HAIM - Falling at Glastonbury 2013 |
先週末開催されたイギリス最大の音楽フェスティバル、グラストンベリー・フェスティバルのステージにハイム(Haim)が登場しましました。しかもいきなりメインのピラミッド・ステージです。さらに別の日にパーク・ステージでもプレイするというまさかの2ステージ、まだアルバムも出していないアメリカの新人バンドがこのような待遇で招かれるのはおそらく今までになかったことだと思います。
ところが初日、金曜のピラミッド・ステージでとんでもないアクシデントが発生しました。ベーシストのエスティ(Este)姉ちゃんが危うく死にそうになったというのです。
もう少しで死ぬところだったのよ。実はわたし糖尿病なんだけど、とってもお利口さんな糖尿病患者なもんだからステージの前に食事を取らなかったのね。そしたらステージが始まって時間の真ん中くらいのところで腕の感覚がなくなってきたの。「ヤバい、これ普通に演奏できるような状態じゃない」って思った。
最後の方はもう目の焦点も定まらなくて、ステージを降りなくちゃならなかったの。だって2万5千人の観客の目の前で死ぬわけにいかないでしょ。
糖尿病というと「太った中年のおっさんがかかる生活習慣病」というイメージを持ってる人が多いかもしれませんが、若くしてかかるこの病気は自己免疫疾患のひとつです。ハードスケジュールがたたったのでしょう。どうやらエスティ姉ちゃん、ステージ上で糖尿病性ケトアシドーシス症状に陥ってしまったようです。
ステージ後半は耐えられなくなって椅子に座り、朦朧とした状態で演奏を続けたんですが、そんな状態で観客に向けてこんなことを言ってたそうです。
ここにはすてきな人たちがたくさん来てるから、もしわたしが気を失ったらきっと誰かがマウスツーマウスで人工呼吸してくれるわよね。
病気で苦しい、つらいというときはまわりの元気な人がひどく憎らしく見えるものです。ましてフェスで大騒ぎしている観客ならなおさらです。だけど「ヤバい、これマジ死ぬかも」というときにこんなセリフの言えるエスティ姉ちゃん、やはり只者ではありません。みんなも見習いましょう。
エスティの体調がと心配になった人も多いと思いますが大丈夫です。前述のインタビュー・ビデオでは元気にジョークを飛ばしてるし、翌日のパーク・ステージのビデオはこちら。ほら、いつものエスティ姉ちゃんでしょ。