzC3-I/AAAAAAAAMSo/myz-KDuU6rg/s1600/5132195800_1a874aa47e.jpg" width="500" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">Where now? Staffordshire (Manifold Trail), a photo by <a href="http://www.flickr.com/photos/eamoncurry/">Eamon Curry</a> on Flickr.</td></tr>
</tbody></table>
<p>男は地獄の扉の前に立っていた。彼をマニホールド氏と呼ぶことにしよう。マニホールド氏は地獄の扉の前に立っていた。それはなぜか、巧妙に頑固さを通した彼の一生の終着点にふさわしく思えた。彼は常々言っていた。「夢から覚めることなんて望まない。」「自分の頬をつねって目覚めるなんて、現実に戻る気なんてない。」実際、そんな考えが浮かぶたびによく笑っていたのだ。顔にこそ出さなかったが、自分が地獄の扉の前にいることを知って彼は驚いていた。</p>
<p>親切そうな老人がひとりいた(ひょっとしたら彼の父親に似ていたかもしれない)。どうやら門番らしい。老人は座って本を読んでいたのだが、素早く立ち上がると、形式張った挨拶などする間もなくこう言った。「少しの間この本を持っていてくださらんか。わしは扉を開けねばならんのでの。」(そう、ご存じの通り扉を開けるには二つの手が必要だ)その老人は何か訳があって、本を椅子に置かなかったのだ。</p>
<p>あっという間のできごとだった。だがマニホールド氏は自分がある決断を下してしまったことに気付いた。老人から本を受け取ってしまったのだ。ほとんど他人ごとのように。いささか奇妙にも思えた。些細なことだと思おうとしたが、それが自分の地獄行きを後押ししてしまったように感じた。彼にとって最も安易な道を選んでしまったように思えた。結局は本をしっかりつかんだままだったが、当然彼は突然ひらめいた。「きっとこれは猶予をもらうチャンスなんだ。最終テストなんだ。良い行いをすべて悪いものにしてしまう最後のどんでん返しなんだ。」</p>
<p>次に彼が気付いたのは、以前老人とその本について議論を交わし、本を老人に返したことがある、ということだった。彼は地獄へ通されたのだ。
</p>
<p><iframe width="480" height="360" src="//www.youtube.com/embed/1fihHdMxpQE" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-54903648276703242472013-11-23T22:32:00.000+09:002015-11-15T13:35:10.335+09:00俺は分泌物なんかじゃない (セックス・ピストルズ - Bodies)<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="http://www.flickr.com/photos/98759094@N00/9195278368/" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="http://3.bp.blogspot.com/-yDW4m7qvXtc/UpCsBFnhalI/AAAAAAAAMGg/_vq2a5465sQ/s1600/9195278368_584a7d35ac.jpg" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">A photo by <a href="http://www.flickr.com/photos/98759094@N00/">sparkleplen_t</a> on Flickr.</td></tr>
</tbody></table>
<p>ちょっと遅くなってしまいましたけど、<a href="https://yasusii.blogspot.jp/2013/10/bmi-icon-award-2013-bmi-icon.html">ジョン・ライドンの BMI Icon 受賞</a>を祝して、セックス・ピストルズ時代の曲についてひとつ書きます。</p>
<p>セックス・ピストルズ(Sex Pistols)のコンサートで一番の大合唱になる曲はどれでしょう?God Save The Queen?Anarchy in the UK?それともPrettyVacant?うん、どれも一緒に歌う人はたくさんいるけどね、違います。曲が始まるやいなや会場を揺るがす怒涛のような大合唱が起きる曲は Bodies です。</p>
<p>どれほどの大合唱なのかというと、観客が歌ってるバージョンがピストルズの公式ライヴ・レコーディングになるほどです。日本ではライヴ・アルバム「FilthyLucre Live」に Buddies(相棒ども)というタイトルで収録されており、イギリスの場合はシングルのB面としてリリースされています。</p>
<p>Bodies は生きてる人間の体じゃなくて死体という意味です。何の死体かというと胎児の死体です。そして曲のテーマとして取り上げられているのは中絶、堕胎、abortionです。この曲を書いた当時のジョニー・ロットン(Johnny Rotten)はまだハタチかそこらでした。</p>
<p>ハタチかそこらの若いあんちゃんが堕胎をテーマに歌をつくった?しかもそれが何十年も歌い継がれるようなアンセムになった?そんなどう考えてもあり得ないようなことを現実のものにしたのがセックス・ピストルズであり、ジョニー・ロットンという人です。</p>
<p>一方この曲の歌詞をただ単に人口中絶をした尻軽女を<ruby>蔑<rp>(</rp><rt>さげす<rt><rp>)</rp></ruby>んでいるだけのものと受け取っている人も多いようですがそうではありません。ジョニー自身はこの曲について次のように言ってます。</p>
<blockquote>
<p>俺はまだ幼いうちから現実というものを受け入れるしかない環境にいたんだ。俺が住んでいたのは便所が外にある二部屋しかない家だった。その家で母親が流産したんだ。もちろん母親を責めるつもりはないが、生まれていれば俺の弟か妹になって一緒に遊んだかもしれないものを、俺は片付けてトイレに流さなくちゃならなかったんだ。それがどんなにショックなことかわかるだろ。</p>
<p>俺は中絶反対派でも賛成派でもない。だが女性は自分で生むか生まないかを選択できるようにすべきだ。でも当時の生活はテレビドラマの"Steptoe & Son"をさらに醜悪にしたような世界だった。それでもあんたがあの曲を中絶反対の歌だと思うんなら、あんたは哀れなオマン...じゃなくてソーセージ野郎だ。</p>
<p><a href="http://www.johnlydon.com/q05.html">The Q Interview - I want to take the Sex Pistols to Iraq!</a></p>
</blockquote>
<p>観客のひとりひとりが歌詞の内容を深く考え、感銘を受けて歌っているなんてことはあり得ません。そのサウンドと声と、言葉の断片からある種の悲しさとか怒りが自分の中にも湧き起こってきて、歌わずにいられないんです。</p>
<p>中絶したことがある人も、したことない人も、絶対しない人も、これからするかも知れない人も、恋人に中絶を求めたことがある人も、妻が黙って中絶したのに全然気付かなかった人も、よくわからない人もみんな一緒になって腹の底から歌います。Bodies です。聴いてください。</p>
<p><iframe width="640" height="360" src="//www.youtube.com/embed/XO8Rcw3pkrU" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
<blockquote>
<p>バーミンガム生まれの彼女は<br />
赤ん坊を堕ろしたばかりで<br />
精神病だった<br />
彼女の名前はポーリン<br />
森林破壊阻止を訴えて木の上に住んでいた</p>
<p>自分の赤ん坊を殺したどこにでもいる女<br />
彼女は田舎から何通も手紙を送りつけてきた<br />
だけどあいつは動物だった<br />
最低の恥さらしだった</p>
<p>死体 - 俺は動物じゃないのに<br />
死体 - 俺はケダモノなんかじゃないのに</p>
<p>工場の作業台の上で掻き出される<br />
違法な堕胎が行われる場所<br />
便所に置き去りにされた小さな包みの中で<br />
小さな赤ん坊が叫びを上げながら死んでいく</p>
<p>死体が叫ぶ - こんなひどい扱いってあるかよ<br />
俺はケダモノじゃないのに<br />
これが中絶というやつなんだ</p>
<p>死体 - 俺はケダモノじゃないのに<br />
ママ - 俺は出来損ないなんかじゃないのに</p>
<p>ピクピクと体を痙攣させ<br />
喉をゴボゴボ鳴らして呪いの言葉を吐く<br />
俺は分泌物なんかじゃない<br />
排泄された蛋白質じゃない<br />
ピクピクの痙攣なんかじゃない</p>
<p>あれもこれも糞くらえ<br />
糞くらえなガキは糞を食え<br />
彼女はあんな子ども欲しくないんだ<br />
俺はあんな子ども欲しくないんだ</p>
<p>死体 - 俺はケダモノじゃない<br />
死体 - ワタシは出来損ないなんかじゃない<br />
死体 - ボクはケダモノじゃない<br />
死体 - 俺は出来損ないじゃないのに</p>
<p>ママ...</p>
</blockquote>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-23182543539221239082013-10-17T21:54:00.000+09:002013-10-17T22:17:57.937+09:00ジョン・ライドンが BMI London Award 2013 の BMI Icon 受賞<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="http://4.bp.blogspot.com/-3KhjcxcUxIQ/Ul_co97ATjI/AAAAAAAAMEE/rDa_bk0hSrY/s1600/bmiiconaward.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="http://4.bp.blogspot.com/-3KhjcxcUxIQ/Ul_co97ATjI/AAAAAAAAMEE/rDa_bk0hSrY/s1600/bmiiconaward.jpg" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">「俺はアイコンなんかじゃない、ジョニーキャン、アイキャンだ」</td></tr>
</tbody></table>
<p>10月15日、ロンドンで2013年 BMI London Awards の授賞式が開催され、<a href="http://www.bmi.com/news/entry/john_lydon_named_bmi_icon_at_2013_bmi_london_awards">我らがジョン・ライドンが BMI Icon 賞を受賞しました</a>。</p>
<p>「BMI、何それ?デブの人のベストドレッサー賞?」と思う人がいても無理はないんですが、違うの。BMI ってのは Broadcast Music, Inc. の略で、音楽が放送やコンサートでの使われたときの著作権使用料を徴収するアメリカ本拠の非営利団体です。日本でいえば JASRAC みたいなもんです。</p>
<p>で、BMI Icon 賞ってのは「ある世代の他の音楽家たちに多大な影響を与えた<ruby>類い稀<rp>(</rp><rt>たぐいまれ</rt><rp>)</rp></ruby>なソングライターに与えられる」もので、これまでにレイ・デイヴィスやヴァン・モリソン、ブライアン・フェリーなど<ruby>錚々<rp>(</rp><rt>そうそう</rt><rp>)</rp></ruby>たる面々が受賞しています。ジョン・ライドンはそのような「ソングライター」のひとりとして選ばれたわけです。</p>
<p>以前 <a href="http://rockhall.com/inductees/sex-pistols/">Rock and
Roll Hall of Fame</a> にセックス・ピストルズが選ばれたときは「<a
href="http://dangerousminds.net/comments/john_lydons_handwritten_rant_to_the_rock_and_roll_hall_of_fame_1996">俺たちがロックの殿堂入りを喜んで、2万5千ドルも払ってディナー・パーティに出席すると思ってんのか、バーカ</a>」と言って授賞式に出なかったんですが、今回はたいへん喜んでいて UK ツアーの最中にも関わらず
PiL のメンバーや妻のノラと一緒に出席しました。</p>
<blockquote>
<p>審査員たちはほかの無難なやつを選んどけばいいものを、あえて俺の業績に注目してくれたんだぜ。俺からすれば、それがすごく大切なことなんだ。</p>
<p>俺は賞なら何でももらうってタイプの人間じゃない。この賞をもらうことにしたのは、それが俺にとってものすごく意味のあるものだったからさ。</p>
<p>あいつら(BMI)は俺たちに金が入るように日夜戦ってくれてるんだぜ。胸がアツくなるよ。</p>
<p><a href="http://www.eveningtelegraph.co.uk/life/celebrity-life/john-lydon-honoured-at-bmi-awards-1.142219">John Lydon honoured at BMI Awards</a></p>
</blockquote>
<p>著作権といえば、普通バンドとして活動している場合でも著作権者としてクレジットするのは直接作詞や作曲に関わったメンバーの名前だけです。これがメンバー間の収入の差となって、後々関係がギクシャクするというのはよくあることです。</p>
<p>セックス・ピストルズやジョン・ライドンがそれまでの常識を破って始めたことは山ほどあるんですが「レコーディングに関わったメンバー全員の名前をソングライターとしてクレジットする」というのもそのひとつです。ピストルズがレコードを出した当時そんな例はほとんどなかったもんだから、みんなレコードを見て「あれ?曲のクレジットにメンバー全員の名前が書かれてる!」って驚いたものです。</p>
<p>後続のパンク・バンドもこぞってこれを真似したんですが、その意味を理解したのはずっと後になってからのはずです。今ではジャンルを問わず、色んなバンドが曲のクレジットにメンバー全員の名前を載せるようになりました。こんなところでも、後のバンドに大きな影響を与えてるんですよ、ジョン・ライドンという人は。</p>
<p>BMI のサイトでは著作権者のクレジットが検索できるようになっていて、たとえばシド・ヴィシャスがベースを弾いている「Bodies」という曲にはちゃんと<a href="http://repertoire.bmi.com/title.asp?blnWriter=True&blnPublisher=True&blnArtist=True&keyID=134643&ShowNbr=0&ShowSeqNbr=0&querytype=WorkID">本名の
John Simon Beverleyでソングライターとしてクレジットされている</a>ことが分かります。今でもこの曲がラジオなどで流れる度に彼(の遺族)にお金が入るわけです。</p>
<p>ところで BMI 授賞式のニュース、NME を始めイギリスの商業音楽サイトにはなぜかほとんど取り上げられていません。同じイギリスでも先のインタビューを掲載した Evening Telegraph など一般のニュースサイトでは報じられているのに、商業音楽ニュースサイトはほぼ無視です。</p>
<p>理由はよくわかりませんが、どうやら BMI がアメリカ本拠の団体なのでイギリス音楽ギョーカイ的には取り上げたくないみたいですね。アメリカの著作権管理団体なのにロンドンにも拠点を置いて BMI London Award みたいに派手なイベントをやってるわけです。音楽著作権流通のグローバル化を見据えてイギリスでもアピールしたい BMI、「ここは俺の縄張りだぞ、入ってくんな!」というイギリス側、という構図なんじゃないかな。知りませんけど。</p>
<p>一方のアメリカ側は Rolling Stone が <a href="http://www.rollingstone.com/music/news/q-a-john-lydon-feels-fantastic-about-icon-award-20131015?asid=afc4f8fb">BMI Icon 賞、授賞式直前インタビュー</a>を掲載しています。</p>
<p><iframe width="640" height="480" src="//www.youtube.com/embed/vDWfUpTH7QY" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-25152446172827360732013-09-20T23:18:00.000+09:002015-11-21T20:08:55.232+09:00俺のことなど世界中誰ひとり憶えていない (サーチ・アンド・デストロイ - イギー・アンド・ザ・ストゥージズ)<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="http://www.flickr.com/photos/elisamoro/4799794345/" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="427" src="http://3.bp.blogspot.com/-utDPy97VLuA/UjxXDGHUk1I/AAAAAAAAMCM/MF9d7fLjxM8/s640/4799794345_f5112db78c_o.jpg" width="640" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">Iggy Pop, a photo by <a href="http://www.flickr.com/photos/elisamoro/">Elisa Moro</a> on Flickr.</td></tr>
</tbody></table>
<p>1960年頃から1975年にかけて、南北に分裂したベトナム間で起った長期かつ大規模な武力衝突がベトナム戦争です。北ベトナムをソビエト連邦を中心とする共産主義国が、もう一方の南ベトナムはアメリカを中心とする資本主義国が支援したため、共産主義対資本主義の代理戦争とも呼ばれていました。この戦争でアメリカは南ベトナムを物資面で支援するだけでなく、自国の兵士を大量にベトナムに派遣、参戦しました。</p>
<p>北ベトナムのゲリラ軍は森林に潜んでいました。つまり船や戦車で彼らを攻撃することはできません。そこで用いられたのがヘリコプターを使って先ず偵察隊を森林地帯に送り込んで敵を見つけ出し、地上から攻撃すると同時に飛行機からナパーム弾などを投下して焼き払うという戦法です。これがサーチ・アンド・デストロイ (Search and Destroy)作戦です。ちなみにこの当時、ヘリコプターというのは最新の軍事テクノロジーでした。</p>
<p>しかしこの作戦は失敗に終わりました。北ベトナムのゲリラ軍は地の利に長けており、森林に潜むゲリラ兵士は民間人と見分けがつかなかったからです。結果的に北ベトナムの民間人だけでなく、アメリカ軍にも大量の犠牲者を生み出す結果となりました。このあたりの様子は後に「地獄の黙示録」などの映画にも描写されています。</p>
<p>イギー・アンド・ザ・ストゥージズ(Iggy and The Stooges)が「サーチ・アンド・デストロイ」を含むアルバム「ロー・パワー (Raw Power)」をレコーディングしたのは1972年、イギー・ポップ(Iggy Pop)が25歳のときです。当時のアメリカは徴兵制を実施していましたから、彼もまたいつベトナムへ送り込まれるか分からない若者のひとりでした。結果的にイギーがベトナムへ行くことはありませんでしたが、彼と同世代の若者が大勢ベトナムへ行き、それっきり帰って来られなかった者は数万人に及びました。</p>
<p>ベトナム戦争は歴史上、若者を中心に世界的な反戦運動を引き起した初めての戦争でもありました。ジョン・レノンを始め、ポップ・スターたちが直接的な反戦メッセージを口にしたり、歌うようになったのもこの頃からです。</p>
<p>一方、イギー・アンド・ザ・ストゥージズのアプローチはこうした「愛と平和」タイプのものとはまったく異なるものでした。友人たちがベトナムのジャングルの中をさまよっているとき、ジェイムス・ウィリアムスンはまるでヘリコプターからの機銃掃射のようなサウンドをギターで鳴らし、イギーはステージの上で男性ストリッパーさながら裸で身をくねらせ「俺を撃ち抜いてくれ!」と叫んでいました。</p>
<p>1973年1月に和平協定が成立しアメリカ軍はベトナムから撤退、同時に徴兵制も廃止されました。アルバム「ロー・パワー」がリリースされたのはその翌月のことです。当時このレコードはまるで売れず、間もなくストゥージズも解散してしまいました。当時の世の中にはストゥージスを受け入れられる人がまだ少かったんです。</p>
<p>ジェイムス・ウィリアムスンがギタリストとして復帰、イギー・アンド・ザ・ストゥージズが復活したのはそれから36年も後の2009年のことでした。そしてイギーは今もこの歌を歌う度、ひとりジャングルをさまよっています。</p>
<p><iframe width="560" height="315" src="//www.youtube.com/embed/dbn0DaJHucg" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
<blockquote>
<p>俺は胸にナパーム弾を詰め込んで街をうろつくチーター<br />
原子爆弾から生まれた家出息子<br />
俺のことなど世界中誰ひとり憶えていない<br />
サーチ・アンド・デストロイ作戦の遂行者</p>
<p>お願いだから俺を助けてくれ<br />
誰か俺の魂を救ってくれ<br />
俺を爆破してくれ</p>
<p>気を付けたほうがいい、俺は最新のテクノロジーを駆使してる<br />
言い訳してるヒマなんかない<br />
真夜中に魂が発する放射能<br />
銃撃戦の<ruby>最中<rp>(</rp><rt>さなか</rt><rp>)</rp></ruby>の愛</p>
<p>お願いだから俺を不意打ちしてくれ<br />
誰か俺の魂を救ってくれ<br />
俺の心を射ち抜いてくれ</p>
<p>俺のことなど世界中誰ひとり憶えていない<br />
サーチ・アンド・デストロイ作戦の遂行者<br />
俺は世界中から見捨てられた男<br />
ひとりサーチ・アンド・デストロイ作戦を遂行してる</p>
</blockquote>
yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-47199877045954161612013-07-04T14:02:00.001+09:002013-11-25T22:56:42.107+09:00もしわたしが気を失ったらきっと誰かがマウスツーマウスで人工呼吸してくれるわよね (Haim Live at Glastonbury)<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="http://3.bp.blogspot.com/-nnXZ1VSxXa8/UdUBVQiVTyI/AAAAAAAALE8/Q37IQV_NTy8/s837/haimglastonbury.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="348" src="http://3.bp.blogspot.com/-nnXZ1VSxXa8/UdUBVQiVTyI/AAAAAAAALE8/Q37IQV_NTy8/s640/haimglastonbury.jpg" width="640" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">HAIM - Falling at Glastonbury 2013</td></tr>
</tbody></table>
<p>先週末開催されたイギリス最大の音楽フェスティバル、グラストンベリー・フェスティバルのステージにハイム(Haim)が登場しましました。しかもいきなりメインのピラミッド・ステージです。さらに別の日にパーク・ステージでもプレイするというまさかの2ステージ、まだアルバムも出していないアメリカの新人バンドがこのような待遇で招かれるのはおそらく今までになかったことだと思います。</p>
<p>ところが初日、金曜のピラミッド・ステージでとんでもないアクシデントが発生しました。ベーシストのエスティ(Este)姉ちゃんが危うく死にそうになったというのです。</p>
<blockquote>
<p>もう少しで死ぬところだったのよ。実はわたし糖尿病なんだけど、とってもお利口さんな糖尿病患者なもんだからステージの前に食事を取らなかったのね。そしたらステージが始まって時間の真ん中くらいのところで腕の感覚がなくなってきたの。「ヤバい、これ普通に演奏できるような状態じゃない」って思った。</p>
<p>最後の方はもう目の焦点も定まらなくて、ステージを降りなくちゃならなかったの。だって2万5千人の観客の目の前で死ぬわけにいかないでしょ。</p>
<p><a href="http://www.nme.com/nme-video/haim-at-glastonbury---este-almost-fucking-died/2516103499001">Haim At Glastonbury - Este Almost Fucking Died</a></p>
</blockquote>
<p>糖尿病というと「太った中年のおっさんがかかる生活習慣病」というイメージを持ってる人が多いかもしれませんが、若くしてかかるこの病気は自己免疫疾患のひとつです。ハードスケジュールがたたったのでしょう。どうやらエスティ姉ちゃん、ステージ上で<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B3%96%E5%B0%BF%E7%97%85%E6%80%A7%E3%82%B1%E3%83%88%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%89%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%B9">糖尿病性ケトアシドーシス症状</a>に陥ってしまったようです。</p>
<p>ステージ後半は耐えられなくなって椅子に座り、朦朧とした状態で演奏を続けたんですが、そんな状態で観客に向けてこんなことを言ってたそうです。</p>
<blockquote>
<p>ここにはすてきな人たちがたくさん来てるから、もしわたしが気を失ったらきっと誰かがマウスツーマウスで人工呼吸してくれるわよね。</p>
<p><a href="http://www.thisisfakediy.co.uk/articles/news/haims-este-haim-taken-ill-during-glastonbury-set/">HAIM’s Este Haim Taken Ill During Glastonbury Set</a></p>
</blockquote>
<p>病気で苦しい、つらいというときはまわりの元気な人がひどく憎らしく見えるものです。ましてフェスで大騒ぎしている観客ならなおさらです。だけど「ヤバい、これマジ死ぬかも」というときにこんなセリフの言えるエスティ姉ちゃん、やはり只者ではありません。みんなも見習いましょう。</p>
<p>エスティの体調がと心配になった人も多いと思いますが大丈夫です。前述のインタビュー・ビデオでは元気にジョークを飛ばしてるし、翌日のパーク・ステージのビデオはこちら。ほら、いつものエスティ姉ちゃんでしょ。</p>
<p><iframe width="560" height="315" src="//www.youtube.com/embed/a728ExBEww8" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-30533092583950333512013-06-07T17:44:00.001+09:002021-01-23T15:35:10.140+09:00「死ぬ覚悟はできている」そう言ってじじいたちは立ち上がった (Ready to Die - Iggy and The Stooges)<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="http://3.bp.blogspot.com/-6oRncrWEm3k/UbGchErZMII/AAAAAAAAK8c/1HSKvF5x0P4/s1600/readytodie.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="350" src="http://3.bp.blogspot.com/-6oRncrWEm3k/UbGchErZMII/AAAAAAAAK8c/1HSKvF5x0P4/s400/readytodie.jpg" width="400" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">Iggy and The Stooges - Ready to Die</td></tr>
</tbody></table>
<p>唐突ですがここでひとつ、世界中の若い人たちが気付いていない重大な事実をお知らせします。人はみな誰でも年を取ります。肉体がだんだん衰えて、やがて死に至ります。</p>
<p>そんなの嘘だ、俺に限って年を取ることなんて絶対ない。そう思ってる人も多いことでしょう。今のあなたには信じられないことでしょうが、まぎれもない事実です。</p>
<p>年を取って肉体が衰えてくると、以前はよく見えてはずのものがだんだんよく見えなくなってきます。ちゃんと聞こえていた音が聞こえなくなってきます。何か言おうとすると咄嗟に言葉が出てこなくなったり、身体のあちこちがひっきりなしに痛むようになってきます。新しい言葉や名前がなかなか憶えられなくなってきます。以前は歩いて行くのが当り前だった所が、遠くて辿り着くことが困難な場所に思えてきます。いつでも来ようと思えば来られた場所が、ああここに来るのももう最後なのかなと思えてきます。</p>
<p>健康に気を付けて身体を鍛えていれば衰えも緩やかになる?うん、そうかもしれません。だけど若い時代の「身体を鍛える」という行為は「今日の自分より明日の自分のレベルを上げる」ためのものです。一方年を取ってからのそれは「今日の自分のレベルを明日も何とか維持する」ためのものです。それもやがて「今日より明日の自分のレベルが下がってしまうのは仕方ないけど、その下がり方をなるべく少なくする」ための鍛錬になってきます。それに無理をして怪我などをするとなかなか直りません。若いうちは骨折したってすぐに直って、怪我をしたことすらすぐに忘れてしまいますが、年を取ってからの骨折は完全に回復することなく、いつまでも痛みを抱え続けることになります。</p>
<p>以前は何ということのなかったこと、当り前にできていたことが自分ひとりではできなくなる。年を取るというのはそういうことです。</p>
<p>30年近くもの長い間、ソロ・シンガーとして活躍してきたイギー・ポップ(Iggy Pop)が大昔に解散したバンド、ストゥージス(The Stooges)を再結成したのは2003年、イギーが56歳の頃です。もちろん本人はそんなこと言ってませんが、おそらくは自分ひとりの力に限界を感じ、頼れる仲間を求めてのことだったのだと思います。</p>
<p>そしてそのストゥージズ再結成からさらに10年が経ちました。イギーは今年66歳です。この10年の間にストゥージズのギタリスト、ロン・アシュトン(Ron
Asheton)が亡くなりました。<a href="http://www.rollingstone.com/music/news/iggy-pop-says-stooges-drummer-almost-died-this-summer-20110901">ドラマーのスコット・アシュトン(Scott
Asheton)も2011年に倒れ</a>、現在もツアーには復帰できていません。同じ頃<a
href="http://www.uncut.co.uk/iggy-pop/iggy-pop-breaks-two-bones-in-his-left-foot-forcing-us-tour-postponement-news">イギー自身も左足を骨折しツアーをキャンセル</a>、その後今も足を引き摺りながらステージに立っています。</p>
<p>そんな中でこの4月末、ニューアルバム「Ready to Die」がリリースされました。イギーのアルバムと考えれば前作「Après」からわずか11ヶ月ぶりですが、ザ・ストゥージズのアルバムとして考えれば「The Weirdness」から5年ぶりです。ジェイムス・ウィリアムスン(James Williamson)がギターを担当するイギー・アンド・ザ・ストゥージズのアルバムとして考えれば「Raw Power」以来、実に40年ぶりのリリースとなります。</p>
<p>イギーを始め、現在のストゥージズの面々、どこからどうみても肉体の衰えが明白なじじいたちです。そこまでしてなぜステージに立ち続けるんでしょう?</p>
<p>それはきっと世界を救うためだと思います。</p>
<blockquote>
<p>落ち込んでいく気持ちを抑えられない<br />
陰鬱な自分が嫌でたまらない<br />
俺は死を覚悟で<br />
高望みしてやる</p>
<p>しょぼくれた街が俺を落ち込ませる<br />
しかめ面で過ごすのは快適だぜ<br />
俺は死を覚悟で<br />
高望みしてやる</p>
<p>この薄っぺらな皮膚の下には怒りが詰まってる<br />
俺がこの世界に厳然たる判決を下してやる<br />
俺は死を覚悟で<br />
高望みしてやる</p>
</blockquote>
<p><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/qNIS3c2_F1k" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture" allowfullscreen></iframe></p>
<p>ライヴ映像が観たいという人は以下をどうぞ。</p>
<dl>
<dt><a
href="http://www.youtube.com/watch?v=QaCBV9HxupM">NPR
Misic: Iggy & The Stooges, Recorded Live At (Le) Poission Rouge</a></dt>
<dd>2013年4月28日、アルバム「Ready to Die」からの曲を多数披露した発売直前特別ライヴ。</dd>
<dt><a
href="http://www.youtube.com/watch?v=6-iBDXiHU-g&list=PL4h2XGENb6qjf8bd2j0XfckuRdkLy6BH7">Moshcam:
Iggy & The Stooges Live in Sydney</a></dt>
<dd>シドニーでのライヴ。2013年4月2日におこなわれたコンサートのフル映像。アルバム発売までまだ約1ヶ月あったためか、新曲は「Burn」1曲のみ。ただし Kill City や Johanna などジェイムス・ウィリアムスンとの共作曲を多数演ってます。</dd>
</dl>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-48714771895073883182013-05-25T18:04:00.000+09:002013-12-10T00:15:12.221+09:00どうしてそんなものが今聴こえてるんでしょう? (The Number One Song in Heaven - Sparks)<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="http://2.bp.blogspot.com/-XuXUauImGbY/UaB9BcJa6MI/AAAAAAAAK8M/ws5bnJ0t7_U/s1600/sparks.jpg20130502_0000.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="377" src="http://2.bp.blogspot.com/-XuXUauImGbY/UaB9BcJa6MI/AAAAAAAAK8M/ws5bnJ0t7_U/s400/sparks.jpg20130502_0000.jpg" width="400" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">Two Hands One Mouth: エクトプラズム吐いてます</td></tr>
</tbody></table>
<p>この3月に発売されたスパークス(Sparks)のニューアルバム「Two Hands One
Mouth」は彼らの約40年に及ぶキャリア、通算23枚目にして初めてのライヴ・アルバムです。2012年の秋から始まったアルバムと同名のツアーでのパフォーマンスをライヴ録音、約1時間半、全21曲が収録されています。</p>
<p>電子楽器を使ったダンス音楽のオリジネーターとして知られているスパークスですが、今回のツアーはロンとラッセルのメイル兄弟だけで、バンドはいません。ロンの二本の手によるキーボード演奏、そしてラッセルの口から出てくる歌声、それだけです。だから Two Hands One Mouth なんです。</p>
<p>「ああ、アコースティック編成のいわゆるアンプラグドねー」と思う人が多いでしょうが、そう言うとスパークスの二人は「そんなんじゃないっ!」って怒ります。一見温和に見えますが、そういう頑固なところのある二人です。そうじゃないと40年もずっとやってこられません。</p>
<blockquote>
<p>ロン・メイル: (Two Hands One Mouth ツアーを実現するに当たって)最も大変だったのは、もちろんバンドを使わずにキーボードだけで曲を演奏しなくてはならないということだよ。だからといって、いわゆるシンガーソングライターのステージみたいにはしたくなかった。穏やかな調子で「次はぼくが1987年に書いた曲です。聴いてください」なんてのは真っ平だからね。我々は攻撃的な調子を保ったままでこれを実現したかったんだ。キーボードと歌だけでうまくいく曲を選び、キーボードでの演奏内容を見つけ出していった。(バンドなしの状況では)いつもと同じキーボード・パートを弾くわけにはいかないからね。新たなものが必要だったんだ。</p>
<p>ラッセル・メイル: 「つまりアコースティックなツアーをやるってことですね」って受け止める人もいたよ。ぼくらは別にアコースティックを軽蔑してるわけじゃないよ。アコースティックって言葉につきまとってるイメージが嫌なんだ。シンガーソングライターが訥々と語り、自らの魂を露わにしていく... みたいな。ぼくらはスパークスの強靭さ、突進力とかパーソナリティを保ったまま、それを二人だけで実現する方法を見つけたかったんだ。</p>
<p>ロン: 往々にして我々は曲よりもスタイル重視のバンドと思われがちだからね。我々の曲は伝統的な楽曲とは違うけど間違いなく音楽なんだって、今回のやり方はそれを知ってもらういい機会になるかもしれない、そう思ったんだ。</p>
<p>ラッセル: 歌詞はオリジナルから変えてはいないんだけど、声とキーボードしかないせいで、違って聴こえるかもしれない。スタジオのレコーディングでは歌詞がバックの音に埋もれてしまうことがしばしばあって、歌詞の意味がわかりにくくなってしまうんだ。だけど今回のツアーでは歌詞が目立って聴き取りやすくなってるはずだよ。</p>
<p><a href="http://thequietus.com/articles/10332-sparks-interview">INTERVIEW: Sparks</a></p>
</blockquote>
<p>ということですので、スパークスの強靭さ、突進力を感じ取るため、このアルバムは大音量で聴くことをお勧めします。
<p>さて、次に紹介するのはこの Two Hands One Mouth ツアーの映像です。1979年、天国でナンバーワン・ヒットとなった曲です。きみにはこのステージに立つ二人の変なおじさんたちの背中に羽があるのが見えるかな?</p>
<p><iframe width="560" height="315" src="http://www.youtube.com/embed/VUx11OJqLLg" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
<blockquote>
<p>これは天国のナンバーワン・ソングです<br />
万能なる<ruby>御手<rp>(</rp><rt>みて</rt><rp>)</rp></ruby>によりつくられた曲です<br />
天使たちはみな主の囲いの中にいる羊です<br />
彼らは主とそのおぼしめしにしたがうのです</p>
<p>これは天国のナンバーワン・ソングです<br />
どうしてそんなものが今聴こえてるんでしょう?<br />
それはたぶん<br />
きみは自分が思ってるよりずっと<br />
ここに近づいているせいじゃないかな<br />
きみが望んでいるよりずっと<br />
ここに近いところにいるせいじゃないかな</p>
</blockquote>
yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-10008544837724116752013-05-13T23:17:00.000+09:002013-06-18T18:23:39.566+09:00Haim のアルバム・リリースはまだ少し先になりそうです
<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="http://www.flickr.com/photos/concerttour/8565760233/" style="margin-left: auto; margin-right: auto;" title="Haim @ Stubb's for SXSW by ConcertTour, on Flickr"><img alt="Haim @ Stubb's for SXSW" src="http://2.bp.blogspot.com/-NY6QmhHJQ4s/UZD0zGAQr4I/AAAAAAAAKIc/-bRKAcIn8NA/s1600/8565760233_b1183fd528.jpg" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">Haim @ Stubb's for SXSW, a photo by <a href="http://www.flickr.com/photos/concerttour/">ConcertTour</a> on Flickr.</td></tr>
</tbody></table>
<p>フジロックへの出演でいよいよ初来日が決まった Haim、デビュー・アルバムは5月くらいに出るんじゃないかという噂だったのですが、まだもうちょっとかかるみたいです。この5月後半、ヴァンパイア・ウィークエンドのサポートとして予定していたツアーをキャンセルしてアルバムを仕上げるという Tweet が流れていました。</p>
<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja" width="500" align="center"><p>So sad that we cant make the upcoming vampire weekend dates😪Wish we could've been a part of it,but we r days away from finishing our record😎</p>— HAIMさん (@HAIMtheband) <a href="https://twitter.com/HAIMtheband/status/332953487476391936">2013年5月10日</a></blockquote>
<script async src="//platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>
<p>そうするとアルバム発売は来日には間に合わない可能性大だなあ。まあ出来ていないものはいくら出せって言っても出て来ないので、おとなしく待ってるしかありません。それでなくても Haim、今ものすごく忙しいんですよ。<a href="https://www.facebook.com/haimtheband/app_123966167614127">こっちのツアー日程</a>見てわかる通り、イギリス、ヨーロッパと北米を入ったり来たり、8月末まで目いっぱいライブが詰まってます。</p>
<p>今でこそ注目の新人バンドとして大忙しの Haim ですが、その名前が知られるようになったのは、わずか1年ほどのことです。まずは次のヴィデオをご覽ください。昨年の春、SXSW での Haim のステージです。</p>
<p><iframe width="560" height="315" src="http://www.youtube.com/embed/hdb0zs3vMHI" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
<p>Haim のステージそのものは今と変わりありません。だけど観客は嘘みたいにまばらです。ジャイアンの空き地リサイタルほどの人数しかいません。ステージ真正面で写真を撮った後、演奏途中で立ち去る無礼な女が腹立たしいです。</p>
<p>続いて今年の SXSW です。ステージ上の Haim は去年と変わらぬマイペースです。なのに観客はどうしてここまで違うんだ?この観客はどっから湧いてきたんだ?というくらいの勢いです。</p>
<p><iframe width="560" height="315" src="http://www.youtube.com/embed/k-LIsed9s2g" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
<p>ということで教訓。有名、無名にかかわらず、素晴しい音楽やそのプレイヤーにはちゃんと敬意を持って接しましょう。去年の SXSW Haim のステージ途中で立ち去ったあの女性は今頃、天罰がくだっているに違いありません。</p>
<p>(2013/06/18追記)その後のインタビューによると、<a href="http://www.fuse.tv/videos/2013/06/bonnaroo-2013-haim-interview-fuse-news">アルバムの発売は夏の終わりになるそうです</a>。9月くらいかな?</p>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-83054911759240939942013-05-11T18:34:00.001+09:002013-07-31T07:57:09.534+09:00パンクってのは愛のことだ! (Public Image Ltd Live in Sydney)<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="http://2.bp.blogspot.com/-9rCJ0YrKEPk/UY4QAJKPbFI/AAAAAAAAKIM/mE0xBevLjvg/s1600/pilsydney.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" src="http://2.bp.blogspot.com/-9rCJ0YrKEPk/UY4QAJKPbFI/AAAAAAAAKIM/mE0xBevLjvg/s1600/pilsydney.jpg" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">PiL Sydney Concert</td></tr>
</tbody></table>
<p>みなさんお待ちかね、先月4月10日にオーストラリアのシドニー、エンモア・シアターでのパブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd)のライヴ映像が Moshcam で公開されました。全17曲、2時間強のライヴすべてがおうちで誰もが無料で観られるんです。しかもその映像と音は、共にこれまでの PiL のライヴ・ヴィデオの中でも最高の品質なんです。これを幸せと呼ばずに何と呼びましょう。</p>
<p>3月末から始まった今年の PiL ツアー、オーストラリアは中国、日本に続いて3カ国目です。PiL が最後にオーストラリアでコンサートをしたのは1989年のことですから、実に24年ぶりのオーストラリアということになりますが、映像を見てわかる通り、前回のコンサートのときにはまだ生まれていなかったような若いファンもたくさん集まっています。</p>
<p>ついでなんでこの <a href="http://blog.moshcam.com/">Moshcam</a> というサイトについて説明しておきましょう。Moshcam は様々なアーティストのコンサートをインターネット上で配信しているオーストラリアの会社です。2007年の設立で、最初はもっぱらシドニーでのライヴを撮影して配信していたんですが、どんどん勢力を伸ばして最近はロンドンやニューヨークなど他の都市でのライヴまで配信するようになっていて、数百本の高品質ライヴ映像を無料で配信しています。日本にはなかなか来ないようなバンドのライヴもここで観られます。</p>
<p>だけどそんなことしてこの会社はどうやって稼いでるんだろう?すみません、その内情はよく知らないんですけど、どうやら Goole TV や hulu などにコンテンツを販売して利益を得ているみたいです。このためよくある映像サイトみたいにうるさい広告に煩わされることがありません。</p>
<p>しかしちょっと前までは時間帯によって映像や音が途切れたりすることがよくあったんですが、最近コンサート映像を moshcam.com のほか YouTube でも提供するようになって負荷が分散されたためか、ネットワークの回線面も改善されてきたようです。</p>
<p>ということで PiL のライヴは moshcam.com と YouTube、どちらでも好きな方を選んで楽しむことができるのですが、若干使い勝手に違いがあります。moshcam.com の方は広告が入らないし、曲と曲の間の切り替わりがスムーズなのでコンサートを通して楽しみたいときにはお勧めです。ただし Flash が使われているため iPad や iPhone では観られません。一方の YouTube は iPad/iPhone も大丈夫で回線に合わせて映像品質を選べるのがメリットなんですが、曲毎にぶつぶつ途切れることと広告がうるさいのが欠点です。</p>
<p>私はまだ試していないんですが、<a
href="http://www.moshcam.com/app/">iPad/iPhone には専用のアプリが用意されているので</a>、そっちを使った方が快適かもしれません。</p>
<ul>
<li><a href="http://www.moshcam.com/pil/enmore-theatre-1478.aspx">moshcam.com で観る</a></li>
<li><a href="http://www.youtube.com/watch?v=qVyVRIvzBAw&feature=share&list=SP4h2XGENb6qihMnZEZP76RR8tCfKSHEGB">YouTube で観る</a></li>
</ul>
<p>PiL のコンサート内容については観ていただければわかります。あえて説明はいたしません。お楽しみください。ジョニー・アンド・ザ・ボーイズ、渾身のライヴです。ジョニーの「パンクってのは愛のことだ! (Punk is Love!)」という言葉で幕を開けます。</p>
<p><iframe width="560" height="315" src="http://www.youtube.com/embed/qVyVRIvzBAw?list=SP4h2XGENb6qihMnZEZP76RR8tCfKSHEGB" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-6386313333741893022013-05-04T01:19:00.001+09:002013-11-28T00:29:30.648+09:00我々には変化がふさわしい (Change Becomes Us - Wire)<table align="center" cellpadding="0" cellspacing="0" class="tr-caption-container" style="margin-left: auto; margin-right: auto; text-align: center;"><tbody>
<tr><td style="text-align: center;"><a href="http://2.bp.blogspot.com/--CBG3w-y4bc/UYPiVHX5mVI/AAAAAAAAJ_Q/UdnbN-MCDo0/s1600/wire.jpg20130502_0000.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: auto; margin-right: auto;"><img border="0" height="400" src="http://2.bp.blogspot.com/--CBG3w-y4bc/UYPiVHX5mVI/AAAAAAAAJ_Q/UdnbN-MCDo0/s400/wire.jpg20130502_0000.jpg" width="400" /></a></td></tr>
<tr><td class="tr-caption" style="text-align: center;">Change Becomes Us - Wire</td></tr>
</tbody></table>
<p>あるとき絶大なる人気を誇り大勢の人々の支持を得たバンドや音楽作品が、その作者やファンと共に年を取り、次の世代に引き継がれずにやがて忘れ去られてしまう。そんな例は洋の東西を問わずいくらでもあます。挙げていくときりがありません。むしろそれがごく普通のあり方です。</p>
<p>ファンの立場で言えば、コンサートに行って自分の好きなあの曲を聴きたいというのはごく自然な欲求です。大好きなあの曲を演奏してくれて、それでまわりのみんなと一緒に盛り上がる。とても幸せです。でもそんなことを何度か繰り返しているとある日、ふと気付きます。大好きなアーティストのあの曲、サビの部分で声に伸びがなくなってる。ああ、年を取ったんだ。自分も肌に張りがなくなって贅肉も付いちゃったしな。まわりを見回すと、コンサート会場にいるのは自分と同じような年代の人ばかりになっています。</p>
<p>こんなんじゃいけない。素晴しい音楽が年月に埋もれてしまうと感じ、次のコンサートには息子や娘を誘ってみます。だけど返事は案の定「そんな年寄りの音楽、興味ない」です。振り返ってみると、自分だって若い頃は親やその年齢の人が「これはいい! これを聴け、これを読め」って言ったものを素直に受け入れたことなんてないしな、無理ないなって思います。</p>
<p>一方、アーティストの方はもうちょっと早く問題に気付きます。苦労してやっと多くの人たちに曲を聴いてもらえるようになった。ヒットしたあの曲では会場みんなの大合唱が起こるようになった。でもあの曲がヒットしたのはもう3年前。今ではお決まりの曲にお決まりの反応。おかげで何だかバンドのイメージが固まっちゃって、ファンはいつも同じ顔ぶれ、新しいファンが入ってくる余地がなくなってるような気がする。</p>
<p>ということでハードなサウンドのバンドが突然ロカビリーに走ったり、清楚なイメージで売っていた女性シンガーが突然どぎついメークでステージに登場したりするのですが、多くの場合うまくいかず、そのまま芸能界から消えてしまうことも少なくありません。</p>
<p>そんなめんどくさいこと考えないで、ファンは自分の好きなように楽しめばいいし、アーティストは観客の望むものを提供するのが仕事でしょ、という説にも一理あります。そして多くの人は実際にそうしています。でもそんなんじゃ嫌だ、という人たちも当然出てきます。</p>
<p>ワイアー(Wire)は1977年にレコード・デビューして、35年以上を経った今も精力的に活動し続けているバンドですが、ワイアーのアルバムはどれひとつとして、同じスタイル、同じ音の感触のものはありません。つまりあるアルバムで成功したやり方はそのアルバム限りであっさりと捨ててしまい、二度と使おうとしません。次のアルバムはまったく違うアプローチで取り組みます。ライヴも同様で、ツアー毎にセットリストはがらりと変わり、その大半は新曲です。</p>
<p>商売という側面からバンド活動を考えると、これほど間違ったやり方はありません。新作のプロモーションをして、CD を売って、ツアーをして、やっと人々に受け入れられてきて、次のアルバムはもっと売れる、次のツアーではもっとたくさんの人が集まるというときになると、バンドはまったく別のものに姿を変えているのです。投資をして、商品を宣伝して、みんなが買おうという気になったらもう商品がないなんて商売とは言えません。</p>
<p>しかし驚くべきことに、同時代のイギリスで登場したバンドの大半が解散、活動を停止している中、ほぼオリジナルメンバーのまま、コンスタントに活動し続け、今最もアクティヴなバンドがワイアーです。常に変わり続けるというやり方は一貫して変わっていません。その中心人物、コリン・ニューマン(Colin Newman)は新作「Change Becomes Us」について次のように語っています。</p>
<blockquote>
<p>ワイアーの奇妙な歴史における重要事項として、1980年に解散した当時、それはアルバムをもう一枚作れるほどの数だったんだが、レコーディングはおろかデモ録音さえしていない作品がそのままになっていたという事実がある。もっとも当時のぼくらはそれをアルバムにしようなんて気はなかったんだけどね。それがずっとぼくらの中で引っかかっていたんだ。</p>
<p>2000年に活動を再開したとき、それを形にしてみてはという提案を受けたことがある。そのときも検討には値しないアイディアに思えた。だが(1980年頃に作られ)元は「Ally in Exile」というタイトルだった曲だけは作り直して「I
Don't Understand」になった。この曲は数年後(女性下着ブランドの)ヴィクトリア・シークレットの宣伝にも使われた。</p>
<p>だから完全に無視していたというわけではないんだ。ひょっとしたらこの作品を使って「ワイアーはけっして過去を振り返らない」スタイルのものが作れるかもしれない。そう思いついた。なにせこれらの作品はアルバムとしてレコーディングされたこともないし、当然リリースもされたことがない。ほとんどの人はそれが一体どういう作品なのか知らないんだから。</p>
<p>2011年、イギリスのエージェントから二度目のツアーのオファーを受けた。これまでになかったことだよ。1年に二度もイギリスでツアーをやるなんて1978年以来だったからさ。ぼくらはいつもたくさんの新曲をステージで演ってる。だけどそのときは(前のツアーを終えたばかりで)「Red Barked Trees」に続く新しい作品がまだ用意できてなかったんだ。</p>
<p>そこで思い出したのが(1979年から1980年にかけて作られた)作品さ。その中から7、8曲をセットリストに入れて演奏した。オーディエンスの9割はそれが昔作られた作品だなんて気付いてなかった。「今まで観た中で今回のバンドが最高だ!」って感じの反応だった。これほど面白いことはないよ。</p>
<p>ぼくらはこれをレコーディングしておかしなものができるわけがないと確信した。それでウェールズのモンマスにある、数々の名作が作られたロックフィールド・スタジオを予約した。そこで1週間かけてレコーディングして、その後6ヶ月かけて仕上げたんだ。</p>
<p><a href="http://www.rockcellarmagazine.com/2013/04/03/colin-newman-wire-interview-change-becomes-us/">For Wire and Colin Newman, Change is Good</a></p>
</blockquote>
<p>つまりワイアーの「Change Becomes Us」は1980年には存在し得なかった4枚目のアルバムが、2013年の今、突如姿を現わしたものとも言えます。もちろんその音はまるで1980年のものには聴こえません。しかし本人たちがやり残してずっと引っかかっていたこと、35年経ってもまだやる価値のあることを実現したものです。</p>
<p>アルバムのオープニングを飾るのは「Doubles & Treble」で、元は「Ally in Exile」と呼ばれていた曲です。つまり上記インタビューにある通り、アルバム「Send」に収録された「I Don't Understand」とは双子の関係にある曲です。今のワイアーが「Send」の時代とはまるで違うバンドだということが、これを聴けばよく分かるはずです。そして次のアルバムではまた別のワイアーが姿を現わすに違いありません。</p>
<p>決まった形にとどまらず、変化し続けるワイアーは今なおそのファンを増やし続けていて、今年は北米で今までにない長いツアーを行う予定だそうです。</p>
<p><iframe width="560" height="315" src="http://www.youtube.com/embed/3lJXrQILq7A" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>
<blockquote>
<p>亡命中の同胞のひとりが<br />
緊急指令を受けた<br />
既に彼はトラブルの渦中にあり<br />
気の休まる暇などなかった<br />
暗号に気付くと<br />
即座に解読した<br />
メッセージに書かれていたのは<br />
国とその地域、そして道路</p>
<p>恐れていた通り<br />
彼の正体はバレていたのだ<br />
ネットワークの規模が<br />
膨れ上がり過ぎたのだ<br />
組織の肥大化が<br />
ありがたくない事態を招いた<br />
今後一切の連絡を断つため<br />
最後の言葉を送信した</p>
<p>レジスタンス活動は<br />
効果が上がらず停滞<br />
彼は連中の到着に備える<br />
殺戮のときを待つ</p>
<p>レジスタンス活動の効果はなく<br />
彼は殺戮のときを待つ<br />
彼は到着に備える<br />
彼はじっと待つ</p>
<p>レジスタンス活動は無駄<br />
彼は殺戮に備える</p>
<p>彼は劇場の中で泣き崩れたが<br />
照明には曝されたくなかった<br />
ことさら<br />
戦略的洞察力を煽るような光には</p>
<p>だが幸運にも<br />
彼は蓄えを用意していた<br />
2重に、そして3重に<br />
ドアに鍵をかけた</p>
</blockquote>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-87313056017691548242013-04-20T23:29:00.000+09:002015-11-15T13:36:20.453+09:00常識的に考えれば PiL の曲を聴いて「楽しい」という人はどうかしてます (Public Image Ltd 2013-4-5 東京 SHIBUYA-AX)<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<a href="http://3.bp.blogspot.com/-tzo7beCe9bA/UXKl-0RzjnI/AAAAAAAAHgo/WEfJvAl6ESc/s1600/pilshibuyaax.jpg" imageanchor="1" style="margin-left: 1em; margin-right: 1em;"><img border="0" height="337" src="http://3.bp.blogspot.com/-tzo7beCe9bA/UXKl-0RzjnI/AAAAAAAAHgo/WEfJvAl6ESc/s400/pilshibuyaax.jpg" width="400" /></a></div>
<p>この4月5日東京 SHIBUYA-AX で PiL のライヴを観てきました。最新アルバム「This is PiL」のリリース後、初めての日本でのライブです。感想ですか?ええと、細かいことはよくおぼえてないけど、すっごく楽しかったです。</p>
<p>わかってるよ、何だよそれ、その保育園児が遠足行ってきたみたいな感想は、って言いたいんだろ。仕方ないじゃない、本当なんだから。でもさ、保育園で初めて遠足行ったときくらい楽しかったこと、最近あったか?楽しさを甘く見てもらっちゃ困るな、大切なことなんだぜ。</p>
<p><a href="https://yasusii.blogspot.jp/2011/08/psychopath.html">2011年の PiL 復活ライヴの評判は「かっこいい!」「チャーミング!」「すごい声!」でした</a>。今回の来日ではさらに「すっごく楽しい!」が加わったのです。30年以上ずっとメタルボックス聴き続けてるおっさんも、たまたま招待券もらって PiL って何なのかよく知らないのにライヴに来ちゃった女の子も一緒になって「楽しい!」って踊ってました。</p>
<p>常識的に考えれば PiL の曲を聴いて「楽しい」という人はどうかしてます。神の名のもとに行われる殺戮を歌った Four Enclosed Walls、首にまとわりつき振り払えない悪夢を歌った Albatross、くだらない記憶ばかり頭にため込んで年老いていく男の歌 Memories、危篤の母親が苦しみ死を迎える様を歌った Death Disco、お互いの無理解による別離を歌った Flowers of Romance に、アパルトヘイト下での拷問や抵抗を歌った Rise 等々、どれも普通の楽しさとは正反対の歌ばかりです。</p>
<p>でも楽しいんです。信じられませんが、信じられないほど楽しいんです。別に日本人の観客が英語の意味がわからないからじゃないよ。英語圏の観客だっておんなじ反応をしています。理由は簡単です。エネルギーです。悲惨だったり深刻だったりする歌詞の内容とは裏腹にジョン・ライドンの声、PiL のサウンドにそれらをものともしないエネルギーを感じるからです。そして、自分の中からも同じエネルギーがわき起こってくるのが感じられるからです。だからみんな Death Disco でジョン・ライドンが泣き叫ぶように歌う中、涙を流しながら楽しそうに踊るんです。うん、端からはすごく変に見えても仕方ないと思う。</p>
<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja" width="500" align="center"><p>PILのライブ帰りの人がびしょ濡れで帰ってきたけどなんかニヤニヤしてて怖い</p>— 紫四郎三郎さん (@Manuel_Gocchin) <a href="https://twitter.com/Manuel_Gocchin/status/320557052357406720">2013年4月6日</a></blockquote>
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<p>今回の PiL 来日コンサート、行きたくてもどうしても都合がつかず行けなかった。あるいは知らずに見逃してしまったという人も多いことでしょう。そんな人に朗報です。日本でのコンサートの直後に行われたシドニー公演の模様が <a href="http://www.youtube.com/moshcam">Moshcam</a> で公開されることになっています。公開の時期はたぶんゴールデンウィーク明けぐらいだと思います。楽しみに待っていてください。そして、来年か再来年、次回の PiL 来日は決して見逃さないように。一緒に「俺たちはここにいるぞ! (Here We are !)」って叫びましょう。</p>
<p>(2013/05/11 追記)<br />
<a href="https://yasusii.blogspot.jp/2013/05/public-image-ltd-live-in-sydney.html">Moshcam で PiL のコンサート・ヴィデオが公開されました</a>。
</p>
<p><iframe width="560" height="315" src="http://www.youtube.com/embed/tyhGNNpzXUs" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p>yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-50817284728551287612013-04-08T21:52:00.000+09:002013-04-09T17:59:10.619+09:00PiL (Public Image Ltd) JAPAN TOUR 2013 4/6(土)東京 SHIBUYA-AX<blockquote class="twitter-tweet" data-cards="hidden" lang="ja" width="500" align="center"><p>いんやーーーじょんらいどんチャーミングだったわああああ!!! (@ SHIBUYA-AX for PiL w/ 10 others) [pic]: <a href="http://t.co/GPOPh5m9jj" title="http://4sq.com/14LVqJG">4sq.com/14LVqJG</a></p>— mrsm_p_qさん (@mrsm_p_q) <a href="https://twitter.com/mrsm_p_q/status/320497232384253954">2013年4月6日</a></blockquote>
<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja" width="500" align="center"><p>ジョン・ライドンはボーカリストというより表現者ですな。引き込まれました。</p>— hirozombie さん (@hirozombie) <a href="https://twitter.com/hirozombie/status/320500525877575680">2013年4月6日</a></blockquote>
<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja" width="500" align="center"><p>ださかっこいいライブだた。ライドンさんご機嫌でした</p>— puzzleholicさん (@puzzleholic) <a href="https://twitter.com/puzzleholic/status/320497565093224448">2013年4月6日</a></blockquote>
<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja" width="500" align="center"><p>PiL良かったー!!ライドンさんの声量がものすごかった!!鳥肌たちまくり!</p>— 木木 糸少弓尓さん (@s4y9a) <a href="https://twitter.com/s4y9a/status/320504502283284480">2013年4月6日</a></blockquote>
<blockquote class="twitter-tweet" data-cards="hidden" lang="ja" width="500" align="center"><p>恥ずかしがりやで素敵なジェントルマン!ありがとう、PIL ! ジョン ライドン! <a href="http://t.co/q97RxSomko" title="http://twitter.com/000627627masaya/status/320503738076889088/photo/1">twitter.com/000627627masay…</a></p>— 田中雅也さん (@000627627masaya) <a href="https://twitter.com/000627627masaya/status/320503738076889088">2013年4月6日</a></blockquote>
<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja" width="500" align="center"><p>PiL、サマソニの400倍ぐらいカッコ良かったよ! バンドはタイトだし、ジョンの声も出まくってた。特にルー・エドモンズの変態ギターは最強!</p>— スタ犬・カウンシル(犬飼一郎&ゴロー)さん (@roro1656) <a href="https://twitter.com/roro1656/status/320506303430664195">2013年4月6日</a></blockquote>
<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja" width="500" align="center"><p>PiLで脱け殻</p>— DjKenchaTheSueCatBoyさん (@DjKencha) <a href="https://twitter.com/DjKencha/status/320514593212465152">2013年4月6日</a></blockquote>
<blockquote class="twitter-tweet" data-cards="hidden" lang="ja" width="500" align="center"><p>ジョン・ライドンわず。彼は本当に危険で美しくてかっこいい男でした。PiLはまりそー <a href="http://t.co/wocRELnFvf" title="http://twitter.com/dezi024/status/320516000103682049/photo/1">twitter.com/dezi024/status…</a></p>— じでまかちこかちまじでさん (@dezi024) <a href="https://twitter.com/dezi024/status/320516000103682049">2013年4月6日</a></blockquote>
<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja" width="500" align="center"><p>PiL、今のメンバーよくわからないけど演奏すごい良かった。ギターの人最高!いかれたフレーズばんばん飛び出して、曲のアレンジもかっこよかったー <a href="http://t.co/m7qfXHFMoi" title="http://instagram.com/p/Xw8fkKm9zU/">instagram.com/p/Xw8fkKm9zU/</a></p>— カス郎さん (@kubo249i) <a href="https://twitter.com/kubo249i/status/320528940471050241">2013年4月6日</a></blockquote>
<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja" width="500" align="center"><p>本日のPUBLIC IMAGE LIMITED. (PiL)のギグ、素晴らしかった!!! バンドも乗りに乗っていたし、John Lydonさんはヴォーカリストとしてエンターティナーとして最高だった! 来年も来てくれるかな~。</p>— 三郎太郎さん (@saburoutarou) <a href="https://twitter.com/saburoutarou/status/320537155292254208">2013年4月6日</a></blockquote>
<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja" width="500" align="center"><p>PiL、ガッツリ2時間!ジョンライドン、かっけー!こういう大人になりたいです。</p>— tentenさん (@oshin_death) <a href="https://twitter.com/oshin_death/status/320582563817218049">2013年4月6日</a></blockquote>
<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja" width="500" align="center"><p>PILのライブ帰りの人がびしょ濡れで帰ってきたけどなんかニヤニヤしてて怖い</p>— 紫四郎三郎さん (@Manuel_Gocchin) <a href="https://twitter.com/Manuel_Gocchin/status/320557052357406720">2013年4月6日</a></blockquote>
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yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.comtag:blogger.com,1999:blog-6775695003532057194.post-52972984431475226562013-04-08T21:42:00.001+09:002013-04-09T18:03:07.340+09:00PiL (Public Image Ltd) JAPAN TOUR 2013 4/5(金)東京 SHIBUYA-AX<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja" width="500" align="center"><p>Death discoの溜めからの解放、声も楽器も壊れんじゃねーかって思うほどカオスだよね、もうあれから動けなくなって地蔵でしたすみません、踊れなかった</p>— ばこやんまーさん (@MasahiRotten) <a href="https://twitter.com/MasahiRotten/status/320164918060003328">2013年4月5日</a></blockquote>
<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja" width="500" align="center"><p>ジョン(ू ˃̣̣̣̣̣̣o˂̣̣̣̣̣̣ ू)♡可愛いかった…!かっこよかった…!偉大で素晴らしかった…!思わず抱きしめたくなってたまらなく魅力的だった…‼PiLサイコーッ!</p>— 神輿さん (@mi_rotten) <a href="https://twitter.com/mi_rotten/status/320182431284068353">2013年4月5日</a></blockquote>
<blockquote class="twitter-tweet" data-cards="hidden" lang="ja" width="500" align="center"><p>PiLみっちり2時間!!明日大丈夫なのか!?(笑)踊りまくって疲れた!いい意味で疲れたよ!このこのーψ(`∇´)ψ <a href="http://t.co/7CCos3vS7v" title="http://twitter.com/moruved/status/320191048859152384/photo/1">twitter.com/moruved/status…</a></p>— MINAさん (@moruved) <a href="https://twitter.com/moruved/status/320191048859152384">2013年4月5日</a></blockquote>
<blockquote class="twitter-tweet" lang="ja" width="500" align="center"><p>PiLのライブまじ楽しかった!!もうジョンカッコいい!!最終的に二列目で見た!!絶対目あった!!もう思い出しカッコいいが止まらない!!</p>— たみーさん (@tammy0723) <a href="https://twitter.com/tammy0723/status/320190655550849024">2013年4月5日</a></blockquote>
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yasusiihttp://www.blogger.com/profile/11352772081682806873noreply@blogger.com