Little insect on the wall, a photo by drkaos86 on Flickr. |
あなたがある音楽を聴いて「すばらしい!最高だ!!」と感じたとしても、ほかの人が同じように感じるとは限りません。たとえ「すばらしい!」と感じる人が数多くいたととしても、「こんなのどこがいいの?」という人が必ずいます。ほとんどの場合、音楽の好き嫌いはその人の感じた結果であって、意識的な選択によって生じるものではありません。
意識が高度に発達した生物においても、知覚や思考は無意識に生じるのがふつうである。なかでも、人間はその最たるものにちがいない。はっきりと意識される知覚は五感を介して受容することのごく一部であって、それよりもはるかに多くを人間は閾下知覚によって感じ取る。意識に上るのはすでに知っていることの薄れかけた影でしかない。
現に知っていることと、意識を介して学習することを同等に置くのは致命的な誤りである。精神の寿命と肉体の寿命は表裏している。覚醒した意識にばかりすがって制御しようとすれば、精神は機能しない。
- 「わらの犬(Straw Dogs) 2002」ジョン・グレイ(John Gray)
もちろんオラは、マガジン(Magazine)のサウンドやハワード・ディヴォート(Howard Devoto)の声がすばらしいと感じます。子どもの頃は「このすばらしさが、どうしてみんな分からないのだろう?」と思っていたのですが、今は大人になったので、分かんない人には分かんないんだと分かります。どっちかと言うとハワード・ディヴォートの声やルックスは「あー、あたしこのタイプ、絶対ダメ!」という人が多いことも、今は経験で知ってます。
好きな人も嫌いな人も、選択した結果じゃないんだから、仕方ないんです。最初っからそうなんです。なんでか知らないけど、人間はそうゆう風になってるんです。
でもね、今まですごくイヤだったものが、ある日突然好きになることもあるんです。だからもう一度聴いてみてください、マガジン。
時は
飛ぶように過ぎ去るかと思えば
のろのろと這いまわる
壁の表面を上に、下に
虫けらのように光がぼくの中から溢れ出す
光がぼくの中から溢れ出す沈黙の陰謀は
どうしてもぼくを洗脳したいようだ光がぼくの中から溢れ出す
光がぼくの中から溢れ出すつめたい日の光が
ぼくの中から溢れ出す
ぼく自身は照らさず
そのままにして光がぼくの中から溢れ出す
この静止した世界で
まるで血が吹き出すように
一気に溢れ出す
心臓の鼓動で
愛が叩きのめされる光がぼくの中から溢れ出す