Haim - Falling |
LA のバンドなのになぜかイギリスのレーベル、ポリドールと契約したハイム(Haim)、作戦大成功です。初めてイギリスで演奏したのはわずか半年前、昨年の夏のことなんですがあっという間に人気に火がついて NME の表紙になったと思ったら、1月には並み居るイギリスのバンドを抑えてBBC の Sound of 2013 に選ばれるほどになってしまいました。
ダニエル: イギリスのオーディエンスはすごくアツいのよ。「Forever」の歌詞を知ってる人たちを相手に演奏したのは今回のツアーが初めてだったんだけど、みんなまだリリースしていない「The Wire」や「Let Me Go」みたいな曲の歌詞まで知ってるの。わたしがベッドルームで書いた曲をみんなが歌ってくれるなんてもう最高の気分。どのライヴでもみんな熱狂的に迎えてくれるの。
イギリスでの盛り上がりに刺激されて本国アメリカのレコード会社も動き始め、どうやらコロンビアと契約になったもようです。順風満帆です。こんな風にトントン拍子にコトが進み、急にまわりにチヤホヤされるようになるとつい舞い上がってしまうというのは若いバンドにありがちなことですが、ハイムの場合その心配はなさそうです。大きな会場のコンサートでも小さなライブハウスで演ってるときと変わっていません。
ツアーにはちゃんとパパ・ハイムとママ・ハイムが同行してるみたいだし、ステージには出てない両親の後ろ盾がすごく大きいと思うんですよ。余計なことに惑わされず音楽やステージに集中できる環境をしっかり作ってるようです。レコードのジャケットや iTunes Store のクレジットをよく見てください。Haim Productions Inc. って書かれてるでしょう。メジャーデビューしたばかりの新人バンドなのにちゃんと法人設立して権利、契約、お金の出入り管理してるんです。もちろん社長はパパ・ハイムです。
ということで快進撃のハイム、シングル第3弾「Falling」がつい先日リリースされました。例によって iTunes Store でのダウンロード販売とアナログ・レコードだけで CD の発売はありません。YouTube でライヴ映像を追っかけしてるファンには前からお馴染みの曲なんですが、このシングルはこれまで以上にダンス・チューンなアレンジが施されているので、んー、ライヴのアレンジのほうが絶対いいと思うなー。
Sound of 2013 の受賞に合わせて BBC のスタジオで収録された映像があるので、こっちと聴き比べてみてください。ねー、こっちの方がずっといいと思わない?
このビデオ観てハイム三姉妹のほかに「このドラマー、すごくいいんじゃない?」って思った方、多いんじゃないでしょうか。ダッシュ・ハットン(Dash Hutton)君です。れっきとしたハイムのメンバーです。
聴いての通り、しっかりとした技術とセンスの持ち主です。曲全体の中でドラムが果すべき役割をよく承知してます。がんばってます。バンドとしてのハイムには欠かせない存在です。だけどジャケット写真にもプロモーション・ビデオにも出してもらえません。インタビューや取材にも呼ばれません。曲のクレジットにも名前が載ってません。つまりメンバーではあるけれどハイム・ファミリーの一員ではないのです。とってもつらい立場です。
ドラムは元々パパ・ハイムの担当でした。ダッシュ・ハットン君はパパ・ハイムの後釜としてドラム・チェアーに座ったのです。三姉妹とパパ・ハイムの厳しいチェックに耐え、彼はドラマーとして認められました。だけどハイム・ファミリーとしては認められていません。彼はハイム家の家族じゃないんです。
ダッシュ・ハットン君がファミリーの一員として認められる道はただひとつ、三姉妹の誰かと結婚する、これしかありません。がんばれ、ダッシュ・ハットン君。みんな応援してるぞ!