Brian singing, a photo by iko on Flickr. |
ケイト・ブッシュの「Running Up That Hill」については昨日書いたばかりですけど、もうひとネタ。
有名な曲なので多くのアーティストやバンドがカバーしてるんですが、そのひとつに5年ほど前にプラシーボ(Placebo)がカバーしてシングル・ヒットしたバージョンがあります。若い人だとケイトのオリジナルは知らないけど、プラシーボのやつは聴いたことがあるという人が結構多いかもしれません。英語ってのは日本語ほど男言葉、女言葉というのが明確ではないので、歌詞はほとんど変えなくても、歌い手によって男女の立場を入れ替えることが可能です。「Running Up That Hill」の場合、男性であるブライアン・モルコ(Brian Molko)がを歌うことで、立場が入れ替わりました。歌詞にある通り「お互いの身体を入れ替える(swap our places)」ことが実現したとも言えるでしょう。
先日オリンピック閉会式の「Running Up That Hill」を YouTube で探していたところ、もうひとつ面白いものを見つけました。プラシーボのバージョンがレッスルマニアというアメリカのプロレス・イベントで2010年版プロモーション・ビデオに使われていたんです。
最初はこの曲が、なんでこんなところに使われるんだろうと思っていたんですが、ビデオの冒頭、二人のレスラーがリング上で衝突するシーンのバックで"It doesnt't hurt me..." と歌が流れたところで理由がわかりました。ずっぱまりの曲です、これ。
アメリカのプロレスなどほとんど観たことないので知らなかったのですが、調べてみるとこの年のレッスルマニアのメインイベントはアンダーテイカー対ショーン・マイケルズという過去様々な因縁を持つ二人の対決で、ショーン・マイケルズは現役引退を賭けてリングに上がり、後世に語り継がれる名勝負となったそうです。
まあ、ビデオを観ていただければわかります。ここで「Running Up That Hill」は、リング上で戦い、傷付け合うという形でしか出会うことのできなかった二人の男の歌になっています。
そんなもので俺を倒すことなどできない
俺がどう感じてるのか、知りたいか?
俺が本当に痛みを感じていないのか、知りたいか?
俺が考えている取り引きについて、聞きたいか?
そうだ、おまえと俺のことだもし神と取り引きできるなら
二人、お互いの身体を入れ替えてもらえたら
一緒にあの道を駆けのぼって
一緒にあの丘を駆けのぼって
あの館に駆け上がれるのかもしれない俺を傷付ける気はなかったんだろう
だが弾丸は、身体の奥深く突きささっている
俺もいつの間にか、おまえを引き裂こうとしている
お互いの心の中に怒りが渦巻いている愛するものへの憎しみでいっぱいか?
なあ、俺たち両方に問題があるのかな?
そうだ、おまえと俺のことだ
もう二人は決して不幸にはならないもし神と取り引きできるなら
二人、お互いの身体を入れ替えてもらえたら
一緒にあの道を駆けのぼり
一緒にあの丘を駆けのぼり
あの館に駆け上がるなんて
わけもないことなのにな