えっとケイト・ブッシュ(Kate Bush)の「ディレクターズ・カット(Director's Cut)」については先日も書いたばかりですが、どうも世間では古い曲の単なるリミックスと受け取っている人が少なくないようです。いや違うんだってば。新作なんだってば。アルバム付属のブックレット冒頭でご本人もこのように語っています。
何年かの間私は「The Sensual World」と「The Red Shoes」の曲をいくつか選んでやり直したいと思っていました。オリジナルの録音からミュージシャンのベストなパフォーマンスを保ちつつそのトラックを取り出して、それをまた縫い合わせる際に新たなシーンとテクスチャーを加えてみたかったのです。つまり映画のディレクターズ・カットのようなことを音楽でやろうとしたわけです。ですがこれらの歌をもう一度歌ってみると自分が間違った鍵でドアを開けようとしていることに気づきました。だから私は別な鍵を用意しました。そしてドアを開けてみると...。」
まあインタビューで「次のアルバムの曲はもうでき上がってて...」なんてことを言ってるので知らない人が「ディレクターズ・カットは本当の新作が出るまでのつなぎ?」と勘違いするのも無理ないとは思いますが、長年ケイトのファンやっていると分かるんです。そんなに簡単に次は出ないんです。時間感覚が普通のミュージシャンとは違うんです。おまけに大切な一人息子はもう12歳です。そろそろ思春期で「うるせえ、ババア!」とか言い出す年頃です。そんなんなったらもうケイトが大変なことになってアルバムどころでなくなるのは目に見えてます。個人的にはケイトみたいな母親を持った息子の方が大変だなと思います。同情します。
今回のアルバムには完全な新録音が3曲収録されています。中でもハイライトはアルバム最終曲「ラバーバンド・ガール(Rubberband Girl)」です。サウンドがなぜか突然ストーンズのベガーズ・バンケットです。ブルース・ハープまで入ってます。「ストリート・ファイティング・マン(Street Fighting Man)」になってます。
「もうガールってトシじゃないだろ。ばあさんはさっさと引退しな!」とか言う元気な娘さんがいたら、ぜひぜひ挑戦してください。ケイトはいつでも受けて立ちます。どこからでもかかってきなさい。
木々が揺れているのを見ると
ゆらゆら揺れているのを見ると
逆らってばかりの私より
ずっと分別があるみたいゴム紐は勢いよくはね返る
ゴム紐はビートをはね返す
私がゴム紐みたいに柔軟なら
すぐに立ち直れるのにゴム紐は勢いよくはね返る
ゴム紐でポニーテールを束ねて
ゴム紐みたいにピーンと響けたら
ゴム紐娘になれるのに私はゴム紐娘
私はゴム紐娘
ゴム紐娘になりたいたとえカタパルトから発射されたって
地面にしっかり着地して
またすぐに立ち直るゴム紐は勢いよくはね返る
ゴム紐はビートをはね返す
私がゴム紐みたいに柔軟なら
すぐに立ち直れるのにゴム紐でズボンをとめて
ゴム紐でポニーテールを束ねて
ゴム紐みたいにピーンと響けたら
ゴム紐娘になれるのに私はゴム紐娘
私はゴム紐娘
ゴム紐娘になりたいゴム紐はビートをはね返す
ゴム紐はビートをはね返す
ゴム紐みたいにパチンとはじけたい
ゴム紐みたいにピーンと響きたい
私はゴム紐娘