John Lydon / Public Image Ltd., a photo by /ivan on Flickr. |
既に日本語のライヴ・レビューも出てる(ここやここ)のでご存知の方も多いと思いますが、4月1日と2日、ロンドンのクラブ Heven で PiL のコンサートが開催されました。YouTube にもその様子が色々アップされています。
3月の BBC と Record Store Day のミニライヴはビデオやネット中継で私も観ました。ジョニーおじさんは風邪をひいていたらしく声は抑え気味、また招待客中心のせいか聴衆の反応がいまいちだったんですが、今回は2010年7月以来、新曲を引っ提げての地元ロンドンでのライヴということで、大盛り上がりの大成功だったようです。
最近のライヴアルバムや昨年の来日コンサートを観た人たちはよく分かってると思いますが、今の PiL はもうかつての PiL ではありません。昔の曲では基本的なメロディーやアレンジこそ以前の形を踏襲してはいますが、そこに込められ、伝わってくるエモーションが昔とはまるで違います。ルー・エドモンズ(Lu Edmonds)は以前のインタビューで次のように言ってます。
どんな作品にも寿命というものはある。だが曲のオリジナルなエッセンスに忠実であること、それがぼくらのすべきことだったんだよ。過去の作品をなぞるだけのような愚かなこともしていない。ぼくらがやっているのは自分たちの楽器を手に取り、ベストなサウンドを鳴らすこと、そしてジョンの歌をサポートするベストなやり方を見つけることだよ。
人間と同様、音楽作品にも寿命があります。かつて輝いていた作品も時が経つに連れ、その意味と力を失います。もしその作品の中に今も通用する意味が残っていたとしても、アーティストが再びそこに力を吹き込まなければ、人から顧みられず、忘れられてしまいます。
作品に新たな意味と力を吹き込むのは作ったアーティスト本人だけではありません。聴き手もまた力と意味を注ぎ込み生き返らせる役を担っています。ジョニーおじさんも2009年の再始動以来、オーディエンスと一緒になって新しい PiLを作ってきたんだということを、よおく理解してます。だから4月2日には Death Disco を演奏した後でこんなことを言ってたそうです。
力を貸してくれてお前らにはすごく感謝してるよ。こんな風に楽しめるなんて変だよな、これは死を歌った曲なのにさ。でもこれこそがアイルランド風の楽しみ方ってやつかもしれないな。ありがとう、感謝する。みんなに安らかな死がもたらされんことを!
次のビデオは4月1日のアンコールで演奏されたもので、今までの PiL にはなかったタイプの曲です。ジョンは曲名を紹介してませんが、twitpic にアップされていたセットリストによると「Out of the Woods」という曲のようです。ジョンがこう言ってから曲が始まります。
これはみんなの知らない曲だが、前にも聴いたことがある、そう感じてくれたらと思う。