2012/03/18

BBC 6 Music 10周年記念の PiL ライヴ

UK - London - South Bank: Skate Pit under Queen Elizabeth Hall by wallyg
UK - London - South Bank: Skate Pit under Queen Elizabeth Hall, a photo by wallyg on Flickr.

ニューアルバム発売を前にして、PiL がライヴ活動を開始しました。第一弾は普通のコンサートじゃなくて、BBC ラジオ 6 Music 10周年記念のメイン・イベントとしてロンドンのクイーン・エリザベス・ホールで開催されたものです。つまりジョニーおじさんに「6 Music 10周年の顔」として白羽の矢が立ったわけです。英国放送協会 BBC の記念イベントでジョニー・ロットンが主役を努める、しかも場所はクイーン・エリザベス・ホールという、1976年には想像もつかなかった夢の組み合わせです。

思えば昨年7月、ニューアルバムレコーディング現場からの第一報が放送されたのも 6 Music でした。先日のニューアルバム発売決定も 6 Music でアナウンスされました。一連のニュースはほとんど 6 Music 独占、そして今回のコンサートです。どうやら「ニューアルバムに関するニュースは 6 Music に独占させる。だからわかってるよな、待遇は最上級で頼むぜ。」という話になっていたようです。

単にビジネス上の話だけでなく、6 Music の スタッフには「ピストルズや PiL と出会わなければ今の自分はなかった」なんて人がたくさんいるはずです。ジョンの友人のドン・レッツ(Don Letts)も今は 6 Misic に自分の番組を持っています。おそらく 6 Music 全体が「PiL のニューアルバムをプッシュしようぜ!」という感じなんじゃないかな。

ライヴで演奏されたのは新曲2曲を含む次の8曲です。

  1. Deeper Water (新曲)
  2. This Is Not A Love Song
  3. Disappointed
  4. Warrior
  5. Albatross
  6. Flowers of Romance
  7. One Drop (新曲)
  8. Rise

このコンサートでのライヴ演奏とインタビューは以下のリンク先で聴けるようになってます。ただしそれぞれ放送日から1週間の限定公開なので、お早目にどうぞ。

Tom Ravenscroft Show
2:33:00から。Deeper Water、This is not a Love Song, Warrior の3曲。
6 Music At The Southbank
1:40:00から。Albatoross、One Drop、Riseの3曲。
Peter Serafinowicz Show
2:06:00からジョン・ライドンへのインタビュー。
(放送のインタビュー部分は YouTube でも公開されました)

このほか今週は19日に Record Store Day お披露目パーティでのライヴがBoiler Room でストリーミング放送される予定です。ロンドンの19日夜7:00からで、日本時間だと20日の朝4時になります。20日は祝日ですが、前日は夜更かしせずに早めに寝て、目覚しかけとくのを忘れないように。

(2012/03/19追記)
ライヴのビデオも 6 Music Web サイトで公開されました。クイーン・エリザベス・ホールって椅子席で、普段はBBC交響楽団とかやってるところ。すごくやりにくそう。昔のロック・コンサートはこんなとこでばかりやってたんだけどね。

2012/03/14

PiL が Record Store Day のシークレット・ギグに登場

Record Store Day by Man Alive!
Record Store Day, a photo by Man Alive! on Flickr.

4月21日の Record Store Day に PiLが「One Drop」の限定盤アナログ EP を発売することは先日お伝えした通りですが、これに先駆け来週3月19日にロンドンで Record Store Day のお披露目パーティが開催され、そこで PiL のシークレット・ギグが予定されています。The Quietus のリークです。シークレットなのに一体誰がバラしたんだよ?って話に関しては pilofficial から「オラじゃねえよ」という声明が出ています。

As reported by those naughty monkeys at The Quietus... http://t.co/1DJjj9Gb It can't have been me I weren't there. 4 hours ago via TweetDeck ·  Reply ·  Retweet ·  Favorite · powered by @socialditto

ジョニーおじさんのビニール・フェチぶりは、あちこちのインタビューで頻繁に口にしていることなのでご存知の方も多いと思います。今回もこんなこと言ってます。

アナログ・レコードを手軽に入手できなくしたことが音楽業界崩壊の原因だ。レコードこそ生涯の伴侶となるものだ。ダウンロード音楽なんかに命は宿っていない。本物のヨメさんが欲しいのに、貧相な身代りで満足できる奴なんているか!

まあこの辺は偏屈じじいのたわ言と聞き流してもらってかまいませんが、若い人の中にはアナログ・レコードに一度も触ったことがないという人がかなりいます。最近は大袈裟なアナログオーディオセットを揃えなくても、USB でパソコンに接続できるレコードプレイヤーが安く入手できるので、いっぺん「レコードで聴く音楽」というのを体験してみるのもいいんじゃないかな?音楽を聴くという行為とその意味が「昔と今ではずいぶん違うんだなあ」と実感できるはずです。

話は戻ってシークレット・ライヴですが、Boiler Room でストリーミング放送されるようです。当然シークレットなので時間とか分かりませんが、たぶん日本時間だと20日の早朝になるはず。

2012/03/03

You're A Million - ザ・レインコーツ

The Raincoats @ ATP (Curated by Pavement), Minehead 05/2010 by DG Jones
The Raincoats @ ATP (Curated by Pavement), Minehead 05/2010, a photo by DG Jones on Flickr.

例によってどこもニュースにしないので、オラが謹しんでお知らせします。レインコーツ(The Raincoats)のおばちゃんたちが昨秋に引き続き、今月また北米ツアーに出ます。

まあツアーといっても6ヶ所だけなんですけどね。前々から9日の ATP 出演は決まっていたので、「1回だけじゃもったいないから、ついでに何ヶ所か廻ろっか?」ぐらいのノリなんだと思います。無理はしないんです。

無理はしなくていいんだけど、でも、もうそろそろ新作を出してもいいんじゃないかなあ。前作の「Looking in the Shadows 」から16年も経ってるんだし、また日本にも来てほしいし。

ビデオは2010年来日時のステージです。前にも書いた通り、レインコーツのライヴ・ビデオにはちゃんと撮られたのがほとんどないんですが、これは Contrarede が正式に撮影したものなので、画質、音質共にばっちりです。

曲は1979年発表のファーストアルバムに収録されてる「You're A Million」です。未練たらたらの別れ話を歌ったものなんですが、立派なおばちゃんになったレインコーツが歌うと、長年連れ添い、定年退職になったばかりの旦那に三行半を突き付ける歌にも聞こえます。切ないです。自分の怒りと悲しさだけじゃなく、相手の行く末まで憂えているようで、とっても切ないです。

だけどやっぱり、ヴァイオリンのアン・ウッド(Anne Wood)はセクスィでかっこいいなあ。子どもにはわかんないだろうけど。

もうおしまい

これでいいでしょう
私は誰も愛さなかった
雨があなたを濡らすことはなかったし
お日様があなたを暖めることもなかった

もうおしまい

これでいいでしょう
あなたは何も支払う必要なんてない
わたしは何も失っていないんだから
もう止めにしましょう
出ていってちょうだい

あとは何でも勝手にするがいいわ
もうあなたなんかに煩わされたくない
本当にイライラするの
四方を壁で囲まれてるみたいに

もうおしまい

これでいいでしょう
私は誰も愛さなかった
あなたとは、もう風前の灯
ずっとあなたを愛してたのに
あなたとは、もうおしまい
あなたのことが好きだったのに

わたしたちは風前の灯
わたしたちはもうおしまい

2012/03/02

ジンジャー・ベイカーのドキュメンタリー映画「危険、ベイカーさんに注意! (Beware of Mr. Baker)」

Ginger Baker by Zoran Veselinovic
Ginger Baker, a photo by Zoran Veselinovic on Flickr.

ジンジャー・ベイカー(Ginger Baker)というドラマーの名前、若い方はご存知ないかもしれません。やせっぽちのいんちき臭い風貌のじいさんで、似た感じの人はみなさんのご近所でもよく見かけると思います。

彼を有名にしたのは何といっても、エリック・クラプトン(Eric Clapton)、ジャック・ブルース(Jack Bruce)と共に結成したバンド、クリーム(Cream)としての活動なんですが、そのドラミングが後の音楽に与えた影響は、知名度以上に大きなものがあります。

40年以上前、アフリカのポピュラー音楽がまだ「後進国の遅れた音楽」としか見られていなかった時代に、ナイジェリアのフェラ・クティ(Fela Anikulapo Kuti)らと共演し、その音楽を世に紹介した人としても知られています。

ジャズとかロックとか民族音楽とかのジャンルの垣根を乗り越えた活動、というより「垣根?それがなんか俺に関係あんのか?」という感じの人で、もう70歳を越えてるんですが、最近になってもまだ女の人に騙されて大金をふんだくられたりしています。

ジンジャーは1986年リリースの PiL の「Album」でジョン・ライドン(John Lydon)と共演しています。fodderstompf.com の情報によると、Fishing、Round、Bags、Ease の4曲で彼がドラムを叩いています。お互い罵しり合いながらのレコーディングだったようですが、歴史に残る傑作が生まれる現場というのは往々にしてそんなもんです。

なぜか突然、そんなジンジャーさんのドキュメンタリー映画が作られて、今月9日から始まる SXSW で上映されることになりました。その映画のトレーラーがネットで公開されているんですが、冒頭で最大級の賛辞を述べているのはエリック・クラプトンではなく、我らがジョニー・ロットン様です。わはは、ざまあみろ!

これはジンジャー・ベイカーの映画だ。普通の人間にはない何かを持ってる男だ。正当に評価されていなくて、あいつの性格がいかにイカレたものに見えようとだ。

彼に神の祝福を。彼が道と共にあらんことを。あいつのお陰で俺は自分の道を切り拓くことができた。愛してるぜ、ジンジャー! ジョニー・ロットンは心底あんたに惚れてるぜ!

「文句があったら遠慮することはない、いつでも俺の鼻をぶん殴るがいい。あんたを訴えたりはしないさ。殴り返すだけだ。」 - ジンジャー・ベイカー

2012/02/27

セックス・ピストルズがユニバーサル・ミュージック・カタログ UK に移籍

久しぶりのセックス・ピストルズ(The Sex Pistols)に関するニュースです。先日の PiL の新レーベル設立に続き、ピストルズもヴァージンを離れ、ユニバーサル・ミュージック・カタログ UK に移籍しました。北アメリカに関しては元々ユニバーサルワーナーで変わりないのですが、他の地域はすべてユニバーサル・グループからの発売になるようです。今年は、ピストルズ唯一のスタジオ・アルバム「Never Mind The Bollocks Here's The Sex Pistols」リリース35周年になるのですが、その記念特別盤の発売も予定されています。

音楽は偉大な者の手で創られてこそ初めて、偉大なものになり得る。
セックス・ピストルズは、最も偉大なる存在だ。
ユニバーサル・ミュージックは、偉大な俺たちを迎え入れるに当たり、トロフィー保管庫まで用意した。
音楽は自然の模倣に過ぎないが、セックス・ピストルズは自然そのものだ。
だから俺たちに金を貢ぐのをためらうことはない。
ご静聴、感謝する。

ジョニー・ロットン

あー、そこのきみ、「なり得る」を「なりえる」なんて読むなよ。ジョニーが頭悪そうに聞こえるぜ。「なりうる」って読もうな。いいか、ジョニーおじさんとの約束だぜ。

2012/02/21

PiL、新レーベルの立ち上げとニューアルバム「This Is PiL」の発売日発表

Public Image Limited @ Glasgow O2 Academy by twistyfoldy.net
Public Image Limited @ Glasgow O2 Academy, a photo by twistyfoldy.net on Flickr.

つい先ほど PiL の公式サイトで、新レーベルの立ち上げとニューアルバムの発売日が発表されました

まず、アルバムに先がけて4月21日に Record Store Day 限定アナログ EP「One Drop」が発売されます。収録されるのは以下の4曲。

  • One Drop
  • I Must Be Dreaming
  • The Room I Am In
  • Lollipop Opera

そして待望のアルバム「This Is PiL」は5月28日に発売されます。これらは何れも、新しく自分たちで設立したレーベル「PiL Official」からのリリースとなります。

ヴァージン(現 EMI?)との契約がずっと尾を引いてゴタゴタしていたのが、どうやら解決したみたいです。結局、既存のレーベルとは契約せずに自前のレーベルを作ることになったのですが、うん、そのほうがいいよ、絶対。

One Drop には、俺が育ったロンドンのフィンズベリーパークという場所が反映してる。俺という人間を形作り、文化的にも音楽的にも大きな影響を及ぼした場所だ。この先も一生、あの場所とのつながりを忘れることはない。だが同時に、生まれた場所に関係なく、今も昔も、そして未来の若い連中にも共通する感情を歌ってるんだ。今年はロンドンでオリンピックがあるが、それでロンドンやイギリスのためになることが何かあるのか...

「One Drop」もう聴きました?みんな待ち切れなくて、SoundCloud にアップされている非公式なやつ(2月13日に BBC 6でオンエアされた内容を録音したもの)を聴いてるんだけど、ビットレートが低いせいか一部音が割れて聴こえるんだよね。早いとこ、この曲だけでも正式のちゃんとした音源をインターネットで公開して欲しい。今年のオリンピックのテーマソングにぴったりだと思うよ。

Public Image Ltd., 'One Drop'

2012/02/19

こんな陳腐な歌のいったいどこがいいんだ (I Can't Believe That You Would Fall For All The Crap In This Song - スパークス)

Ron and Russell Mael, aka Sparks by mellotrongirl
Ron and Russell Mael, aka Sparks, a photo by mellotrongirl on Flickr.

世の中には陳腐なありふれた表現の作品がたくさんあります。ありふれていると言うくらいですから、世の中にある大半のものは陳腐でありふれてます。ラヴソングなんか、その最たるものです。

でも、ありふれるくらいですからニーズはたくさんあるんです。多くの人が求めているものは、当然提供しようという人もたくさん出てきますから、似たようなものがたくさん出てくるのは仕方ありません。

ところが人は、自分の求めているものがありふれていることに気付くと、「ありふれている!俺が欲しいのは、こんなんじゃない!」と文句を言ったりします。とはいえ、じゃあ自分で作ってみろと言われると、やはりありふれたものしか出てこなかったりします。

ありふれたものが嫌いな自分が出せるものが、実はありふれたものしかないってこととに気付き、絶望してしまう人もいます。でもよくよく考えてみると、自分の言いたいことは、ありふれたことかもしれないけれど、それでも言いたいんだから、ありふれていたって構わない、言ってしまえ、歌ってしまえ、というのもありです。

それでとにかくありふれたことを力いっぱいやってみると、ありふれているんだけど、誰かがにっこり笑ってくれたりして、ありふれているんだけど、幸せな気持ちになったりします。

スパークス(Sparks)の歌というのは、昔からずっと、全部そういう歌です。この曲は振り付けもシンプルでわかりやすいので、力いっぱいがんばりましょう。健闘を祈ります。

きみが欲しいんだ
きみなんだ、きみなんだ、何より欲しいのはきみなんだ
きみを愛してる
きみだけだよ、きみだけだよ、きみだけを愛してる

こんな陳腐な歌のいったいどこがいいんだ
こんなくだらない歌にだまされるなんて信じられない

誓うよ
永遠に、永遠に誓うよ
一緒だよ
いつまでも、いつまでも一緒だよ

こんな陳腐な歌のいったいどこがいいんだ
こんなくだらない歌にだまされるなんて信じられない

きみが欲しいんだ
きみなんだ、きみなんだ、何より欲しいのはきみなんだ
きみを愛してる
きみだけだよ、きみだけだよ、きみだけを愛してる