2012/11/16

わたしたちのひいおばあちゃんはジプシーだったんですって - ハイム(Haim)

Haim の魅力は何と言っても演奏してる三人がみんなすごく楽しそうなこと。一応新人バンドなんだけど、みんな小さな頃からステージに立ってるから、すごくリラックスしてマイペースで演奏してる。ステージが特別なものじゃなくて日常生活の一部って感じで、三人の自然な魅力が伝わってきます。

ステージ中央、次女のダニエルはねえ、歌の合間に出る「ハッ!」って掛け声がとってもカッコいいんですよ。どれくらいカッコいいかというと、漢字で「()ッ!」って書いた方が似合うくらいものすごくカッコいい。ギターもワイルドで素晴しい。知ってた?ギブソン SG っていうのはこうやって鳴らすんだよ。これが正しい SG の弾き方なんだよ。

ステージ右側、長女でベースのエスティはしっかりしたテクニックで抜群の安定感、頼りになる姉ちゃん。「大丈夫、姉ちゃんにまかせといて!」って感じで、サウンドの土台を支えてる。バンドのひょうきんなムードメイカー。

ステージ左の三女アラナは明るい末っ子キャラ。キーボード、ギター、パーカッションにヴォーカルと忙しいんだけど、年齢に似合わずステージではすごく冷静でキメるところはちゃんとキメる。はずさない。ギターのストラップが切れたって慌てず騒がす冷静に座り込んで演奏を続けます

三人は現在イギリスをツアー中で、12月3日には第2弾の EP (シングル?)「Don't Save Me」がイギリスで発売になります。何で LA のバンドなのにイギリスなのかというと、契約したレコード会社ポリドールがイギリスの会社なんでイギリス、ヨーロッパでまず集中的にプロモーションをってことなんだと思います。ホワイト・ストライプスしかり、スパークスしかり、ユニークなアメリカのバンドというのはなぜか本国よりイギリスで先に火が点くもんなんですよ。

Q: あなたたち3人はまだ小さな頃から両親と一緒に町のあちこちのステージに立って色んなカバー曲を演奏していたと聞いてます。つまり家族として一緒に生活してるのと同じくらい長い間、お互いミュージシャンとしてもつき合ってるわけですよね。両親と一緒にプレイしてた頃の思い出を何か聞かせてくれませんか。

一番の思い出は両親と一緒に初めてフェアファックスの Kibbitz Room のステージに立ったときかな。わたしたちみんなまるでロックスターになったみたいだった。とても不思議な気分で、そんな風に感じたのは初めてのことだったの。

Q: あなたたちの誰か、今までにもうプレイしたくないって思ったことはありませんか?

もうプレイしたくないなんて誰も考えたことないわ。それぞれ(Haim 以外の)プロジェクトでツアーに出ることもあるけど、いつだって帰ってくるべき自分たちのバンドがあるってちゃんと分かってるもの。

Q: 現在あるいは過去において、音楽的に大きな影響を受けたものは何ですか?

わたしたち両親が聴くものなら何でも聴いたの。ママはフォークやモータウンが大好きで、パパのお気に入りはファンクと The Clash。それにわたしたち LA 育ちでしょっちゅう車に乗っていたからいつもラジオを聴いていたの。90年代のガール・グループのアン・ヴォーグ(En Vogue)やデスティニーズ・チャイルド(Destiny's Child)も大好きで、ほかにも KIIS FM でかかる曲はみんな好きだった。

Q: Haim としての活動を初めようと決めたのはいつですか?

それまでわたしたちは曲なんか書いたことはなかったんだけど、ある日みんなで座って一緒に曲を作ってみたのよ。1曲書いてみたらそれがすごく楽しくて止まんなくなっちゃって、何曲かでき上がったら今度はライヴでみんなに聴いてほしくて我慢できなくなった。最初のギグは2007年の7月7日。門出にふさわしい日付よね。終わった後で、これこそわたしたちがやりたかったことだって確信したわ。

Q: Haim の本格的な活動開始に当たって乗り越えなくちゃならなかった一番の問題は何でしたか?

アラナ(Alana)がハイスクールを卒業するのを待たなくちゃならなかったこと!

Q: 曲はどうやって作るんですか?みんなで一緒に書くんですか?

曲は3人一緒、みんなでドラムを叩いて作るの。曲のアイディアはたいていドラムのビートから生まれてくるのよ。

Q: 現時点では3曲入りの EP がリリースされていますが、今後の予定は?アルバムのレコーディング予定はあるんですか?

今まさに作ってるところなの。

Q: ツアーをやっていて楽しいことは何ですか?あるいは嫌なことって何かありますか?

わたしたち、知らない土地へ行ってステージに立つの大好き。パパが言ってたけど、わたしたちのひいおばあちゃんはジプシーだったんですって。わたしたちが同じ場所にじっとしていられないのはきっとジプシーの血のせいね。ツアーで嫌なことなんて何もないわ。ヴェジタリアン向けの食事を見つけるのにちょっとだけ苦労するけど。

Better Off With HAIM: An Inside Look At Indie's Best New Trio

次のビデオは Haim の成り立ちを紹介したミニ・ドキュメンタリーなんですけど、自宅スタジオでのリハーサル風景のほか、パパ・ハイム、ママ・ハイム、三人がまだ子どもの頃の写真や映像も見られてすごくおもしろいよ。車の中で三人が「Go Slow」を歌うシーンがあるんだけどとってもいい感じ。いつも三人こうやって歌ってるんだろうな。

パパ・ハイム: 男の子が欲しくて3度もがんばったのに、うまくいかなかったんだ。だけどこれで良かった。すごく満足だよ。

うん、最高だよ、パパ・ハイム、ぐっじょぶ!

2012/11/10

自分が自分らしくいられてすごく感謝してる (Harder Than You Think - パブリック・エネミー)

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2012-movement-detroit-5.27.12-67-public- enemy, a photo by dailybeatz on Flicr.

こないだパブリック・エネミー(Public Enemy)を聴きながらLast.fmのチャートなんか眺めていたんですよ。そしたらなぜか「Harder Than You Think」がダントツのトップになってるんですよ。

あれえ?パブリック・エネミーのヒット曲といえば「Fight The Power」か「Bring the Noise」なんじゃないの?マニアックなファンなら「Don't Believe the Hype」を一番に挙げるかもしれないけど、なんで「Harder Than You Think」がトップなの?

だって「Harder Than You Think」は2007年のアルバム「How You Sell Soul to a Soulless People Who Sold Their Soul?」に収録されてる曲だよ。このアルバムそんなにヒットしなかったはずでしょう。確かビデオゲームに曲が使われたって話は聞いた記憶はあるけど、そんなんで曲が大評判になったりしないし、どこかオラの知らないところで映画のサントラか何かに使われた?

ということで調べてみたらすぐに分かりました。今年のロンドン・パラリンピックのテーマ曲としてこの曲が使われてたんですね。すみません、今になって知りました。イギリスの R&B シングル・チャート1位というのは、パブリック・エネミーにとって初めてのことだそうです。

最近はテレビでパラリンピックをずいぶん放送するようになったので、観た人も多いでしょう。オラも観ました。おもしろかった。なんかすごく未来的な感じがしました。未来のスポーツって、みんなこんな感じになるんじゃないかなって。

身体の不自由な人をじろじろ見ちゃいけませんって風潮が今もあります。まあ別に不自由じゃなくても、人をじろじろ見るのは失礼に当たりますが、特に相手が身体の不自由な人だとなるべくその不自由な部分を見ないようにするって気持ちが働いて、見る方の見方そのものが不自由になるというパラドックスがあったりします。

でもスポーツ・エンターテインメントってよおく見るもんだよね。見られる方は「俺を、わたしをよく見てくれ」ってやってるし、見る方はそれに応えてよおく見ます。見ていいんだ。見ちゃいけないものはないんだ。よおく見ていいんだ。見るとすごくおもしろいし、感動したりするとこが未来的。

なかなかやるな、2012年。

立ち上がれ
そうだ、簡単なことじゃない
立ち上がれ
そうだ、簡単なことじゃない
立ち上がれ
そうだ、簡単なことじゃない

俺たち、自分が自分らしくいられてすごく感謝してる
だから何度も同じことを言うが気にしないでくれ
こういうシンプルな言葉がカラダにいいんだ
おかげで犯罪ライムなんか用無しになる

そうだ、そうやって生きて愛すればいい
何も気にすることはない
5000人のリーダーたちは誰ひとり恐れなかった

騒げ、今こそ奴等をビビらせろ
自分の力で立ち上がれ
今もそれが一番美しい

2012/10/14

俺にとっては歌うことも議論なんだ - This is the story of Johnny Rotten

10月から今年の PiL ワールドツアー後半戦、アメリカとカナダでのツアーが始まっています。わずか1ヶ月の間に20ヶ所でライヴを行います。連日毎回2時間以上のライヴです。これがどれほど超人的なことか、去年の来日ライヴや4月の Heaven でのライヴ DVD を見た人ならわかると思います。

レッド・ツェッペリンなら2時間やっても実際にロバート・プラントが歌ってるのはその3割くらいの時間に過ぎません。でもジョニーは違うんですよ。2時間以上、本当に全身全霊で、目いっぱい休みなく吠え続けるんです。どうしてあんなことを毎日のようにやって喉をつぶさないのか、本当に不思議です。心配になってきます。でも YouTube に上がってくる各地でのライヴの様子を見ると、相変わらずの全力投球でまったく加減してません。

それだけでなく、ツアーの合間には数多くの音楽サイトのインタビューを受け、サイン会までやってます。つい先日はアル・ゴアが会長を務める民主党系メディア Current TV に出演、インタビューの冒頭でオバマ支持を明言して、反オバマな人たちから盛大に叩かれたりしています。

火中に栗を拾いに行くというか、火を見ると栗を探さずにいられない自分の性格を、ジョニーはインタビューでこのように語っています。

Q: どんなものに対して不誠実さを感じますか?

すべての政治家、公的機関、それに政党だよ。一旦その中に組込まれてしまうと、妥協を強いられることになる。そしてその妥協こそが嘘の源になってる。俺は妥協と戦うことにやりがいを感じてるのかもしれないな。俺は妥協する必要なんて感じない。人は多様になればなるほど良いものになれるんだ。

みんなの意見が一致することなんてあり得ない、それでいいんだってことにみんなどうして同意できないんだ?俺の特に仲のいい友人の何人かは、俺とはまるで意見が合わない。何ごとに関してもまったく一致しない。だけど俺にとってはそれこそが素晴しい関係なんだ。

Q: それはどうしてですか?

自分ではこうすべきだって思っていることが、ほかの人間にはそうとは限らない、それを絶えず俺に警告し気付かせてくれるからだよ。それがいいんだ。俺たちは誰もがそれぞれ違うことに興味を持ち、異なる視点や意見を持ってる。だが自分をさらけ出してまったく違った視点を持つ人と議論してみると、やがて自分が間違っていたと気付くこともある。それが学ぶ機会になるんだ。自分の間違いを認めることが最高の成果になる。確実に自分の糧になるんだよ。

Q: 自分が間違ってたと思ったのはどんなことですか?

すぐに思い付くことといえば、学校で教師と言い争ったことだな。だがその経験があったからこそ、俺は答に辿り着くこができた。俺は別に言い争いが好きなわけじゃない、ただシステムを盲信するんじゃなく真実は何かってことを知りたいだけなんだ。だからいつも議論してるんだよ。俺にとっては歌うことも議論なんだ。

Q: それは興味深い話ですね。どうして歌が議論になるんですか?

自分のものの見方を表明することだからさ。あるいは別の人間の視点に立ってものを見ようとする行為でもある。その見解は正しいものかもしれないし、間違っているかもしれない、だけどいずれにしろ、ほかの人間にコミュニケーションを促すことなんだ。そうやって新たな議論の種を蒔くんだよ。俺のことが嫌いで俺のやること成すことすべて気に入らない奴だっているが、逆に俺をヒーロー視する奴同様、ちゃんと議論をする限りどちらにもものを言う正当な権利があるのさ。ただもの分かりがいいだけの人間なんかよりはるかにマシだよ。「あの人いい人ね」ってのは人に対する最悪の侮辱だよ。

今日の昼間、YouTube で ACL Music Festival の中継を観ていたら、ニール・ヤングがコンサートのラストで「Hey Hey, My My」を歌っていました。知ってる人は知ってる、ジョニー・ロットンのことを歌った曲です。

1979年の「Rust Never Sleeps」に収録されている古い曲ですが、調べてみると奇しくも PiL が復活した2009年あたりからコンサートのセットリストに復活し、毎回最後に歌われているようです。同じインタビューの中で、この曲についての話もジョニーがしていました。

Q: ニール・ヤングが書いた「Hey Hey, My My」をあなたがどう思ってるのかずっと知りたかったんですが。

「Rust Never Sleeps」に入ってる曲だろ?笑っちゃうよ。(真似て歌い始める) "This is the story of Johnny Rotten. The king is gone but not forgotten." 俺もニール・ヤングが何を考えてこの曲を作ったのか知りたかったんだよ。だから VH1 で Rotten TV って番組をやってたとき、彼に直接その話を聞きたいってマネージメントに電話したことがあるんだ。だけど彼の事務所から返ってきた返事は「ジョニー・ロットンなんて知らない」だった(笑)。俺があの曲に関して知ってるのはそれだけさ。

Q: それはヒドい話ですね。その後もニール・ヤングに会ったことはないんですか?

彼はずっと俺のソング・ヒーローのひとりさ。彼が長年に渡って書いてきた詩や独特のアプローチが大好きなんだ。特にアルバム「Zuma」、あれが大好きなんだ。

Q: 素晴しいレコードですよね。

もちろん彼に会ってみたいとは思うよ。だけど長年思い描いてきた人物の場合、実際に会ってみるとがっかりするかもしれないって覚悟しなくちゃならない。

俺はビーチ・ボーイズも好きなんだよ。この間イギリスのテレビのライヴショーにビーチ・ボーイズが PiL と一緒に出演したんだ。YouTube なんかでも話題になってるはずだよ。その時俺はひどい風邪をひいていて喉の調子も良くなかったんだけどさ、ステージで歌ってるときは、驚異のヴォーカリスト集団ビーチ・ボーイズが聴いてるんだって、気になって仕方なかった(笑)。ブライアン・ウィルソンがすぐそばに座って指を鳴らしながら頭を揺らして楽しんでたんだぜ。すげえうれしかった。感激だよ。

その後バンドのメンバーのひとりが俺をブライアンに紹介してくれたんだけど、今まで会ったことがないほど奇妙な人物だった。だらっとして、心ここにあらずって感じだった。「写真を撮るのかい」って彼は言ったんだ。それで一緒に写真を撮ったんだけど、まるでロボットみたいだった。その後彼は椅子まで連れて行かれると、座ってテレビの画面をただ見つめていた。それが今のブライアンだった。俺は彼のことをすごく尊敬していたから、彼があんな風にボロボロになっているなんて信じたくなかったよ。

ま、ロットン様の音楽的嗜好はこうして実に多岐に富んでいるってことさ。

Mr. Rotten - John Lydon

でも PiL の演奏を聴いてるブライアン・ウィルソン、とても楽しそうだよ。

2012/09/30

それは地理的な場所じゃない、俺たちの心の中にある場所なんだ (Reggie Song - パブリック・イメージ・リミテッド)

明日10月1日、イギリスで PiL の新しいシングル「Reggie Song」が発売になります。今回取り上げているテーマはずばりエデンの園です。「Religion」の続編ともいえる曲で、いよいよ旧約聖書、創世記との対決です。

「The Room I Am In」の記事でも紹介した通り、ジョン・ライドンはここ数年インタビューで度々「この地上こそが天国なんだ (Heaven is on earth)」という言葉を口にしていますが、これがアルバム「This is PiL」を通じて共通するテーマにもなっています。

俺たちが経験できる唯一のものが、この現実なんだ。馬鹿野郎なのは、俺たちをエデンの園から追い出した神の方だ。だから俺たちにはエデンの園に帰る権利がある。そうすべきだ、そうしようぜ! そういう歌です。

俺たちの親友、特にランボーと仲のいいレジナルドって奴のことを歌った曲だ。もうずっと昔からの友達でさ、フィンズベリーパークで生まれ育ったアーセナル国の住民さ。どんな困難なことがあっても、決っしてあきらめない奴なんだ。あいつはジャマイカ人の血をひいてるんだけど、まあそんなことは俺たちにとって重要じゃない。俺たちはフィンズベリーパークの仲間なんだ。あいつは自分の子どもたちの面倒をみてやりたいんだけど、それが許されていない。政治システムのせいさ。そのシステムが彼からありとあらゆるチャンスを奪い、苦しめてるんだ。同じような問題はあちこちにあって、しばしば悪循環を引き起こしている。だけどあいつはそんな制度ともうまくつき合っていく方法を身に付けている。うまく操るんだよ。すごくイカれた奴さ。俺と同じくらいイカれてる。

俺たちはみんなイカれてるんだ。だがお互い愛しあってる。お互い真摯に、誠実につき合ってるからさ。レジナルドは賞賛に値する奴なんだ。ある日あいつが言ったんだよ。「灯火のように光れ」って。そして「ジョニー、おまえは灯火のように光らなくちゃならない」って言ったんだ。その言葉に俺が「エデンの園で」って付け加えたわけさ。すげえ!素晴しいリフレインだ。まさに真理だよ。俺たちはみんなエデンの園に帰りたいんだ。俺たちにとってのエデンの園がフィンズベリーパークなんだよ。だがそれは地理的な場所じゃない、俺たちの心の中にある場所なんだ。

JOHN LYDON: I AM FOLK MUSIC

この Reggie Song には4月のロンドン Heven でのライヴ映像をフィーチャーしたオフィシャルなビデオもあるんですが、もっと観ていただきたいのは9月25日にイギリス BBC テレビ音楽番組「Later... with Jools Holland」に出演したときのスタジオ・ライヴ映像です。PiL としてのテレビ出演は20年ぶりで、ジョニーはホームレス風ディナー・ファッションで登場します。この日のジョニー、風邪をひいていて声がちゃんと出ていないんですけど、それを補って余りある迫力が伝わってくるはずです。

レジナルドを知ってるかい?
分別をわきまえた奴でさ
あいつはちょっとしたアイディアを持ってる
それで穏やかな気持になれるんだ
あいつはヤバいものには近付かない
エデンの園アダムとイヴみたいに
すごく純真な奴なんだ

あいつは夢見てる
俺たちはみんな夢見てる
俺たちがここを出ていかなければならない理由なんてない
俺たちは、エデンの園で灯火のように光るんだ
悪いことなんて何もない、ここを出ていく理由もない

だから俺たちは光るんだ
光っているんだ

エデンの園で灯火のように光るんだ
出て行く理由なんて、どこにも、何ひとつもない
エデンの園で、俺を光らせてくれ
出て行く理由なんて、何ひとつない

あいつはロンドンで生まれた
俺もロンドンで生まれた
俺たちの多くはロンドンの生まれだ
だがどこの生まれだろうと関係ない
あんたもあの園に帰れば、まっとうな人間でいられる

俺はずっと夢見ている
悪いことも、出て行く理由も、何ひとつないんだ
エデンの園で灯火のように光るんだ
出て行く理由なんてどこにもない

上等なウィードから
七本の楡の木(セヴン・シスターズ)まで
何でも揃ってる
俺はそのフィンズベリーパークの生まれなんだ
こきげんだぜ
きっとあんたにもわかる日が来る
神の言葉をあれこれ考えたところで
大したことは何もわかりゃしない
あいつは女好きでさ
純真なやつなんだ
エデンの園にいるみたいに

エデンの園で灯火のように光れ
出て行く理由なんてどこにもない
エデンの園で灯火のように光るんだ
出て行く理由なんてどこにもない

俺はずっと夢見てる
出て行く理由なんてない
俺は今でもエデンの園に住んでいる

俺はずっと夢見てる
出て行く理由なんてない
俺は今も住んでいる
みんな住んでいるんだ
エデンの園に

2012/09/08

ハイム(Haim)、ポリドール・レコードと契約、ヨーロッパ・ツアー開始!

Haim 4
Haim 4, a photo by alansheaven on Flickr.

LA の三姉妹バンドのハイム、バンド側から正式のアナウンスはまだないのですが、どうやらポリドールと契約して、アルバムのレコーディングに取りかかっているようです。アラナがこんなツイートをしてました。

ポリドール・レコード 「さて君たちの中で誰かぼくらのために新しい音楽を作ってくれる人はいるかな?」
アラナ 「只今作業中」

ポリドールのサイトを見るとちゃんとハイムの名前が載ってました。遂にアルバムがリリースされるようですね。そのほかも活動が活発で色々動きがあるので、まとめてご紹介します。

まず数量限定でリリースされたアナログ EP「Foever」ですが、追加のプレスで白いレコードやTシャツ付きのパッケージが販売されています。ほかに「Just Tell Me That You Want Me」というフリートウッド・マック(Fleetwood Mac)のトリビュート・アルバムにも参加、これは一曲だけですが「Hold Me」をカバーしています。CD、ダウンロードで既に販売中です。

ライヴの方は、地元 LA での小さなフェス等への参加のほか、8月はマムフォード & サンズ(Mumford & Sons)主催の移動フェス(?) Gentleman of the Road に加わり北米4ヶ所でのコンサートを行いました。そして11月からは、ハイム初の本格的なヨーロッパ・ツアーが予定されていて、イギリスを中心にオランダ、ドイツ、フランスなどをまわります。

あと7月19日にサンタモニカ埠頭で開催された無料コンサートでのライヴの模様が YouTube にアップされていたのでご紹介します。曲は以下の8曲です。客席からの撮影ですが、音質、画質共にきれいに撮れていて、ハイムのパワフルなライヴの雰囲気が充分に堪能できます。やっぱハイム、ライヴが最高にかっこいい!

  1. Better Off
  2. The Wire
  3. Honey & I
  4. Forever
  5. Go Slow
  6. Oh Well (Fleetwood Mac cover)
  7. Falling
  8. Let Me Go

えっと、あと何か忘れてなかったかな。そうだ、「Forever」の公式カラオケ・ビデオも公開されてます。

2012/09/06

あんたがいるそこはずっと、まぎれもない天国なんだ (The Room I Am In - パブリック・イメージ・リミテッド)

Snow at Finsbury Park
Snow at Finsbury Park, a photo by Xenoc on Flickr.

ジョン・ライドンのロリポップ・ブログ(Lollipop Blog)、ブログと言ってもジョンが文章を書いて公開してるわけじゃありません。インタビューのビデオです。普段着のジョンが居間の椅子に座って話す様子を撮影、そのビデオを YouTube で公開するだけという、きわめて21世紀の PiL らしい低予算のプロモーション活動です。そのロリポップ・ブログ第4回のビデオが先日公開されました。今回のテーマは、ニューアルバム「This is PiL」収録の曲「The Room I Am In」についてです。

この曲は明確なビートやメロディーのない、いわゆるアンビエントな感じのサウンドで、従来の PiL にはなかったタイプの曲です。ジョンもほとんどメロディらしきものは歌わず詩を朗読しています。重苦しい一方でどこか美しいムードの漂う曲なんですが、曲の途中でなぜかジョンは笑っています。なぜでしょう。その理由は「ここが天国だから」です。

この曲はルー・エドモンズがスタジオで録ったものを編集したことから始まったんだ。メンバーの誰ひとりモノになるとは思ってなかった曲さ。テクノロジーの力で作り上げた音楽だな(笑)。みんなびっくりしたよ。彼は素晴しいものにしてくれたんだ。アンビエントで調子外れなサウンドで、心地良くて美しく、それでいて皮肉な感じも漂ってる。彼の心の底から生まれたサウンドだよ。

だから俺は、それに負けない相応(ふさわ)しい歌を入れようと思ったんだ。最終的に「絶望の中での生活」を心を込めて語るのがいいってわかったんだ。公営住宅の部屋、タールで汚れた壁、俺たちが育った場所の諸々についてさ。

だが地獄に思えるようなこの場所が、実は天国なんだってことを理解しなくちゃならない。俺たちが生きてるこの現実こそが天国なんだ。だから精一杯生きなくちゃならない。俺たちが経験できる唯一のものが、この現実なんだ。

宗教が広めてる最も有害な考えが「死後の救済」ってやつさ。宗教が言ってるのは今生きてることを無駄にしろってことじゃないか。

ここが天国なんだ。この部屋にいるみんな、世界中のみんなが今いるのが天国なんだ。今あんたがしている呼吸のひとつひとつ、それが天国なんだ。

あんたも自分の母親が癌になって、最後に息をひきとる場に立ち会えば、ああここが天国だったんだなってわかるはずだよ。

いつもだとここでライヴのビデオをご紹介するんですが、今のところ「The Room I Am In」はライヴで演奏されていないため、ビデオもありません。「へえ、ジョン・ライドンって、こんなこと歌う人なんだ」と興味を持った方はぜひ PiL のアルバム「This is Pil」をお買い求めください。

この窓からは、大した希望など見えた試しがない
このちっぽけな建物の外では
どんよりと曇った朝から始まり、晴れた空が広がり
夕暮れの色はやがて、漆黒と星だけの空になる
窓格子ごしにそれを眺めるだけ
汚物だらけの公営住宅
そこの部屋に俺はいる

わかっている
そんな中に
俺がいるちっぽけな部屋がある
俺の地獄
それが俺の居場所
それが俺の居場所

あんたがいるのはほかのどこでもない
あんたがいるそこはずっと
まぎれもない
天国なんだ

2012/09/01

みんなアメリカを探しに来たんだ (America - ファースト・エイド・キット)

Long Live Liberty
Long Live Liberty, a photo by Wallflower83 on Flickr.

ポーラー音楽賞(Polar Music Prize)、日本での知名度はいまひとつなんですが、ABBA のマネージャーだった Stig Anderson がスウェーデン王立音楽アカデミーの援助を受けて1989年に創設した賞で、音楽界のノーベル賞とも呼ばれています。今年はポール・サイモン(Paul Simon)とヨーヨー・マ(Yo-Yo Ma)が受賞し、授賞式が8月28日にストックホルムで開催されました。

受賞者を差し置いて、昨年に引き続きステージに立って歌ったのはスウェーデンが誇るおぼこ姉妹デュオ、ファースト・エイド・キット(First Aid Kit)です。去年は「Dancing Barefoot」を歌って受賞者のパティ・スミス(Patti Smith)を泣かせてしまったんですが、今年もまたやってくれました。

歌ったのはポール・サイモンのサイモン & ガーファンクル(Simon & Garfunkel)時代の曲「America」です。客席で聴いてるポール、うるうるしてます。なんだかこの授賞式、もはやファースト・エイド・キットの実力をベテラン・アーティストにアピールする場になってませんかね。

「America」は探していたものが、あるはずの場所に見つからなかった。いったい何を探していたのか、わからなくなってしまったという青春の歌です。そこで探すのを止めてしまうと単なる昔を懐しむ歌にしかなりませんが、そこが始まりだと気付けば希望の歌になります。

「ぼくら恋人同士にならないか。お互いの財産目当てに結婚を企むんだ」
「あら、わたしカバンの中に少しばかり土地を持ってるのよ」
それからぼくらは煙草を1箱とミセス・ワグナーのパイを買い、アメリカを探して歩き出した

「キャシー」
ピッツバーグでグレイハウンドの長距離バスに乗るとき、ぼくは言った
「ミシガンにいた頃のことが、今じゃもう夢みたいに思えるよ」
サギノーからはヒッチハイクで4日もかかった。
ぼくはアメリカを探しに来たんだ

バスの中ではゲームをしてふざけ合った
彼女が「あのギャバジンのスーツを着た男の人はきっとスパイね」と言えば
ぼくは「気を付けろよ、あの蝶ネクタイは隠しカメラだから」と応えた

「煙草を取ってくれないかな。レインコートのポケットに残っているはずなんだけど」
「1時間前に吸ったのが最後の一本よ。」
仕方ないのでぼくは景色を眺め、彼女は雑誌をめくった
広々とした平原に月が昇っていた

「キャシー、ぼくは道に迷ってしまったみたいだ」
彼女が眠っているのを知りながらぼくは言った
「どうしてだかわからないけど、虚しくて、苦しいんだ。」
ニュージャージーの高速道路ですれ違う車の数を数えた
彼らもみんなアメリカを探しに来たんだ
みんなアメリカを探しに来たんだ

ファースト・エイド・キット、来年の授賞式では誰の歌を歌うんでしょう。今から楽しみです。