Lake Tahoe, a photo by wili_hybrid on Flickr. |
山の水は冷たく、泳ぐなんてとても無理。ただ岸に立って、眺めることしかできません。でもひょっとしたら、湖の底に沈んだ女性を見ることがあるかもしれません。言い伝えでは、いつの日か突然彼女が浮び上がって、現れると言われているのです。
ヴィクトリア調のドレスを身に纏った彼女は、迷子になった飼い犬を「スノーフレーク、スノーフレーク!」と名前を呼びながら探していたのですが、その途中、誤って湖に転落し溺れてしまいました。かわいそうに、陶器の人形のように、湖の底に沈んでいったのです。
彼女が目を覚ますと、家には誰もいませんでした。長らく留守にしている間に時計は止まってしまったのです。家には誰もいませんでした。
彼女が飼ってる年老いた犬は眠っていました。もう足が弱っていて、満足に歩けなかったのです。でも犬は夢の中で立ち上がり、走っていました。岸に沿って、ぬかるんだ野原を走りました。お化けの出そうな怖い森を通り抜け、彼女を探して走りました。
家のベッドは整えられ、食事のテーブルも準備ができていました。玄関のドアが開いて、誰かが呼んでます。彼女です。
こっちよ、こっちよ! おかえりなさい!あなたの大好きな骨やビスケットが用意してあるわよ。待ってたのよ。
さびしかった?私のこと、恋しかった?ほら、キッチンよ。あなたが眠るカゴがあるでしょう。ここは玄関ホール、いつもここで私を待ってるのよね。こっちは寝室だけど、ここは入っちゃだめよ。そしてここが私の膝、枕にして眠っていいのよ。
おいで、いい子ね。おかえりなさい。
おかえりなさい。
ケイト・ブッシュ(Kate Bush)の曲の評価で「癒される」「落ち着く」「おやすみの音楽にぴったり」なんてのをよく見かけるんですが、えーっ、みんなホントにそうなの?
オラなんか、この曲聴くと涙と鼻水で寝るどころじゃないんですけど。ケイト・ブッシュに「おかえりなさい」なんて歌われたら、ジョン・ライドンだって涙がこみ上げてきて、洟かみながらじゃないと聴けないと思うぞ。