2012/11/24

女性の肉屋 (New York - レ・ブチャレッツ)

Le Butcherettes
Le Butcherettes, a photo by rtppt on Flickr.

「ゴアバーガー・ショー(The Gorburger Show)」という番組をご存知でしょうか?元々は「ズームイン北海道」という名前だったんですけど、ある日宇宙からゴアバーガーというモンスターがスタジオにやって来て出演者を何人か食べてしまい、そのまま居座って自分のショーを始めてしまったんです。

一応バンドやミュージシャンをスタジオに招いてのトーク番組なんですが、相手が女性だとゴアバーガーはひたすらセクハラ・トークに終始します。ところどころ日本語字幕が出たり日本人アナウンサーが話したりで、わたしたち日本人にも分かりやすい構成になっています。

その第6回に Le Butcheretts のテリ・ジェンダー・ベンダー(Teri Gender Bender)とリア・ブラスウェル(Lia Braswell)が出演しました。二人はこの番組の趣旨をよく理解してる様子で、ゴアバーガーと一緒に「ねえ、あたしの臭う?」とか下ネタで盛り上がっています。

ところで Le Butcheretts というバンドの名前、辞書には載ってない言葉なので意味が分からない人も多いのでしょう。元々メキシコで結成されたバンドなのでスペイン語と勘違いしてる人もいるみたいです。番組の「Justify The Name of Your Band」コーナーで解説されてます。

日本のみんなのためにさらに詳しく説明すると、肉屋を意味する英語の Butcher に女性を意味する名刺語尾 -ette を付け、頭にはフランス語の冠詞 Leを付けたものです。女性の肉屋、肉屋ガールズってところです。

番組中ゴアバーガーはフランス語にも造詣が深いところを示したいのか「レ・ブチャレッツ」なんて発音してます。確かに複数名詞の前には冠詞 les (レ)を使うのが文法的に正しいのですが、なんちゃってフランス語なので le (ル)でいいんです。「ル・ブチャレッツ」です。

番組の後半で「New York」が演奏されています。ゴアバーガーに「カマ()くん」と紹介されているベーシストはもちろんオマー・ロドリゲス・ロペス(Omar Rodríguez-López)です。

(2012/12/9追記) その後調べてみたところ、地元メキシコでは「レ」ブチャレッツと発音されていることが判明しました。本人たちも「レ」って言ったり「ル」と言ったりなので、どっちでもいいみたいです。ちなみに Teri Gender Bender はメキシコで「テリ・ジェンデル・ベンデル」と発音されています。

わたしの脚の下は
息苦しくて耐えられないんでしょう
口にあなたが舌を差し込むと
うがいしたくてたまらなくなる

うがいしたくてたまらない!
うがいしたくてたまらない!
うがいしたくてたまらない!

ニュウヨォク!!
ニュウヨォク!!
ニュウヨォク!!

すごく(から)くて
まるであなたの憎しみの下に
金色(こんじき)のウィスキーが隠されてるみたい
もうわたしの時代なのよ!
わたしの時代なのよ!
わたしのもの!

ニュウヨォク!!
ニュウヨォク!!
ニュウヨォク!!

2012/11/23

テリ・ジェンダー・ベンダーがやって来る (Kiss My Brown Eye - ボウズニアン・レインボウズ)

Omar Rodríguez-López / Le Butcherettes
Teri Gender Bender, a photo by remixyourface on Flickr.

PiL 今年のツアーは今月初め、テキサス州オースチンで開かれた Fun Fun Fun Fest で締めとなったわけですが、11月のテキサスで PiL や Run D.M.C. が目玉になって開催されるフェスって一体どんなフェス?そこで YouTube の動画をチェックすると、フェスのハイライト集でジョン・ライドン以外にもうひとり、妙な踊りを踊りながら歌うお姉ちゃんが見つかりました。ボウズニアン・レインボウズ(Bosnian Rainbows)というバンドのヴォーカル、テリ・ジェンダー・ベンダー(Teri Gender Bender)でした。

日本語の情報がほとんどないグループなので簡単にご紹介しておきます。テリのほかの三人は、ギターのオマー・ロドリゲス・ロペス(Omar Rodríguez-López)とドラムのディアントニ・パークス(Deantoni Parks)、それにキーボードのニッキ・キャスパー(Nicci Kasper)というマーズ・ヴォルタ(The Mars Volta)一派です。

ヴォーカルのテリはレ・ブチャレッツ(Le Butcherettes)というバンドでもう5年くらい活動してる人ですが、ブチャレッツはテリ以外のメンバーが流動的な一方オマーがずっとレコーディングやライヴに関わっていて、やっぱりロドリゲス・ロペス・プロダクションに所属しています。ブチャレッツもユニークなバンドなので、また別に改めて書こうと思ってます。

最初はテリを除く三人がオマー・ロドリゲス・グループ(Omar Rodríguez-López Group)名義で活動していたんですが、テリがヴォーカルとして加わり、ボウズニアン・レインボウズと名を改めました。

4人は8月の末から世界をツアーで回っていて、ドイツ、イギリスはもちろん、ベルギー、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、オランダなどヨーロッパの寒い地方を中心に巡業しています。ロシアなんかペテルスブルクやキエフにまで行ってます。秋はアメリカ、オーストラリア各地を回ってこの後12月7日と8日、東京と大阪でライヴをやることになっています

アルバムなどはまだリリースしていないんですが、ドイツのスタジオ Clouds Hill Recordings で収録した7つのバンドのスタジオ・ライヴをセットにしたアナログ10インチ7枚組ボックス「...live at Clouds Hill」というのが12月に発売される予定になっていて、その1枚がボウズニアン・レインボウズの録音になります。

次のビデオはその Clouds Hill でのレコーディング風景を撮影したものです。

ヴォーカルはテリ・ジェンダー・ベンダー、昔の Nico にちょっと似た雰囲気もあります。ラテンの地に生まれ変わった生命力溢れる Nico って感じ。

2012/11/21

PiL のギグが終わるとみんな楽しそうに笑顔で帰るんだぜ。本当だよ。

PIL
PIL shot at Fun Fun Fun Fest 2012 by Dj Linda Lovely on Flickr.

PiL の北米ツアーは11月3日の Fun Fun Fun Festival で無事終了しました。1ヶ月足らずの間に20ヶ所、連日2時間前後のライヴという超ハード・スケジュールなのに、ツアー直前にジョン・ライドンが風邪をひくというアクシデントが発生、途中で声が出なくなるんじゃないかとすごく心配したんですが、取り越し苦労でした。

ライヴの合間にインタビュー、テレビ出演やらサイン会の数々をこなした上、日を追うに連れて疲れが出てくるどころか、ますます声の出が良くなるというジョニーの超人ぶりを思い知らされました。何で、どうやって、どこからあんな声出てくるの?

残念ながら今年のツアーはこれで終了。日本へは来られませんでした。でも日本だけじゃなく、ドイツやオーストラリア、南米なんか日本以上に長い間ツアーで行ってないから、また来年すぐに動き出してくれるはずです。

もうしばらくレコードや CD で我慢しましょう。ところで PiL の最新シングル「Reggie Song / Out of the Woods」はもう手に入れた?残念ながら国内盤の発売はないけど、輸入盤ショップや Amazon などで簡単に手に入ります。シングルとは言っても CD だとオマケでライヴが5曲も入ってるから、長さはアルバム並みの46分もあります。

そのほかにもネットで観られる/聴ける公式ライヴ音源がいくつか公開されているのでご紹介します。

Xfm Sessions
7月にロンドンのラジオ局 Xfm で放送されたスタジオ・ライヴ。
PUBLIC IMAGE LTD PERFORMS IN THE CURRENT STUDIO
10月にミネソタのラジオ局 The Current で放送されたスタジオ・ライヴ
PiL Live @ The Knitting Factory Reno
10月27日、ネバダ州レノ The Knitting Factory からリアルタイムでストリーミング放送されたライヴ映像。映像はピンボケですが音はバッチリで約2時間のライブ丸ごと観られます。

それから次の来日ライヴへ向けて、ジョニーからライヴの心得。

20年間休んで何をしてたんだって?何も休んじゃいない。レコード会社に破産状態に追い込まれていたんだよ。連中は俺が唯一、最も得意とすること、曲を書くことと人前でパフォーマンスする機会を俺から奪ったんだ。

ただの偏屈オヤジとしてのカムバックしたって意味はない。俺は自分が心から愛してる人間のために、人間の歌を歌いたかったんだ。俺は憎しみをいつまでも腹に抱えてるようなタイプの人間じゃない。そんな人間になるのはまっぴらだ。

俺はたとえ相手が大嫌いな人間だろうと、良く観察してそいつの良い所を見つけ出せる。それが俺のやり方だ。そうやって生きてきたんだ。たくさんの人間が憎悪で人生を腐らせるのをイヤというほど見てきた。時間とエネルギーを絶えずほかの人間を憎むことに費してると、やがて自分で自分を憎むハメになる。別に説教したいわけじゃない。だが俺はそうやって努力しながら生きてるんだ。

ライヴでは思う存分楽しんでくれ。自分自身を満喫するんだ。サウンドにふさわしい自由なダンスというものを理解して、カラダとアタマを解放するんだ。バンドと観客が一緒になって作り上げる最高の空間、この上ない快感だぜ。

俺は PiL を何よりも愛してる。俺たちは2時間目いっぱい、手抜きなしでプレイする。俺たちはみんなを解放するためにステージに立ってるんだ。アイルランド人の宴会とレイヴ・パーティとトルコ人の結婚式とギリシャ人結婚披露宴、そんなのを全部一緒に開くみたいなもんだ。俺たちの音楽は色んなものの融合物だ。俺はこと音楽に関してはチャレンジ精神が旺盛なんだ。恐れることなく突き進む。インプロヴィゼーションが溢れる一方で、ダンサブルでもある。PiL は常に形を変え続けるんだ。

PiL のギグが終わるとみんな楽しそうに笑顔で帰るんだぜ。本当だよ。

Q&A: John Lydon of Public Image Ltd.

2012/11/17

ちゃんときみの名前が書いてある (Comet - ワイアー)

Untitled
Robert Grey by Fergus Kelly on Flickr.

昨年に引き続きワイアー(Wire)のおじちゃんたちは今年も日本にやって来てくれました。いつも通り淡々と演奏して、淡々と帰っていきました。その淡々としたワイアーの中でも一際淡々としてるのがドラムのロバート・グレイ(Robert Grey)です。まるで寡黙なボクサーがトレーニングをしてるみたいにいつもステージの後ろで黙々とドラムを叩き続けています。

長年ワイアーを聞き続けてる人なら彼のドラムがワイアー・サウンドの要だということはよおく知ってると思います。いわゆるロック的なノリというものを完全に排除した彼のビートがワイアーをワイアーたらしめています。

嘘だと思ったらコリン・ニューマン(Colin Newman)が彼の奥さんマルカ(Malka Spigel)と一緒にやってるバンド GitHead と聴き比べてみてください。Wire も Githead もメンバーは4人で楽器構成も同じ、同じように多くの曲をコリン・ニューマンが書いて、似たようなメロディとギターサウンドで同じコリン・ニューマンが歌ってます。でも Wire と Githeadd それぞれの曲から受ける印象がまるで異なります。

たとえば Wire の 「One of Us」Githead の「Take Off」を聴き比べてみてください。

ね、全然違うでしょう。え?まったく同じに聴こえる?困ったなあ。いやビデオ撮影を担当したのが両方ともマルカなので、視覚に惑わされて同じように聴こえるのだと思います。目を瞑ってもう1回よおく聴いてください。

ね、違うでしょう?はい、違いますね。違うということになりました。この違いがどこから生まれるかというと、ロバート・グレイの叩くドラムのビートなんですよ。そういうことにしておいてください。

ええっと、ところで話は変わりますが中高年のみなさんの中には「ワイアーのドラムってロバート・ゴウトゥベッド(Robert Gotobed)って名前じゃなかったけ?」と疑問に思う方が少なくないと思います。はい、昔はそう名乗ってました。その理由については本人がこのように語っています。

Gotobed というのは先祖代々うちの名字なんだけど、祖父はこの名字が嫌いだったんだ。誰もホントの名字だって信じてくれなかったからさ。それで祖父は名字を Grey に変えたんだ。俺自身は Grey という名字で育ったんだけど、若い頃そのことを知り逆にこの奇抜な名字が気に入って Gotobed を名乗ることにしたんだ。当時はパンクの時代で変な名前を名乗ってるやつがたくさんいたから、俺の名字もきっとその類いだとみんな思ってたみたいだよ。

だけど時を経るに連れて俺も祖父と同じ意見を持つようになった。若いときには Gotobed という名字が力になることもあるが、年を取ると却ってそれが邪魔になるんだろうな。Grey という名字の方が今の自分にはふさわしいってわかったんだ。たぶん自分に自信が付いたせいだと思うよ。もう奇抜な名前で自分を誇示する必要なんてないからさ。

Wire's Pink Flag, by Wilson Neate

すごい速さでやって来る
彗星だ

こっちへ向かってやって来る
ちゃんときみの名前が書いてある

天からの贈り物
壊滅的大惨事

大合唱が起こる
大合唱が起こる
ぶぁ、ぶぁ、ぶぁ、ぶぁ、ぶぁ、ぶぁーん
後はただすすり泣く声

大合唱が起こる
大合唱が起こる
ぶぁ、ぶぁ、ぶぁ、ぶぁ、ぶぁ、ぶぁーん

大合唱が起こる
大合唱が起こる
ぶぁ、ぶぁ、ぶぁ、ぶぁ、ぶぁ、ぶぁーん

大合唱が起こる
大合唱が起こる
ぶぁ、ぶぁ、ぶぁ、ぶぁ、ぶぁ、ぶぁーん

大合唱が起こる
大合唱が起こる
大合唱が起こる
大合唱が起こる

2012/11/16

わたしたちのひいおばあちゃんはジプシーだったんですって - ハイム(Haim)

Haim の魅力は何と言っても演奏してる三人がみんなすごく楽しそうなこと。一応新人バンドなんだけど、みんな小さな頃からステージに立ってるから、すごくリラックスしてマイペースで演奏してる。ステージが特別なものじゃなくて日常生活の一部って感じで、三人の自然な魅力が伝わってきます。

ステージ中央、次女のダニエルはねえ、歌の合間に出る「ハッ!」って掛け声がとってもカッコいいんですよ。どれくらいカッコいいかというと、漢字で「()ッ!」って書いた方が似合うくらいものすごくカッコいい。ギターもワイルドで素晴しい。知ってた?ギブソン SG っていうのはこうやって鳴らすんだよ。これが正しい SG の弾き方なんだよ。

ステージ右側、長女でベースのエスティはしっかりしたテクニックで抜群の安定感、頼りになる姉ちゃん。「大丈夫、姉ちゃんにまかせといて!」って感じで、サウンドの土台を支えてる。バンドのひょうきんなムードメイカー。

ステージ左の三女アラナは明るい末っ子キャラ。キーボード、ギター、パーカッションにヴォーカルと忙しいんだけど、年齢に似合わずステージではすごく冷静でキメるところはちゃんとキメる。はずさない。ギターのストラップが切れたって慌てず騒がす冷静に座り込んで演奏を続けます

三人は現在イギリスをツアー中で、12月3日には第2弾の EP (シングル?)「Don't Save Me」がイギリスで発売になります。何で LA のバンドなのにイギリスなのかというと、契約したレコード会社ポリドールがイギリスの会社なんでイギリス、ヨーロッパでまず集中的にプロモーションをってことなんだと思います。ホワイト・ストライプスしかり、スパークスしかり、ユニークなアメリカのバンドというのはなぜか本国よりイギリスで先に火が点くもんなんですよ。

Q: あなたたち3人はまだ小さな頃から両親と一緒に町のあちこちのステージに立って色んなカバー曲を演奏していたと聞いてます。つまり家族として一緒に生活してるのと同じくらい長い間、お互いミュージシャンとしてもつき合ってるわけですよね。両親と一緒にプレイしてた頃の思い出を何か聞かせてくれませんか。

一番の思い出は両親と一緒に初めてフェアファックスの Kibbitz Room のステージに立ったときかな。わたしたちみんなまるでロックスターになったみたいだった。とても不思議な気分で、そんな風に感じたのは初めてのことだったの。

Q: あなたたちの誰か、今までにもうプレイしたくないって思ったことはありませんか?

もうプレイしたくないなんて誰も考えたことないわ。それぞれ(Haim 以外の)プロジェクトでツアーに出ることもあるけど、いつだって帰ってくるべき自分たちのバンドがあるってちゃんと分かってるもの。

Q: 現在あるいは過去において、音楽的に大きな影響を受けたものは何ですか?

わたしたち両親が聴くものなら何でも聴いたの。ママはフォークやモータウンが大好きで、パパのお気に入りはファンクと The Clash。それにわたしたち LA 育ちでしょっちゅう車に乗っていたからいつもラジオを聴いていたの。90年代のガール・グループのアン・ヴォーグ(En Vogue)やデスティニーズ・チャイルド(Destiny's Child)も大好きで、ほかにも KIIS FM でかかる曲はみんな好きだった。

Q: Haim としての活動を初めようと決めたのはいつですか?

それまでわたしたちは曲なんか書いたことはなかったんだけど、ある日みんなで座って一緒に曲を作ってみたのよ。1曲書いてみたらそれがすごく楽しくて止まんなくなっちゃって、何曲かでき上がったら今度はライヴでみんなに聴いてほしくて我慢できなくなった。最初のギグは2007年の7月7日。門出にふさわしい日付よね。終わった後で、これこそわたしたちがやりたかったことだって確信したわ。

Q: Haim の本格的な活動開始に当たって乗り越えなくちゃならなかった一番の問題は何でしたか?

アラナ(Alana)がハイスクールを卒業するのを待たなくちゃならなかったこと!

Q: 曲はどうやって作るんですか?みんなで一緒に書くんですか?

曲は3人一緒、みんなでドラムを叩いて作るの。曲のアイディアはたいていドラムのビートから生まれてくるのよ。

Q: 現時点では3曲入りの EP がリリースされていますが、今後の予定は?アルバムのレコーディング予定はあるんですか?

今まさに作ってるところなの。

Q: ツアーをやっていて楽しいことは何ですか?あるいは嫌なことって何かありますか?

わたしたち、知らない土地へ行ってステージに立つの大好き。パパが言ってたけど、わたしたちのひいおばあちゃんはジプシーだったんですって。わたしたちが同じ場所にじっとしていられないのはきっとジプシーの血のせいね。ツアーで嫌なことなんて何もないわ。ヴェジタリアン向けの食事を見つけるのにちょっとだけ苦労するけど。

Better Off With HAIM: An Inside Look At Indie's Best New Trio

次のビデオは Haim の成り立ちを紹介したミニ・ドキュメンタリーなんですけど、自宅スタジオでのリハーサル風景のほか、パパ・ハイム、ママ・ハイム、三人がまだ子どもの頃の写真や映像も見られてすごくおもしろいよ。車の中で三人が「Go Slow」を歌うシーンがあるんだけどとってもいい感じ。いつも三人こうやって歌ってるんだろうな。

パパ・ハイム: 男の子が欲しくて3度もがんばったのに、うまくいかなかったんだ。だけどこれで良かった。すごく満足だよ。

うん、最高だよ、パパ・ハイム、ぐっじょぶ!

2012/11/10

自分が自分らしくいられてすごく感謝してる (Harder Than You Think - パブリック・エネミー)

2012-movement-detroit-5.27.12-67-public-enemy
2012-movement-detroit-5.27.12-67-public- enemy, a photo by dailybeatz on Flicr.

こないだパブリック・エネミー(Public Enemy)を聴きながらLast.fmのチャートなんか眺めていたんですよ。そしたらなぜか「Harder Than You Think」がダントツのトップになってるんですよ。

あれえ?パブリック・エネミーのヒット曲といえば「Fight The Power」か「Bring the Noise」なんじゃないの?マニアックなファンなら「Don't Believe the Hype」を一番に挙げるかもしれないけど、なんで「Harder Than You Think」がトップなの?

だって「Harder Than You Think」は2007年のアルバム「How You Sell Soul to a Soulless People Who Sold Their Soul?」に収録されてる曲だよ。このアルバムそんなにヒットしなかったはずでしょう。確かビデオゲームに曲が使われたって話は聞いた記憶はあるけど、そんなんで曲が大評判になったりしないし、どこかオラの知らないところで映画のサントラか何かに使われた?

ということで調べてみたらすぐに分かりました。今年のロンドン・パラリンピックのテーマ曲としてこの曲が使われてたんですね。すみません、今になって知りました。イギリスの R&B シングル・チャート1位というのは、パブリック・エネミーにとって初めてのことだそうです。

最近はテレビでパラリンピックをずいぶん放送するようになったので、観た人も多いでしょう。オラも観ました。おもしろかった。なんかすごく未来的な感じがしました。未来のスポーツって、みんなこんな感じになるんじゃないかなって。

身体の不自由な人をじろじろ見ちゃいけませんって風潮が今もあります。まあ別に不自由じゃなくても、人をじろじろ見るのは失礼に当たりますが、特に相手が身体の不自由な人だとなるべくその不自由な部分を見ないようにするって気持ちが働いて、見る方の見方そのものが不自由になるというパラドックスがあったりします。

でもスポーツ・エンターテインメントってよおく見るもんだよね。見られる方は「俺を、わたしをよく見てくれ」ってやってるし、見る方はそれに応えてよおく見ます。見ていいんだ。見ちゃいけないものはないんだ。よおく見ていいんだ。見るとすごくおもしろいし、感動したりするとこが未来的。

なかなかやるな、2012年。

立ち上がれ
そうだ、簡単なことじゃない
立ち上がれ
そうだ、簡単なことじゃない
立ち上がれ
そうだ、簡単なことじゃない

俺たち、自分が自分らしくいられてすごく感謝してる
だから何度も同じことを言うが気にしないでくれ
こういうシンプルな言葉がカラダにいいんだ
おかげで犯罪ライムなんか用無しになる

そうだ、そうやって生きて愛すればいい
何も気にすることはない
5000人のリーダーたちは誰ひとり恐れなかった

騒げ、今こそ奴等をビビらせろ
自分の力で立ち上がれ
今もそれが一番美しい