ConcertLive から6月12日のワイト島フェスティバルでの PiL(Public Image Limited) コンサートを収録したライブアルバム「Live At The Isle Of Wight Festival 2011」が到着しました。
ここでも何度か紹介している通り、ConcertLive はコンサートのライブ録音をその場で CD に焼き、販売するサービスをおこなっている会社です。コンサート本編が終わったらすぐ、アンコールを演っている間に CD を焼いているので、コンサートが終了して会場を出るときにはもう CD が販売されています。一般的なライブ・アルバムというのは、ライブ録音に後から修正を加えたものが少なくないのですが、当然 ConcertLive の場合それはありません。すぐ CD を焼いて売らなくちゃならないので、そんなことする時間はないのです。
ヴォーカルの音のはずれたところ、演奏をトチったところなどぜ全部そのまま記録されて販売されます。コンサートというのは一種のお祭りですから、みんなで騒ぎながら会場で聴く分には細かな演奏ミスなど全然気にならない場合も多いのですが、後から録音したものを聴く場合そうはいきません。したがってこういうCDを販売できるのはライブ演奏に自信のあるバンドに限られます。
一発勝負の録音ですから予期せぬ機材トラブルなどもあり得ます。単独コンサートであれば普段以上に入念なリハーサルやサウンドチェックをおこなうことでリスクを大幅に減らすことができますが、数多くのバンドやクルーでごった返すフェスティバル形式のコンサートの場合はそれもままなりません。
今回のワイト島フェスティバルで PiL はそうしたトラブルに見舞われてしまいました。アルバム冒頭「技術的な問題が発生した。申し訳ない。」というジョン・ライドン(John Lydon)の声で始まります。その後いつもの「エンジョォォォイ!」という掛け声から1曲目「Public Image」が始まるのですが、なんか音のバランスが変です。トラブルはまだ続いているようです。ジョニーおじさんの声もかすれ気味でちょっと心配。歌いながら「Everything is broken!」とか悪態をついてます。あらら、ルー・エドモンズ(Lu Edmonds)のギターフレーズがズレた。小節の頭がわかんなくなっている様子。モニターの調子が悪くて自分たちの演奏がまともに聴こえないようです。
それでも2曲目の「Home」に突入しますが、状況は一向に改善しないどころが益々ひどくなっているようです。ジョンが歌詞を途中で変えて「こっちは何も聴こえないんだよぉぉ、アイキャーントヒア、ナッシィィィィング!!」と叫んで現状をサウンド担当スタッフにアピールしますがダメらしく、とうとう「こりゃひどすぎる」とあきらめて演奏を切り上げてしまいます。「もしサウンドがこのままなら、ホーム・スウィィィィト・ホーム、家にいたほうがマシだぜ!」なんて叫んでますが怒り心頭という雰囲気ではなく「しょーもねーなー」という感じです。
その後「2分間時間をくれ。一旦下がって修正してくる。ちょっと退屈するかもしれないけど、大人しく待っててくれるよな!」と言って一旦ステージを降りますが、無事原因がわかったらしく、すぐに担当スタッフと共にステージに戻って謝罪。ジョンが「全員、首をはねておしまい!(All heads will roll)」と言って笑いを取った後で演奏が再開されます。
最初の10分強はこんな感じなのですが、3曲目の「Albatross」からアンコールまで、残りの110分は怒涛のごとし、です。これまでの PiL のすべてのアルバムの中でもこれはベストかもしれない。「前作『ALiFE 2009』買ったから今回はいいかな」とか「YouTubeで結構色々見れるし」なんて思っている人がいたら大間違いです。限定版ですからすぐに買っておかないと後々後悔します。ジョンが「歴代 PiL の中でもベストメンバーだ!」と言っているのが実感できます。ひとつひとつの曲はオリジナルのアレンジから大きく変わっていないにも関わらず、ジョニーおじさんの声の勢いと演奏がぴったりマッチしていて曲が生まれ変わっています。特にアンコールの「Memories」と「Open Up」がすごい。
ルー・エドモンズ(Lu Edmonds)を甘く見ていた人は、今のうちに謝っておきましょう。
(2011/7/31 追記) 国内でも販売されることになりました。9月19日の発売予定です。Amazon で予約受付中です。
(2011/09/19 追記) CD 発売は10月10日に延期になりました。ただし Amazon MP3 と iTunes Store でのダウンロード販売は、予定通り本日から開始されています。
(2011/10/19 追記)今度は予定通り発売されたのですが、残念なことに曲順を間違えて製造したCDが出荷されています。