2004/03/04

ホワイト・ストライプス誕生秘話

white stripes by masao nakagami
white stripes, a photo by masao nakagami on Flickr.

「ねえちゃん、俺もうダメだ。とうとうバンドの連中からも見捨てられちまった。明日がステージだってのに、ドラムもベースもいない。結局俺の才能なんてこの程度のものだったんだ。」

「ジャックの意気地なし!」(ビンタをはる音)

「何すんだよ!ねえちゃんに俺の気持ちなんか分かるもんか。」

「ジャックはいつからそんな弱虫になったの!ぼくの中でジャニス・ジョプリンとイギー・ポップとジミー・ペイジとそのほかすごいものが全部溶け合って一緒に出てくるんだって、目をきらきら輝かせながら話していたあの頃のジャックはどこへ行ってしまったの?」

「ねえちゃん....。」

「ドラムやベースがいないくらいなんだっての。ジャックがいるじゃない。ジャックがギターを弾いて歌う。それだけで充分よ。余計なものなんていらないのよ。」

「ねえちゃん...。わかった。俺が意気地なしだった。もう一度がんばってみるよ。」

ギターを手に取り歌い出すジャック。しかし音の隙間を埋めようと力みすぎてしまうためか、パワーが空回りしてしまう。

「だめなのかな。ひとりじゃやっぱりだめなのかな。妥協してでも、メンバーを尊重して仲良くやっていればよかったのかな。そうなのかな。」

再び手を止めうつむいてしまったジャックの背後で突然ドラムの音がする。

どん ぽこ どん ぽこ どん ぽこ がしゃーん

どん ぽこ どん ぽこ どん ぽこ がしゃーん

「ね、ねえちゃん!」

「どうしたの?ジャック。さっさとギターを取って。リハーサル開始よ。バックは私にまかせてあなたは思う存分、やりたいように弾きなさい。歌いなさい。」

「ね、ねえちゃん!」(鼻水をすする音)

という経緯で結成されたホワイト・ストライプス(The White Stripes)。日本ではなぜかあまり売れてないのですが、 先日のグラミー賞でのステージを見て目覚めた人がたくさんいるようです。メグねえちゃんのおかげで長年患っていた病気が治ったという人までいます。