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2013/07/04

もしわたしが気を失ったらきっと誰かがマウスツーマウスで人工呼吸してくれるわよね (Haim Live at Glastonbury)

HAIM - Falling at Glastonbury 2013

先週末開催されたイギリス最大の音楽フェスティバル、グラストンベリー・フェスティバルのステージにハイム(Haim)が登場しましました。しかもいきなりメインのピラミッド・ステージです。さらに別の日にパーク・ステージでもプレイするというまさかの2ステージ、まだアルバムも出していないアメリカの新人バンドがこのような待遇で招かれるのはおそらく今までになかったことだと思います。

ところが初日、金曜のピラミッド・ステージでとんでもないアクシデントが発生しました。ベーシストのエスティ(Este)姉ちゃんが危うく死にそうになったというのです。

もう少しで死ぬところだったのよ。実はわたし糖尿病なんだけど、とってもお利口さんな糖尿病患者なもんだからステージの前に食事を取らなかったのね。そしたらステージが始まって時間の真ん中くらいのところで腕の感覚がなくなってきたの。「ヤバい、これ普通に演奏できるような状態じゃない」って思った。

最後の方はもう目の焦点も定まらなくて、ステージを降りなくちゃならなかったの。だって2万5千人の観客の目の前で死ぬわけにいかないでしょ。

Haim At Glastonbury - Este Almost Fucking Died

糖尿病というと「太った中年のおっさんがかかる生活習慣病」というイメージを持ってる人が多いかもしれませんが、若くしてかかるこの病気は自己免疫疾患のひとつです。ハードスケジュールがたたったのでしょう。どうやらエスティ姉ちゃん、ステージ上で糖尿病性ケトアシドーシス症状に陥ってしまったようです。

ステージ後半は耐えられなくなって椅子に座り、朦朧とした状態で演奏を続けたんですが、そんな状態で観客に向けてこんなことを言ってたそうです。

ここにはすてきな人たちがたくさん来てるから、もしわたしが気を失ったらきっと誰かがマウスツーマウスで人工呼吸してくれるわよね。

HAIM’s Este Haim Taken Ill During Glastonbury Set

病気で苦しい、つらいというときはまわりの元気な人がひどく憎らしく見えるものです。ましてフェスで大騒ぎしている観客ならなおさらです。だけど「ヤバい、これマジ死ぬかも」というときにこんなセリフの言えるエスティ姉ちゃん、やはり只者ではありません。みんなも見習いましょう。

エスティの体調がと心配になった人も多いと思いますが大丈夫です。前述のインタビュー・ビデオでは元気にジョークを飛ばしてるし、翌日のパーク・ステージのビデオはこちら。ほら、いつものエスティ姉ちゃんでしょ。

2013/05/13

Haim のアルバム・リリースはまだ少し先になりそうです

Haim @ Stubb's for SXSW
Haim @ Stubb's for SXSW, a photo by ConcertTour on Flickr.

フジロックへの出演でいよいよ初来日が決まった Haim、デビュー・アルバムは5月くらいに出るんじゃないかという噂だったのですが、まだもうちょっとかかるみたいです。この5月後半、ヴァンパイア・ウィークエンドのサポートとして予定していたツアーをキャンセルしてアルバムを仕上げるという Tweet が流れていました。

そうするとアルバム発売は来日には間に合わない可能性大だなあ。まあ出来ていないものはいくら出せって言っても出て来ないので、おとなしく待ってるしかありません。それでなくても Haim、今ものすごく忙しいんですよ。こっちのツアー日程見てわかる通り、イギリス、ヨーロッパと北米を入ったり来たり、8月末まで目いっぱいライブが詰まってます。

今でこそ注目の新人バンドとして大忙しの Haim ですが、その名前が知られるようになったのは、わずか1年ほどのことです。まずは次のヴィデオをご覽ください。昨年の春、SXSW での Haim のステージです。

Haim のステージそのものは今と変わりありません。だけど観客は嘘みたいにまばらです。ジャイアンの空き地リサイタルほどの人数しかいません。ステージ真正面で写真を撮った後、演奏途中で立ち去る無礼な女が腹立たしいです。

続いて今年の SXSW です。ステージ上の Haim は去年と変わらぬマイペースです。なのに観客はどうしてここまで違うんだ?この観客はどっから湧いてきたんだ?というくらいの勢いです。

ということで教訓。有名、無名にかかわらず、素晴しい音楽やそのプレイヤーにはちゃんと敬意を持って接しましょう。去年の SXSW Haim のステージ途中で立ち去ったあの女性は今頃、天罰がくだっているに違いありません。

(2013/06/18追記)その後のインタビューによると、アルバムの発売は夏の終わりになるそうです。9月くらいかな?

2013/02/16

お父さん、ぼくをハイムの一員にしてください! (Haim - Falling)

Haim - Falling

LA のバンドなのになぜかイギリスのレーベル、ポリドールと契約したハイム(Haim)、作戦大成功です。初めてイギリスで演奏したのはわずか半年前、昨年の夏のことなんですがあっという間に人気に火がついて NME の表紙になったと思ったら、1月には並み居るイギリスのバンドを抑えてBBC の Sound of 2013 に選ばれるほどになってしまいました。

ダニエル: イギリスのオーディエンスはすごくアツいのよ。「Forever」の歌詞を知ってる人たちを相手に演奏したのは今回のツアーが初めてだったんだけど、みんなまだリリースしていない「The Wire」や「Let Me Go」みたいな曲の歌詞まで知ってるの。わたしがベッドルームで書いた曲をみんなが歌ってくれるなんてもう最高の気分。どのライヴでもみんな熱狂的に迎えてくれるの。

Interview: Haim (HTF Exclusive)

イギリスでの盛り上がりに刺激されて本国アメリカのレコード会社も動き始め、どうやらコロンビアと契約になったもようです。順風満帆です。こんな風にトントン拍子にコトが進み、急にまわりにチヤホヤされるようになるとつい舞い上がってしまうというのは若いバンドにありがちなことですが、ハイムの場合その心配はなさそうです。大きな会場のコンサートでも小さなライブハウスで演ってるときと変わっていません。

ツアーにはちゃんとパパ・ハイムとママ・ハイムが同行してるみたいだし、ステージには出てない両親の後ろ盾がすごく大きいと思うんですよ。余計なことに惑わされず音楽やステージに集中できる環境をしっかり作ってるようです。レコードのジャケットや iTunes Store のクレジットをよく見てください。Haim Productions Inc. って書かれてるでしょう。メジャーデビューしたばかりの新人バンドなのにちゃんと法人設立して権利、契約、お金の出入り管理してるんです。もちろん社長はパパ・ハイムです。

ということで快進撃のハイム、シングル第3弾「Falling」がつい先日リリースされました。例によって iTunes Store でのダウンロード販売とアナログ・レコードだけで CD の発売はありません。YouTube でライヴ映像を追っかけしてるファンには前からお馴染みの曲なんですが、このシングルはこれまで以上にダンス・チューンなアレンジが施されているので、んー、ライヴのアレンジのほうが絶対いいと思うなー。

Sound of 2013 の受賞に合わせて BBC のスタジオで収録された映像があるので、こっちと聴き比べてみてください。ねー、こっちの方がずっといいと思わない?

このビデオ観てハイム三姉妹のほかに「このドラマー、すごくいいんじゃない?」って思った方、多いんじゃないでしょうか。ダッシュ・ハットン(Dash Hutton)君です。れっきとしたハイムのメンバーです。

聴いての通り、しっかりとした技術とセンスの持ち主です。曲全体の中でドラムが果すべき役割をよく承知してます。がんばってます。バンドとしてのハイムには欠かせない存在です。だけどジャケット写真にもプロモーション・ビデオにも出してもらえません。インタビューや取材にも呼ばれません。曲のクレジットにも名前が載ってません。つまりメンバーではあるけれどハイム・ファミリーの一員ではないのです。とってもつらい立場です。

ドラムは元々パパ・ハイムの担当でした。ダッシュ・ハットン君はパパ・ハイムの後釜としてドラム・チェアーに座ったのです。三姉妹とパパ・ハイムの厳しいチェックに耐え、彼はドラマーとして認められました。だけどハイム・ファミリーとしては認められていません。彼はハイム家の家族じゃないんです。

ダッシュ・ハットン君がファミリーの一員として認められる道はただひとつ、三姉妹の誰かと結婚する、これしかありません。がんばれ、ダッシュ・ハットン君。みんな応援してるぞ!

2012/11/16

わたしたちのひいおばあちゃんはジプシーだったんですって - ハイム(Haim)

Haim の魅力は何と言っても演奏してる三人がみんなすごく楽しそうなこと。一応新人バンドなんだけど、みんな小さな頃からステージに立ってるから、すごくリラックスしてマイペースで演奏してる。ステージが特別なものじゃなくて日常生活の一部って感じで、三人の自然な魅力が伝わってきます。

ステージ中央、次女のダニエルはねえ、歌の合間に出る「ハッ!」って掛け声がとってもカッコいいんですよ。どれくらいカッコいいかというと、漢字で「()ッ!」って書いた方が似合うくらいものすごくカッコいい。ギターもワイルドで素晴しい。知ってた?ギブソン SG っていうのはこうやって鳴らすんだよ。これが正しい SG の弾き方なんだよ。

ステージ右側、長女でベースのエスティはしっかりしたテクニックで抜群の安定感、頼りになる姉ちゃん。「大丈夫、姉ちゃんにまかせといて!」って感じで、サウンドの土台を支えてる。バンドのひょうきんなムードメイカー。

ステージ左の三女アラナは明るい末っ子キャラ。キーボード、ギター、パーカッションにヴォーカルと忙しいんだけど、年齢に似合わずステージではすごく冷静でキメるところはちゃんとキメる。はずさない。ギターのストラップが切れたって慌てず騒がす冷静に座り込んで演奏を続けます

三人は現在イギリスをツアー中で、12月3日には第2弾の EP (シングル?)「Don't Save Me」がイギリスで発売になります。何で LA のバンドなのにイギリスなのかというと、契約したレコード会社ポリドールがイギリスの会社なんでイギリス、ヨーロッパでまず集中的にプロモーションをってことなんだと思います。ホワイト・ストライプスしかり、スパークスしかり、ユニークなアメリカのバンドというのはなぜか本国よりイギリスで先に火が点くもんなんですよ。

Q: あなたたち3人はまだ小さな頃から両親と一緒に町のあちこちのステージに立って色んなカバー曲を演奏していたと聞いてます。つまり家族として一緒に生活してるのと同じくらい長い間、お互いミュージシャンとしてもつき合ってるわけですよね。両親と一緒にプレイしてた頃の思い出を何か聞かせてくれませんか。

一番の思い出は両親と一緒に初めてフェアファックスの Kibbitz Room のステージに立ったときかな。わたしたちみんなまるでロックスターになったみたいだった。とても不思議な気分で、そんな風に感じたのは初めてのことだったの。

Q: あなたたちの誰か、今までにもうプレイしたくないって思ったことはありませんか?

もうプレイしたくないなんて誰も考えたことないわ。それぞれ(Haim 以外の)プロジェクトでツアーに出ることもあるけど、いつだって帰ってくるべき自分たちのバンドがあるってちゃんと分かってるもの。

Q: 現在あるいは過去において、音楽的に大きな影響を受けたものは何ですか?

わたしたち両親が聴くものなら何でも聴いたの。ママはフォークやモータウンが大好きで、パパのお気に入りはファンクと The Clash。それにわたしたち LA 育ちでしょっちゅう車に乗っていたからいつもラジオを聴いていたの。90年代のガール・グループのアン・ヴォーグ(En Vogue)やデスティニーズ・チャイルド(Destiny's Child)も大好きで、ほかにも KIIS FM でかかる曲はみんな好きだった。

Q: Haim としての活動を初めようと決めたのはいつですか?

それまでわたしたちは曲なんか書いたことはなかったんだけど、ある日みんなで座って一緒に曲を作ってみたのよ。1曲書いてみたらそれがすごく楽しくて止まんなくなっちゃって、何曲かでき上がったら今度はライヴでみんなに聴いてほしくて我慢できなくなった。最初のギグは2007年の7月7日。門出にふさわしい日付よね。終わった後で、これこそわたしたちがやりたかったことだって確信したわ。

Q: Haim の本格的な活動開始に当たって乗り越えなくちゃならなかった一番の問題は何でしたか?

アラナ(Alana)がハイスクールを卒業するのを待たなくちゃならなかったこと!

Q: 曲はどうやって作るんですか?みんなで一緒に書くんですか?

曲は3人一緒、みんなでドラムを叩いて作るの。曲のアイディアはたいていドラムのビートから生まれてくるのよ。

Q: 現時点では3曲入りの EP がリリースされていますが、今後の予定は?アルバムのレコーディング予定はあるんですか?

今まさに作ってるところなの。

Q: ツアーをやっていて楽しいことは何ですか?あるいは嫌なことって何かありますか?

わたしたち、知らない土地へ行ってステージに立つの大好き。パパが言ってたけど、わたしたちのひいおばあちゃんはジプシーだったんですって。わたしたちが同じ場所にじっとしていられないのはきっとジプシーの血のせいね。ツアーで嫌なことなんて何もないわ。ヴェジタリアン向けの食事を見つけるのにちょっとだけ苦労するけど。

Better Off With HAIM: An Inside Look At Indie's Best New Trio

次のビデオは Haim の成り立ちを紹介したミニ・ドキュメンタリーなんですけど、自宅スタジオでのリハーサル風景のほか、パパ・ハイム、ママ・ハイム、三人がまだ子どもの頃の写真や映像も見られてすごくおもしろいよ。車の中で三人が「Go Slow」を歌うシーンがあるんだけどとってもいい感じ。いつも三人こうやって歌ってるんだろうな。

パパ・ハイム: 男の子が欲しくて3度もがんばったのに、うまくいかなかったんだ。だけどこれで良かった。すごく満足だよ。

うん、最高だよ、パパ・ハイム、ぐっじょぶ!

2012/09/08

ハイム(Haim)、ポリドール・レコードと契約、ヨーロッパ・ツアー開始!

Haim 4
Haim 4, a photo by alansheaven on Flickr.

LA の三姉妹バンドのハイム、バンド側から正式のアナウンスはまだないのですが、どうやらポリドールと契約して、アルバムのレコーディングに取りかかっているようです。アラナがこんなツイートをしてました。

ポリドール・レコード 「さて君たちの中で誰かぼくらのために新しい音楽を作ってくれる人はいるかな?」
アラナ 「只今作業中」

ポリドールのサイトを見るとちゃんとハイムの名前が載ってました。遂にアルバムがリリースされるようですね。そのほかも活動が活発で色々動きがあるので、まとめてご紹介します。

まず数量限定でリリースされたアナログ EP「Foever」ですが、追加のプレスで白いレコードやTシャツ付きのパッケージが販売されています。ほかに「Just Tell Me That You Want Me」というフリートウッド・マック(Fleetwood Mac)のトリビュート・アルバムにも参加、これは一曲だけですが「Hold Me」をカバーしています。CD、ダウンロードで既に販売中です。

ライヴの方は、地元 LA での小さなフェス等への参加のほか、8月はマムフォード & サンズ(Mumford & Sons)主催の移動フェス(?) Gentleman of the Road に加わり北米4ヶ所でのコンサートを行いました。そして11月からは、ハイム初の本格的なヨーロッパ・ツアーが予定されていて、イギリスを中心にオランダ、ドイツ、フランスなどをまわります。

あと7月19日にサンタモニカ埠頭で開催された無料コンサートでのライヴの模様が YouTube にアップされていたのでご紹介します。曲は以下の8曲です。客席からの撮影ですが、音質、画質共にきれいに撮れていて、ハイムのパワフルなライヴの雰囲気が充分に堪能できます。やっぱハイム、ライヴが最高にかっこいい!

  1. Better Off
  2. The Wire
  3. Honey & I
  4. Forever
  5. Go Slow
  6. Oh Well (Fleetwood Mac cover)
  7. Falling
  8. Let Me Go

えっと、あと何か忘れてなかったかな。そうだ、「Forever」の公式カラオケ・ビデオも公開されてます。

2012/07/06

Daytrotter で Haim のスタジオ・ライヴ公開

枚数限定リリースのアナログ盤 EP 「Forever」はみなさんお手元に届きましたでしょうか?Rough Trade の方は既に売り切れ、National Anthem の方も在庫僅かとなっています。「えっ、知らなかった。そんなのあったの?」という方は、今すぐ注文することをお勧めします。

ハイム(Haim)、音はプロフェッショナルだし、ちゃんとしたプロモーションビデオも作ってるし、ジャケット写真なんかもお洒落なんで、普通にレコード会社と契約してるバンドと勘違いされそうですが、今のところまだ独立系家族経営バンドです。

なので、手がまわんないんでしょうか。色々やってる割には宣伝が行き届いてない感じです。公式サイトのほか、FacebookTwitter のアカウントもあるんですが、ライヴや EP の販売さえちゃんとアナウンスされていない状況です。

つい先日 Daytrotter で4曲のスタジオ・ライヴが公開されたのですが、これも公式アナウンスが何もありません。しょうがないなあ。えー、今回 Daytorotter で録音されたのは以下の4曲です。

  1. Honey & I
  2. The Wire
  3. Go Slow
  4. Let Me Go

Honey & I が(たぶん)新曲。Go Slow は EP にも収録されてますね。The Wire と Let Me Go はライヴでお馴染の曲です。ライヴでのワイルドな演奏がハイムの魅力のひとつなんですが、観客のいないスタジオ・ライヴってことで、ちょっと抑えた感じになっています。恒例となっている Let Me Go エンディングの全員ドラム乱れ打ちも入ってませんが、ハイムのちょっと違う面が聴けます。

(2012/07/12 追記)Honey & I は SXSW でも演奏していました。YouTube でそのときの演奏が見られます

Daytrotter は有料の音楽サイトで登録が必要なんですが、7日間の無料お試しができるので、アカウントを持ってない人はこの機会にお試しください。ほかにも First Aid Kit とか Anaïs Mitchell などのスタジオ・ライヴもあります。

もうひとつ、チャイルディッシュ・ガンビーノ(Childish Gambino)が、Royalty というミックステープを無料公開しており、その中の Won't Stop という曲に次女のダニエルが参加してます。Foever のプロデューサー Ludwig Göransson はチャイルディッシュ・ガンビーノのアルバムもプロデュースしてるので、そのつながりで参加したものと思われます。

最後はこのブログで紹介してなかったヴィデオ、今年の SXSW で撮影されたもので、Go Slow のピクニック・バージョンです。3人揃ってかけ慣れない感じのサングラスをしているのは、通販メガネ・ブランドの Warby Parker がスポンサーになってるからです。

2012/06/28

ハイム(Haim)、デビュー EP 「Forever」のアナログ盤は枚数限定

haim-the-band
haim-the-band, a photo by TreasureLA on Flickr.

最近 Haim をキーワードにこのブログへ飛んでくる人が結構います。さすがみなさんお目が高い、お耳が肥えてる。そう、今、大注目の三姉妹バンド、ハイム(Haim)は今年の SXSW 出演と、それに前後して発表されたデビュー EP「Forever」が話題になり、注目を集めてるバンドです。

これだけ話題になれば、すぐに大手レコード会社と契約してアルバムをリリースするのが従来のパターンだったんですが、ハイムはまだどことも契約してません。EP「Forever」は自主制作で CD 発売はなく、ネットで MP3 を無料配布してただけです。それでも NME の2012年上期ベスト・ソング20に選ばれるというところが、音楽業界の変化を感じさせます。

現時点で唯一の公式音源が「Forever」なんですが、数量限定のアナログ・レコードが7月2日に発売されることになりました。Rough TradeNational Anthem のサイトで予約受付中です。

一方 MP3 の無料配布は既に終了して、ダウンロード販売に切り替わっています。ところが売ってるのは iTunes Store UK だけなので、残念ながら日本からは購入できません。EP の内容はそのまま SoundCloud にもアップされているので、ダウンロードし損ねて、レコードプレイヤーを持ってない人はしばらくこれで我慢するしかありません。

(2012/07/16追記) 日本の iTunes Store でも購入できるようになりました。

現在ハイムはイギリスをミニ・ツアー中、BBC などのラジオにも出演してプロモーション活動を行なっています。スパークスやホワイト・ストライプスみたいに、本国アメリカよりイギリスで先に人気に火が付くパターンになりそうです。

Q: あたたたちは今年の SXSW で注目を浴び、その後ネットを中心に新人バンドとしては異例の評価を受けるようになったわけですが、こんなに早く認められるなんて予想していましたか?

いいえ、全然! SXSW ではただ興奮してプレイしただけ。最高だったわ!

Q: 人々があなたたちの音楽に惹かれる理由は何だと思いますか?

昔のレコードを聴いてみて。答はきっとそこにあるわ。

Q: デビュー EP の Forever を出したばかりですが、何かもう次の計画(フルアルバムなど)はあるんですか?

レコード用の曲はもう85%くらいできてるのよ。だからあとはスタジオへ入って録音するだけ。

Q: スタジオワークは苦手だって話を聞きましたけど?

わたしたちの頭の中ではたくさんの音楽が鳴ってるの。だからレコーディングでは、わたしたちが望む現実の音を見つけ出すのに苦労するのよ。だけどきっと、ちゃんとできるわよ。

Q: 曲はどんな風に作るんですか?

たいてい何かのビートとかドラムのトラックから始めて、メロディはその後についてくるの。詩に書くのは自分たちが知ってることや知ってる人のこと。友達から聞いた話や、夢に見た内容が歌になることもあるわ。

Q: メンバーが姉妹だってことがマイナスになることはありますか?ケンカはよくするんですか?

バンドも家族も似たようなものよ。わたしたちの場合、たまたま家族がバンドのメンバーだっただけ。もちろんちょっとしたケンカはよくするわよ。たいてい原因は誰かが黙って誰かの服を着たとかだけどね。わたしたちお互いずっと親友同士であり、同時に「ふざけんじゃないわよ!」って仲なのよ。

HAIM INTERVIEW (DON’T PANIC 18.06.12)

ということで、日本で CD などが発売されたり、ツアーで来日するまではもう少し時間がかかりそうですが、YouTube にはライヴの模様が色々上がってますので、こちらをお楽しみください。

Haim Live at Dingwalls
今月18日、ロンドンでのライヴ。アンコールでパパ・ハイムとママ・ハイムが登場、伝説のバンド Rockinhaim を再結成しています。
Haim Live at The Satellite
今年の2月20日、LA の The Satellite でのライヴ。
Haim Live at Bowery Electric
昨年10月21日、ニューヨークの Bowery Electric でのライヴ。
HAIM at the Palace Theater
2009年11月27日、LA The Palace Theater でジュリアン・カサブランカスのサポート・アクトを勤めたときの模様。このとき一番下のアラナはまだ16か17。

そしてこちらが Forever のプロモーションビデオです。ひとつ気になるのが、エスティがおへそのはるか上まで引っ張り上げてはいてるスカート。ああいう着こなしが今 LA で流行ってるんでしょうか?

2012/06/21

そうだ、子どもたちと一緒にバンドをやればいいじゃないか! (Forever - Haim)

Haim
Haim, a photo by hobogirl923 on Flickr.

先日の話の続きです。

えっと、前回の話で何を書こうとしたかというと、ミュージシャンというのが以前みたいに儲かる商売じゃなくなってきた今、ライヴを中心に食っていこうとすれば、伝統的な家族を中心にした旅芸人の一座みたいのに戻っていくのがひとつのテじゃないかと思うんですよ。

コンスタントにライヴを続けてくってことは、要するに年中旅してるってことです。ステージをやって、車や飛行機に乗って、ステージをやって、また移動してという生活が延々続きます。バンドのメンバーがずっと顔をつき合わせてると、お互いの嫌なところも色々見えてきます。気候や食べ物がコロコロ変わる環境では、健康管理も難しくなってきます。実際、ツアーに明け暮れる毎日が嫌でバンドを脱退したとか、メンバー間のムードが険悪になって解散したという話はいくらでもあります。

一方、伝統的な旅芸人というのは、生活の前提が旅であり家族が基本構成になっています。旅が生活であり、旅の中でお互いの芸を長期的な視点で伸ばしていく人たちです。血を分けあった家族なら、お互いの性格や良いところ、悪いところも最初からよくわかっています。喧嘩したいときには思いっきり喧嘩できます。また身のまわりのことを分担したり、具合が悪くなればお互い面倒を見たり、ステージ以外の生活でお互いを助け合うことも当たり前です。赤の他人同士が集まって作ったバンドで、こうした関係を築くのは、そう簡単なことではありません。

またレコードや CD が音楽産業の中心となっていたここ数十年忘れられがちだったことですが、音楽ライヴのパフォーマーに必要なのは、音楽的才能や演奏テクニックだけではなく、ステージ上で観る人を魅き付ける技術も必要です。それは話し方や声の出し方や、時間的、空間的、人的な押したり引いたりの間合いです。こうしたものは、もちろん個人の才能も必要としますが、ステージの場数をこなすことで獲得する技術でもあります。伝統芸能では年端もいかない子どものうちからステージに立たせることが珍しくありません。それは「パフォーマーは観客によって鍛えられる」ことの重要さを長年の経験から知っているからです。ステージの繰り返しの中で、次の世代の才能を育てていくのが旅芸人のやり方です。

ということで、21世紀、これからのライヴ音楽は再び旅芸人一座の時代が来る。そんな気配を感じさせる家族バンドが色々登場しています。たとえば Kitty, Daisy & Lewis、あるいは First Aid Kit などがありますが、最近一番の注目のバンドは以前もここで紹介した Haim です。

LA 出身のハイム家三姉妹のバンドなんですが、元々はRockinhaim という家族バンドだったんですよ。

ギターを弾き始めたのは7歳くらいのとき。ママはアコースティック・ギターが弾けたので、ビートルズやジョニ・ミッチェルの曲をたくさん教えてくれたの。ママはずっとジョニ・ミッチェルみたいになりたかったの。でも生活のためにその夢をあきらめなくちゃならなかったみたい。だからその夢を私たちにかなえてほしかったんだと思う。私たち小さな頃からパパとママと一緒に家族でバンドを組んでいたのよ。その前に両親は別の夫婦と一緒に Boomerang という名前のバンドをやっていたんだけど、解散しちゃったの。パパはよほどショックだったらしく、一時はもう誰ともバンドをやりたくないと思ってたみたいなんだけど、ある日「そうだ、子どもたちと一緒にバンドをやればいいじゃない か!」って思い付いたみたい。それで私たちは町のチャリティや子ども病院、お祭りなんかで古いポップスやロックを演奏するようになったわけ。

DISCOVERY: HAIM

家族バンドとしての活動は10年にも及んだそうですが、姉妹は成長するに連れ て、単なるアマチュアのコピーバンドとしての自分たちに飽き足らなくなって きました。

私たちは自分たちでオリジナルの曲を書き始め、新しいドラマーを入れようって決めたの。「パパ、ごめんなさい。私たちは、同じ年頃のドラマーと一緒にやるべきだと思うの」って。パパはわかってくれたわ。だけど今でもすごく申し訳なく思ってる。

Haim, the hot new folk/R&B trio

こうして三姉妹は新たなドラマーを加え、4年ほど前に Haim が誕生しました。ハイムの現在のメンバーを紹介しておきましょう。ベース担当の長女エスティは24歳、ギターの次女ダニエルは22歳、キーボードやギターを担当する三女のアラナは19歳です。唯一の男性で家族外のメンバーはドラムのダッシュ・ハットン君です。

Haim の音を聴いてまず驚くのは、そのライヴでのしっかりした演奏力とコンビネーションの素晴らしさです。さすが子どもの頃からステージに立ってきただけあります。ライヴならではのエネルギッシュな歌や演奏をしながらも、「バンドとしての音」を聴かせる、観客を楽しませることを忘れません。またひとつの曲の中でリードヴォーカルがダニエルからアラナに、さらにエスティへと入れ替わったりするんですが、その呼吸、間合いが絶妙なんです。赤の他人が集まって数年一緒にやっただけでは、なかなか実現できるものではありません。

Haim は SXSW でのステージが話題になり、イギリスなど他の国からも声がかかるようになって、現在はイギリスでミニツアーを行っています。デビュー EP 「Forever」は iTunes などでダウンロード販売されている(UK のストアのみ)ほか、7月初めに限定盤のアナログ10インチが発売されることになっています。

全国の音楽好きのお父さん、お母さんたち、どう?子どもたちと一緒にバンドをやってみては?旅芸人になりませんか?

Haim にはオフィシャルなプロモーションビデオもあるんですが、やっぱライヴの方がお勧め。圧倒的にかっこいい。

(さらに「ロックのステージが伝統芸能になる日」へつづく)

2012/03/25

ハイム(Haim)のデビュー EP「Forever」

本日ご紹介するのは、つい先日デビュー EP「Forever」をリリースしたばかりの LA 出身バンド、ハイム(Haim)です。エスティ(Este Haim 24)、ダニエル(Danielle Haim 22)、アラナ(Alana Haim 19)のハイム家三姉妹によるバンドです。なんだ、また姉妹バンドかよと思われるかもしれませんが、仕方ないでしょう、今家族バンドの時代が来てるんです。

Haim としてのライヴ活動は4年ほど前からやっていたようですが、スタジオ音源をリリースするのは今回が初めてです。このデビュー EP、実はレコード会社からの発売ではなく自主制作したもので、バンドの Web サイトで MP3 データを無料配布しています

(2012/07/16追記 上記 MP3 の無料配布は終了し、ダウンロード販売に切り替わりました。iTunes Store で購入できます。)

アマチュアの自主制作といっても最近は皆レベルが高いんですが、そんな中にあってもこの「Forever」はメロディー、ハーモニー、アレンジなどちょっとほかでは聴けないほどの完成度です。アルバムタイトル曲の「Forever」などは昔のブロンディー(Blondie)みたいな雰囲気が感じられます。

ブロンディーやスージー・クアトロ(Suzi Quatoro)などのヒット作を生み出したプロデューサーのマイク・チャップマン(Mike Chapman)、実は彼が3年ほど前にハイムに目を付け、一緒にレコーディングしていたことがあるんです。マイクが手がけた録音は残念ながらリリースされていませんが、そのときの経験がスタジオ技術や曲づくりに生きていることは間違いありません。

EP ではかっちりとしたポップな演奏を聴かせるハイムですが、打って変わってライヴではエモーショナルでワイルドな音を聴かせます。ビデオは EP には収録されていない「Let Me Go」という曲なんですが、これがめちゃカッコいいんですよ。ステージ左はキーボードとギター担当のアラナ、真ん中のギターがダニエル、右でベースを弾いてるのが長女のエスティです。パーカッションは全員が担当します。

真ん中のダニエルを見て「あれ?前にもどこかで見たような」と思った人がいるかもしれません。実は彼女、2010年のジュリアン・カサブランカス(Julian Casablancas)のツアーにパーカッション担当で参加、来日してるんです。ほかにもジェニー・ルイス(Jenny Lewis)などのツアーにも参加していて、YouTube を探すと色々出てきます。

(そのほかの Haim 関連情報、インタビューなど)