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2013/11/23

俺は分泌物なんかじゃない (セックス・ピストルズ - Bodies)

A photo by sparkleplen_t on Flickr.

ちょっと遅くなってしまいましたけど、ジョン・ライドンの BMI Icon 受賞を祝して、セックス・ピストルズ時代の曲についてひとつ書きます。

セックス・ピストルズ(Sex Pistols)のコンサートで一番の大合唱になる曲はどれでしょう?God Save The Queen?Anarchy in the UK?それともPrettyVacant?うん、どれも一緒に歌う人はたくさんいるけどね、違います。曲が始まるやいなや会場を揺るがす怒涛のような大合唱が起きる曲は Bodies です。

どれほどの大合唱なのかというと、観客が歌ってるバージョンがピストルズの公式ライヴ・レコーディングになるほどです。日本ではライヴ・アルバム「FilthyLucre Live」に Buddies(相棒ども)というタイトルで収録されており、イギリスの場合はシングルのB面としてリリースされています。

Bodies は生きてる人間の体じゃなくて死体という意味です。何の死体かというと胎児の死体です。そして曲のテーマとして取り上げられているのは中絶、堕胎、abortionです。この曲を書いた当時のジョニー・ロットン(Johnny Rotten)はまだハタチかそこらでした。

ハタチかそこらの若いあんちゃんが堕胎をテーマに歌をつくった?しかもそれが何十年も歌い継がれるようなアンセムになった?そんなどう考えてもあり得ないようなことを現実のものにしたのがセックス・ピストルズであり、ジョニー・ロットンという人です。

一方この曲の歌詞をただ単に人口中絶をした尻軽女を(さげす)んでいるだけのものと受け取っている人も多いようですがそうではありません。ジョニー自身はこの曲について次のように言ってます。

俺はまだ幼いうちから現実というものを受け入れるしかない環境にいたんだ。俺が住んでいたのは便所が外にある二部屋しかない家だった。その家で母親が流産したんだ。もちろん母親を責めるつもりはないが、生まれていれば俺の弟か妹になって一緒に遊んだかもしれないものを、俺は片付けてトイレに流さなくちゃならなかったんだ。それがどんなにショックなことかわかるだろ。

俺は中絶反対派でも賛成派でもない。だが女性は自分で生むか生まないかを選択できるようにすべきだ。でも当時の生活はテレビドラマの"Steptoe & Son"をさらに醜悪にしたような世界だった。それでもあんたがあの曲を中絶反対の歌だと思うんなら、あんたは哀れなオマン...じゃなくてソーセージ野郎だ。

The Q Interview - I want to take the Sex Pistols to Iraq!

観客のひとりひとりが歌詞の内容を深く考え、感銘を受けて歌っているなんてことはあり得ません。そのサウンドと声と、言葉の断片からある種の悲しさとか怒りが自分の中にも湧き起こってきて、歌わずにいられないんです。

中絶したことがある人も、したことない人も、絶対しない人も、これからするかも知れない人も、恋人に中絶を求めたことがある人も、妻が黙って中絶したのに全然気付かなかった人も、よくわからない人もみんな一緒になって腹の底から歌います。Bodies です。聴いてください。

バーミンガム生まれの彼女は
赤ん坊を堕ろしたばかりで
精神病だった
彼女の名前はポーリン
森林破壊阻止を訴えて木の上に住んでいた

自分の赤ん坊を殺したどこにでもいる女
彼女は田舎から何通も手紙を送りつけてきた
だけどあいつは動物だった
最低の恥さらしだった

死体 - 俺は動物じゃないのに
死体 - 俺はケダモノなんかじゃないのに

工場の作業台の上で掻き出される
違法な堕胎が行われる場所
便所に置き去りにされた小さな包みの中で
小さな赤ん坊が叫びを上げながら死んでいく

死体が叫ぶ - こんなひどい扱いってあるかよ
俺はケダモノじゃないのに
これが中絶というやつなんだ

死体 - 俺はケダモノじゃないのに
ママ - 俺は出来損ないなんかじゃないのに

ピクピクと体を痙攣させ
喉をゴボゴボ鳴らして呪いの言葉を吐く
俺は分泌物なんかじゃない
排泄された蛋白質じゃない
ピクピクの痙攣なんかじゃない

あれもこれも糞くらえ
糞くらえなガキは糞を食え
彼女はあんな子ども欲しくないんだ
俺はあんな子ども欲しくないんだ

死体 - 俺はケダモノじゃない
死体 - ワタシは出来損ないなんかじゃない
死体 - ボクはケダモノじゃない
死体 - 俺は出来損ないじゃないのに

ママ...

2013/10/17

ジョン・ライドンが BMI London Award 2013 の BMI Icon 受賞

「俺はアイコンなんかじゃない、ジョニーキャン、アイキャンだ」

10月15日、ロンドンで2013年 BMI London Awards の授賞式が開催され、我らがジョン・ライドンが BMI Icon 賞を受賞しました

「BMI、何それ?デブの人のベストドレッサー賞?」と思う人がいても無理はないんですが、違うの。BMI ってのは Broadcast Music, Inc. の略で、音楽が放送やコンサートでの使われたときの著作権使用料を徴収するアメリカ本拠の非営利団体です。日本でいえば JASRAC みたいなもんです。

で、BMI Icon 賞ってのは「ある世代の他の音楽家たちに多大な影響を与えた類い稀(たぐいまれ)なソングライターに与えられる」もので、これまでにレイ・デイヴィスやヴァン・モリソン、ブライアン・フェリーなど錚々(そうそう)たる面々が受賞しています。ジョン・ライドンはそのような「ソングライター」のひとりとして選ばれたわけです。

以前 Rock and Roll Hall of Fame にセックス・ピストルズが選ばれたときは「俺たちがロックの殿堂入りを喜んで、2万5千ドルも払ってディナー・パーティに出席すると思ってんのか、バーカ」と言って授賞式に出なかったんですが、今回はたいへん喜んでいて UK ツアーの最中にも関わらず PiL のメンバーや妻のノラと一緒に出席しました。

審査員たちはほかの無難なやつを選んどけばいいものを、あえて俺の業績に注目してくれたんだぜ。俺からすれば、それがすごく大切なことなんだ。

俺は賞なら何でももらうってタイプの人間じゃない。この賞をもらうことにしたのは、それが俺にとってものすごく意味のあるものだったからさ。

あいつら(BMI)は俺たちに金が入るように日夜戦ってくれてるんだぜ。胸がアツくなるよ。

John Lydon honoured at BMI Awards

著作権といえば、普通バンドとして活動している場合でも著作権者としてクレジットするのは直接作詞や作曲に関わったメンバーの名前だけです。これがメンバー間の収入の差となって、後々関係がギクシャクするというのはよくあることです。

セックス・ピストルズやジョン・ライドンがそれまでの常識を破って始めたことは山ほどあるんですが「レコーディングに関わったメンバー全員の名前をソングライターとしてクレジットする」というのもそのひとつです。ピストルズがレコードを出した当時そんな例はほとんどなかったもんだから、みんなレコードを見て「あれ?曲のクレジットにメンバー全員の名前が書かれてる!」って驚いたものです。

後続のパンク・バンドもこぞってこれを真似したんですが、その意味を理解したのはずっと後になってからのはずです。今ではジャンルを問わず、色んなバンドが曲のクレジットにメンバー全員の名前を載せるようになりました。こんなところでも、後のバンドに大きな影響を与えてるんですよ、ジョン・ライドンという人は。

BMI のサイトでは著作権者のクレジットが検索できるようになっていて、たとえばシド・ヴィシャスがベースを弾いている「Bodies」という曲にはちゃんと本名の John Simon Beverleyでソングライターとしてクレジットされていることが分かります。今でもこの曲がラジオなどで流れる度に彼(の遺族)にお金が入るわけです。

ところで BMI 授賞式のニュース、NME を始めイギリスの商業音楽サイトにはなぜかほとんど取り上げられていません。同じイギリスでも先のインタビューを掲載した Evening Telegraph など一般のニュースサイトでは報じられているのに、商業音楽ニュースサイトはほぼ無視です。

理由はよくわかりませんが、どうやら BMI がアメリカ本拠の団体なのでイギリス音楽ギョーカイ的には取り上げたくないみたいですね。アメリカの著作権管理団体なのにロンドンにも拠点を置いて BMI London Award みたいに派手なイベントをやってるわけです。音楽著作権流通のグローバル化を見据えてイギリスでもアピールしたい BMI、「ここは俺の縄張りだぞ、入ってくんな!」というイギリス側、という構図なんじゃないかな。知りませんけど。

一方のアメリカ側は Rolling Stone が BMI Icon 賞、授賞式直前インタビューを掲載しています。

2012/12/22

1977年のクリスマスとセックス・ピストルズ

a cake with Sex Pistols written on it, the size of a car bonnet

最近、アメリカなんかでは「メリー・クリスマス」って言っちゃいけないそうです。世の中にはキリスト教だけじゃなくユダヤ教やらイスラム教やら創価学会やら色んな人がいるので「ハッピー・ホリデイズ」というのが政治的に中立で正しいということになっているそうで、街の看板やらテレビ CM などはみんな「ハッピー・ホリデイズ」になっているそうです。

ずいぶん昔に「宗教とまるで関係のない楽しいクリスマス」を確立してしまったわたしたち日本人からすると「いいじゃない、そんなに目くじら立てなくてもみんなで楽しめれば」って思うのですが、そうもいかないようです。この調子でいくと、2050年頃には「メリー・クリスマス」って言ってるのは日本人だけになっているかもしれません。いや、でもね、色んな宗教とか神様を差別せずに寛容に受け入れられる日本の文化というのは誇るべきものだと思うよ。

なんで日本人は色んな宗教に寛容なんだろう?それはですね、わたしたち日本人が今でも原始的な祖霊信仰の世界に生きてるからなんだと思います。日本人の大半は仏教徒だなんてよく言われていますが、仏教のことを調べてみると現在日本で仏教と呼ばれているものは元のゴータマ・ブッダの仏教とはまったくの別物であることがわかります。日本の仏教は土着の祖霊信仰と合体して日本独自のものに変貌を遂げています。

嘘だと思ったらそのへんのじいちゃん、ばあちゃんに「ホトケ様」と言って何を思い浮かべるか、尋ねてみるといいよ。ほとんどは家の仏壇とかに祀ってる亡くなった家族やご先祖さまのことを思うはずだから。日本人にとってのホトケ様というのは、ゴータマ・ブッダよりもまず自分に近い祖霊のことなんです。この祖霊信仰、現在も色濃く残っているがゆえに「色濃く残っている」ということがあまり意識されていません。

だってそうでしょう、普段「宗教?神様とか仏様とか、俺はそんなの関係ないなあ。考えてみたこともない」って言ってる人が「そういえば、親父の墓参り、もう何年も行ってないなあ」なんて言っても、誰も変に思わないでしょう?むしろそういう人が今の日本人の主流です。この墓参りに行けなくて何となく後ろめたく、申し訳なく感じる気持ち、これを祖霊崇拝と呼ぶのですよ。

だからホトケ様といえばまず死んだ親父とかばあちゃんのこと。もちろん自分ちだけじゃなくよその家にもホトケ様がいて、ホトケ様の世界にも序列とかがあって、そん中で一番エラいのがゴータマ・ブッダ=お釈迦様ってのが日本のごく普通の仏教です。

だからわたしたちにとってキリストというのは西洋のエラいホトケさんで、アッラーといえば「ほう、イランとかイラクではそういう名前のエラいホトケさんがいるんかい」という調子で、だからすべての神様を簡単に受け入れることができるんです。「メリー・クリスマス」だって「たまには西洋のホトケさんのお祝いをしたって別にバチは当たらんだろ」でオッケーなんです。

しかしながら世界には唯一のホトケ様しか信じられないという人が結構な数を占めているため、そういう人たちに対してわたしたち日本人はこれからも「まあまあ、メリークリスマスくらいで、そんなに目くじら立てなくても」と(なだ)めていかなければならない使命を負っているのです。

イギリス人のジョニー・ロットンもわたしたちと同じように「唯一絶対のホトケ様しか認められないなんてナンセンスだ」という考えを持っているようです。彼は「Religion」という曲でキリスト教世界を批判し、「Four Enclosed Walls」という曲をイスラエルで演奏して「アッラー」というフレーズをユダヤ人の聴衆に合唱させるなど数々の偉業を成し遂げてきました。彼はクリスマスをどう思ってるんでしょう?彼の考えは明快です。子どもたちからケーキとサンタを取り上げるな、取り除くべきは宗教の方だ、です。

子どもの頃、クリスマスがどんなに楽しみだったかおぼえてるか?子どもたちはクリスマスが大好きなんだ。だから絶対にクリスマスを厄介なものにしちゃいけない。クリスマスから宗教的な意味を取っぱらえばいいんだ。

John Lydon predicts anarchy in the UK for 2011: "Riots are a good sign"

1977年のクリスマス、イギリス、ウエスト・ヨークシャー州ハダーズフィールドの消防士たちは待遇の改善を求め、約3ヶ月にもおよぶ長期ストライキの真っ最中でした。当時の詳しい状況はよく知らないのですが、そこまでやるからにはよほどのひどい労働環境だったはずです。一方、消防士という仕事の性質上、ストライキに対する社会的な圧力もハンパなものではなかったはずです。

ストライキの間、消防士たちには給料が支払われずその家族は窮乏状態のままクリスマスを迎えることになったのですが、そこに手を差し伸べたのは我らがセックス・ピストルズでした。昼間のナイトクラブを借り切ってクリスマス・パーティーを開催、送迎バスをチャーターして消防士の子どもたちを招待したのです。

当時そのパーティーに招待されたクレイグとリンジーという名の二人がその思い出を語った2004年のインタビューが BBC のサイトに載っていたのでご紹介します。

クレイグ: お金は全部ピストルズが出してくれたんだ。会場へ行くとそこはお菓子やレコードがいっぱいあって、どれでも好きな物がもらえたんだ。10歳くらいの子どもたちが Never Mind The Bollocks (知ったことか、くそったれ!)って書かれたT シャツを着て走り回ってたよ。子どもがいっぱいで大騒ぎだった。

リンジー: 何もかも、本当にびっくりだったわ。テーブルにはザクロやオレンジなんかの果物でいっぱい。彼らはわたしたちのために、本当に夢みたいなものを用意してくれたの。

その年のクリスマスは、わたしたち消防士の子どもがたくさんのプレゼントをもらえるなんて、本当ならあり得ないことだったのよ。すごく大変な時期だったの。クリスマスには家族で集まってプレゼントをもらうのが楽しみだからみんないい子にしてたんだけど、両親は労働争議の真っ最中で、給料も支払われていなかったから...。

クレイグ: ...あれで親父の肩の荷が下りたんだと思うな。「そうだな、(ピストルズのパーティに)行かせた方が、子どもたちは楽しく過ごせるのかもしれないな」って考えたんだと思う。もしあのクリスマスを家で迎えていたらって考えると、やっぱりあそこへ行って良かったんだと思う。

リンジー: それまで見たこともないような光景だったわ!

クレイグ: ピストルズの4人が出てきて「Holidays In The Sun」を演奏したんだ。シド・ヴィシャスが子どもたちに向かって唾を吐いたもんだから、ジョニーは「止せよ、いつものファンとは違うんだぜ。みんな小さな子どもじゃないか」なんて言ってた。ジョニー・ロットンはこういうのが大好きみたいだった。すっごく楽しそうで、ケーキに頭から突っ込んだりしてた。指についたクリームをなめながらみんなにケーキを勧めてたんだけど、終いにはみんなに髪の毛をクリームまみれにされていたよ。

家に帰ったときはバッジやステッカー、T シャツやら LP レコードやら、おみやげでいっぱいだったことを憶えてるよ。でもしばらくするとそれは物置行きになって、やがてそのほとんどを母が捨ててしまったんだ。もし今も取ってあったら、ものすごい値打ち物だったのにな。そういえば同じように消防士の親を持つ小さな女の子がいたんだけど、ジョニー・ロットンは自分たちのゴールド・ディスクを皿代わりにしてケーキを乗っけてそのままその子にあげちゃったんだ。その後その子がどこに行ったのか、あのゴールド・ディスクがどうなったのか、もう誰にもわからないんだよ。

当時は親父がどんな問題に直面していたのか、まるで知らなかった。もちろん今ならわかるよ。俺たちもストライキをするからさ。その間、給料は支払われず、請求書だけが回ってくるんだ。今の俺たちのストライキはせいぜい2日くらいですぐに元の状態に戻るけど、親父たちがやっていたのは12週間から13週間にも及ぶ長期のストライキだった。13週間も収入ゼロだったんだ。ものすごくつらい戦いだったと思うよ。もし自分がそんな立場に置かれたらって考えるとぞっとするよ。

リンジー: あれでみんな気が晴れたの。両親に文句を言いたい気持なんか吹っ飛んだわ。最高のクリスマスを過ごせたんだもの。本当に信じられないほどの。

Happy Punk-mas in Huddersfield!

このパーティの模様はピストルズのドキュメンタリー映画「The Filth And The Fury (邦題: No Future)」にもほんの少しだけ映ってます。奇しくもこの日は(1970年代の)セックス・ピストルズがイギリスで演奏をした最後の日となりました。その聴衆がこの消防士の子どもたちだったのです。

みなさんも良いクリスマスが迎えられますように。メリー・クリスマス!

2012/04/18

ジョン・ライドン、God Save The Queen の再発に「くだらないキャンペーンで俺を煩わせるんじゃねえ!」

God Save The Queen by mirwav
God Save The Queen, a photo by mirwav on Flickr.

今年のイギリスは先日取り上げたタイタニック号100年やオリンピックなど、海外から観光客を呼び込める派手なイベントのネタに事欠きません。そしてもうひとつ、オリンピックの前に開催される大きなイベントがエリザベス女王の即位60周年記念式典ダイヤモンド・ジュビリーです。

これに便乗してレコード会社がセックス・ピストルズ(The Sex Pistols)のシングル「God Save The Queen」をジュビリーの週5月28日に再発することを決定しました。

「God Save The Queen」は35年前の1977年5月、やはり即位25周年記念のシルバー・ジュビリーの週に発売され、当時のイギリスで社会現象となるほどの大きな話題を集めたレコードです。ただしシングル・チャートでは2位にとどまったことで、王室関係者の圧力でチャートが操作されのではないかという陰謀説が流れたりしました

今回のキャンペーンは再発をきっかけに一部のファンが Facebook などで呼びかけている「今度こそ "God Save The Queen" をチャート1位に」というものなんですが、ジョニーおじさんのところへ問い合わせが殺到しているらしく、「くだらないキャンペーンで俺を煩わせるんじゃねえ!」という声明が急遽発表されました

「God Save The Queen」を今度のジュビリーの週末にチャート1位にしようという筋書きやらキャンペーンやらへの関与は、謹しんでお断わりする。俺の考えたことじゃないし、そんなことをしたいとも思わない。

俺はセックス・ピストルズとしてやったことを誇りに思っているし、もちろんこれからもそうだ。だが今回のキャンペーンはむしろセックス・ピストルズがやってきたことを台無しにするものだ。あんなの俺がやりたいキャンペーンじゃない。

セックス・ピストルズのレコードを若い世代が手に入れられるようになること自体は嬉しく思う。だが一緒に繰り広げられるくだらないお祭り騒ぎに加担するのはごめんだ。俺は今、パブリック・イメージ・リミテッドとしての活動で忙しいんだ。

2012年4月17日 ジョン・ライドン

5月28日にはパブリック・イメージ・リミテッドの20年ぶりのニューアルバム「This is PiL」が発売されます。ジョニーおじさんが仲間と共に全精力を注ぎ込んでつくった作品です。今あなたが住む世界と、今のジョニーおじさん自身のことを歌った「今」のアルバムです。もしセックス・ピストルズやジョニー・ロットンという人に興味があるなら、まずこのアルバムを買うことをお勧めします。

一方「God Save The Queen」は35年前のレコードで、このレコードが当時持っていた強力な意味は、残念ながら既に失われてしまっています。ただし21歳だったジョニー・ロットンとその仲間たちが音に込めたエネルギーは、時代を越えて当時を知らない若者に何かを伝えてくれるかもしれません。もしお金に余裕があるなら、手元に一枚「God Save The Queen」を置いておいて損はありません。ジョニーおじさんも「俺たちに金を貢ぐのをためらうことはない」って言ってますから。

2012/04/13

セックス・ピストルズ、オリンピック閉会式への出演を拒否

pretty vacant by Nesster
pretty vacant, a photo by Nesster on Flickr.

というニュースが報じられていますが、オファーがあったのは本当だそうです。NME 4月14日号でジョン・ライドン(John Lydon)とザ・ホラーズ(The Horrors)のリース・ウェッブ(Rhys Webb)が対談してるんですが、そこでこんな風に言ってます。

オリンピックのイベントに参加してくれないかと言ってきたんだ。で、連中が何を計画していたかというと、セレブたちが車の荷台のステージに乗っかってスタジアムを一周するあれだよ。ヴィヴィアン・ウェストウッドのドレスを着たナオミ・キャンベルがいて、マッドネス(Madness)が「バギー・パンツ(Baggy Trousers)」を演奏した後でピストルズが「Pretty Vacant」を演奏するんだと。でも「ヴェイカント」は止めてくれ、「プリティ」だけの検閲済みバージョンでやってくれってさ。もちろん返事は「冗談じゃない、誰がそんなもんやるか!」。

よく意味が分からない人がいると思うので無粋ながら解説しておくと、普通 vacant はこんな風にヴェイカント」と発音するんですが、ジョニーはアクセントの位置を変えて「ヴェイカント」と歌うんです。本来公衆の面前であまり口にできない言葉を、正々堂々と叫べる方法を35年前に発明したわけです。

まあオリンピックはまだこんなもんでしょうけどね。その点こないだ BBC 6 Music でピーター・セラフィノウッチ(Peter Serafinowicz)がやったジョン・ライドンのインタビューはなかなか気が効いてたんだよ。インタビュー最後の会話がこれ。

ピーター「本日はスタジオに来てくれてありがとう。それに"不適切な"言葉を使わずに行儀良くしていただいて恐縮です。BBC は放送であなたがカントリー・ライフ・バター(CUNTry life butter)とか言い出すんじゃないかとすごく心配していたんです。」

ジョン「みんな俺のことを、かなり虚しい(pretty va-CUNT)やつだと思い込んでるからな。」

このインタビューは YouTube にも上がってるんですが、残念ながら上記部分はカットされてます。

2012/02/27

セックス・ピストルズがユニバーサル・ミュージック・カタログ UK に移籍

久しぶりのセックス・ピストルズ(The Sex Pistols)に関するニュースです。先日の PiL の新レーベル設立に続き、ピストルズもヴァージンを離れ、ユニバーサル・ミュージック・カタログ UK に移籍しました。北アメリカに関しては元々ユニバーサルワーナーで変わりないのですが、他の地域はすべてユニバーサル・グループからの発売になるようです。今年は、ピストルズ唯一のスタジオ・アルバム「Never Mind The Bollocks Here's The Sex Pistols」リリース35周年になるのですが、その記念特別盤の発売も予定されています。

音楽は偉大な者の手で創られてこそ初めて、偉大なものになり得る。
セックス・ピストルズは、最も偉大なる存在だ。
ユニバーサル・ミュージックは、偉大な俺たちを迎え入れるに当たり、トロフィー保管庫まで用意した。
音楽は自然の模倣に過ぎないが、セックス・ピストルズは自然そのものだ。
だから俺たちに金を貢ぐのをためらうことはない。
ご静聴、感謝する。

ジョニー・ロットン

あー、そこのきみ、「なり得る」を「なりえる」なんて読むなよ。ジョニーが頭悪そうに聞こえるぜ。「なりうる」って読もうな。いいか、ジョニーおじさんとの約束だぜ。

2011/09/16

ジョン・ライドン、トロント映画祭に登場

Sons Of Norway by zaskem
Sons Of Norway, a photo by zaskem on Flickr.

先日紹介した映画「Sons of Norway」のプロモーションのため、ジョニーおじさんはトロント映画祭のプレミアショーに出席しました。いくつかのインタビューにも応じてます。カメオ出演しただけの映画にしてはずいぶんがんばるなと思ったのですが、出演や音楽提供だけでなく資金も一部提供し、エグゼクティブ・プロデューサーとしても名を連ねていたのでした。

映画のストーリーは Nikolaj Frobenius の自伝的小説をベースにしたもので、舞台は1978年、セックス・ピストルズが活躍していた時期のノルウェー、14歳の Nikolaj が主人公です。Tront.com のインタビュー記事ではこんなことを話しています。

Nikolaj に自分と共通するものを感じたんだ。パンク時代のあれこれじゃなく、おかしな点がさ。母親が出てくるところとか、いくつか俺の記憶を呼び起こすシーンがあるんだ。

それから父ちゃんが Nikolaj をヌーディスト・キャンプに連れてくシーン、俺がヒッピー世代に対して感じていたことをすっごくうまく表現してるよ。実に完璧にね。

映画を観てる間、すごく色んなことが頭の中をよぎった。ゆうべ他の観客と一緒に観たときは、ほかのみんなもそうなんだとわかってすごく感動したよ。こみ上げてくるものがあった。

映画への協力はすんなり決まったわけじゃなく、2009年暮れ、ちょうど PiL 再始動の頃、Nikolaj と監督の Jens Lien がストーカーまがいのしつこいアプローチを繰り返した末にジョンを説得したそうです。

あいつら、まるでイナゴの大群みたいだったんだよ。ギグには毎回付きまとって、ひっきりなしに電話がかかってきた。ほとんど嫌がらせだよ。だけどそれで興味を持ったよ。あいつらにとってはホントにホントに、そこまでして実現したいってことがあるってことだからさ。

話を聞いてみると、単に俺の名前を使いたいって話じゃなかった。映画のストーリーは純粋なもので、他の映画ではほとんど見られない現実の人間の視点で描かれていた。それも完璧に。つまりティーンエイジャーの悩み、増すばかりの苦痛、そして奇怪な行動をする両親とかさ。

それからこの記事「ジョニー・ロットンが皇室支持者に転向 (Johnny Rotten’s royal about-face)」なんてタイトルになってるんですが、言ってることはいつもと変わりありません。

彼女は魅力的だよ。俺は女王ばあちゃんが大好きだ。組織や体制に対する怒りと、特定の人間に対する怒りはまるで意味が違う。二つを混同すんなよ。

映画が日本で公開されるかどうかはまだわかりません。でも観たいな。次のビデオはまた別のインタビューですが、前に紹介したトレーラーよりもちょっとだけ長くジョンの出演シーンが観られます。でもやっぱり「ウンコだ!」としか言ってません。

2011/09/03

ジョン・ライドン、ノルウェーの青春映画「Sons of Norway」に出演

Shit by danximage
Shit, a photo by danximage on Flickr.

9月8日から開催されるトロント国際映画祭にノルウェーの「Sons of Norway」という映画が出品されているんですが、この映画にはなんとジョン・ライドン(John Lydon)がカメオ出演していて、YouTube にもトレーラーがアップされています。

映画は Nikolaj Frobenius という人の自伝的小説 Teori og praksis(Theory or Practice) をベースにした話で、友達や家族のことで悩み多き思春期の少年がバンドを作って云々というありがちなものみたいですが、サウンドトラックにはセックス・ピストルズ(Sex Pistols)の「God Save The Queen」や「Pretty Vacant」が使われていて、ジョン・ライドンは本人役で出演しています。

ジョンが出演するのは1シーンだけみたいです。時間は夜、場所はお城みたいな建物の雪が積もったバルコニー、ジョンは主人公の少年の隣に立ち、彼に人生の重要なアドバイスをします。

ジョン「シット! ようするに排泄物だ。」

少年「ハイセツブツ?」

ジョン「そうだ、ウンコだ!」

何に関するアドバイスなのかまったくわかりませんが、健全な青少年に対するアドバイスとしてこれほど的確なものはありません。

撮影自体は昨年2月におこなわれたもので、撮影時の様子はノルウェーの放送局のサイトで見られます

2011/08/06

英ナショナル・トラストがセックス・ピストルズの曲を無断でリリース

National Trust-branded Monopoly by HowardLake
National Trust-branded Monopoly, a photo by HowardLake on Flickr.

先日、英国で歴史的建造物や自然環境の保護運動をやってる団体ナショナル・トラストが「Never Mind The Dovecotes」というパンク・コンピレーション CD をリリースしました。この CD にはセックス・ピストルズ(Sex Pistols)の「Anarchy in the UK」と「Pretty Vacant」それぞれのデモバージョンが収録されているのですが、セックス・ピストルズ側には事前に何の連絡もないままリリースされたようです。

セックス・ピストルズはこのコンピレーション CD とは何の関わりもなく、またリリースにあたっての事前連絡も一切受けていない。この CD にはセックス・ピストルズの「Never Mind The Bollocks」の曲は一曲も収録されていない。収録されているのはデイヴ・グッドマン(Dave Goodman)がプロデュースしたデモ・バージョンの曲だが、どこから収録許可を得たのかも不明である。

JohnLydon.com | August 4th 2011

さらにサイトにはジョン・ライドンの声明文も掲載されています。

俺はナショナル・トラストのことを信用したいが、こんなことがあったのではこの先無理になる。

俺は2003年にラジオ CM に出演し、ナショナル・トラストの宣伝をしたことをとても誇りに感じていた。

だが今回のアルバムに関して俺にも、マネージメントにも未だ何の連絡もなく、過去にも一切そんな話をしたことはない。許可などクソくらえってことなのか?

いつも思っていたことだが、高い地位にある連中に限って平気で盗みをはたらくようだ。高度な会話術とやらはいったいどこへ行ったんだ?

まだ今のところ俺はいったいどうしてこんなことが起きたのか、合点がいかない。

俺はイギリスを愛してる。誠実な国のイギリスだ。

俺たちは今非常に不誠実な扱いを受けている。俺たちは今回の一連の出来事に関する説明と事態を改善する回答を心から望んでいる。

2011年8月4日 ジョン・ライドン

これを書いてる時点でまだナショナル・トラストのサイトには何の回答も掲載されておらず CD の販売は続けられています。誰がミスったのか、いい加減な仕事をしたのかわからないけど、早く謝ったほうがいいぞ。中途半端な対応すると、ジョニーおじさん本当に怒るぞ。向こう30年は事ある毎にナショナル・トラストがいかにいい加減な団体か言い続けるぞ。

2011/06/15

1978年のジョン・ライドン

ニュースサイト経由でジョン・ライドン(John Lydon)の珍しいビデオを見つけました。1978年、セックス・ピストルズ(Sex Pistols)を脱退して失業、PiL 結成のために金策している頃のインタビューです。

今になって見れば、ちょっと警戒心が強いけど、まだあどけなさが残る照れ屋のあんちゃんです。こんなあんちゃんを当時は「国賊だ!」みたいなこと言って、みんなして叩きまくってたんだぜ。昔のイギリス人の大人がいかに分別のない連中だったかよくわかると思います。

2011/03/01

ロッキングオンにはジョン・ライドンの自伝「No Irish, No Blacks, No Dogs」の完全版を出していただきたい

パブリック・イメージ・リミッテッド(Public Image Ltd.)の来日、サマーソニック(東京)への出演がアナウンスされました。大変めでたいことです。

ただ本来なら昨年末あたり製作に取りかかっていたはずのニューアルバムは、義理の娘アリ・アップの病死により延期されたままです。一方ツアーの予定は5月くらいから色々入っているので、当分アルバムを録音するヒマがない可能性大。来日に合わせたキャンペーンがセックス・ピストルズや PiL の旧譜ばかりというのはナンだなあ。もちろん聴いたことない人にはこの機会に是非聴いてほしいんですけどね。

そういえば1994年に出版されたジョン・ライドンの自伝「No Irish, No Blacks, No Dogs」、国内ではロッキングオンから「Still a Punk」というタイトルで翻訳版が出ているんですが、あれ実は大幅に内容がカットされているんですよ。これを機会に完全版を出して欲しいなあ。

1994年といえば、PiL は活動停止、セックス・ピストルズの再結成もまだ実現していないちょうど谷間に当たる時期でした。あまり売上げが見込めない中、原著の出版後、時間を置かずに日本語版を出しただけでもエラいなとは思います。値段を抑えるため、やむなくページを削らざる得なかったんだなとも思います。でもねえ、ホントに大幅に削られてるのよ。翻訳版で章がまるごと削られているのは、次の5つ。

13章 Paul Cook, Drummer
ポール・クックの話を中心に、ピストルズ初期についての内容。ジョンがジュークボックスをバックにアリス・クーパーの「Eighteen」を歌ったときの話もここに出てきます。
14章 "How Brilliant! They Hate the Beatles!" Paul Stahl, Marco Pirroni, & Dave Ruffy
マルコ・ピローニ(Adam & The Ants のギタリスト)、デイブ・ラフィ(The Ruts のドラマー)らによるピストルズ登場前後のイギリスの音楽シーンやファッションについての話。マルコのほかシド・ヴィシャスやヴィヴ・アルバーティンが参加、ジョンが Flowers of Romance と名づけたバンドには15名のメンバーがいて、一度もリハーサルをしたことがなかったそうです。
15章 Kiss This - The Pistols Track by Track
ジョン・ライドンとポール・クックによる、アルバム「Kiss This」の全曲解説。先日書いた、シドがアバのメンバーにサインをもらおうとしたときの話はここに出てきます。
18章 Big Draw, Then Hand on Face/Don Letss, John Lydon, and Jeanette Lee
ジョン・ライドン、ドン・レッツ、ジャネット・リー(一時 PiL のメンバーとしてクレジットされ、アルバム「Flowers of Romannce」のジャケットにも登場したお姉さん)による対談。ピストルズ脱退後、ジョンがドン・レッツ、デニス・モリスと共にジャマイカへ行き、ヴァージン・フロントライン・レーベルの立ち上げを手伝ったときの話やジョンがウンコ・サンドイッチをノラの友人に食べさせたときの話が出てきます。本のタイトルとなっている「アイルランド人、黒人、犬はお断り」の話もこの章で語られています。
20章 Never Mind the Lolling on the Sand, Here's the Affidavits/A Leagal Pie Fight
ジョンとマルコム間で争われた「グリッターベスト訴訟」と、ピストルズ解散前後の状況に関する関係者証言。

そのほかの章もあちこち削られています。病気で死ぬ前の母ちゃんをジョンがアメリカ旅行に招待した話とか、ピストルズのメンバーは音楽的な好みがバラバラで、一晩中話し合って判明した唯一共通の好みがドアーズ(The Doors)だったとかの話がばっさりカットされていて、オリジナルの7割くらいしか訳されていない感じです。

発売当時は先に述べたような状況だったとしても、なんだかんだで15年以上に渡って売れつづけてる本だもの、充分利益は出ているはず。ジョン・ライドンといえば、ロッキングオンの古参スタッフのみなさんが、昔ものすごくお世話になった人しょう?恩返しと思って、完全版を出したら?タイトルも原題通り「アイルランド人、黒人、犬はお断り」に直してさ。

(関連記事)
ジョン・ライドンの自伝はゴースト・ライターが書いた?
怒りはエネルギーだ - ジョン・ライドンの自伝第二弾「Anger is an Energy: My Life Uncensored」

2011/01/19

そもそもライドン家の辞書に口腔衛生なんて言葉は存在しなかった - ジョン・ライドン

John Lydon P.I.L. @ BML2010 by Clive Rowland Photography
John Lydon P.I.L. @ BML2010, a photo by Clive Rowland Photography on Flickr.

イギリスの新聞「ガーディアン(Guardian)」のサイトの Life & style というコーナー(「私の履歴書」みたいな感じ?)にジョン・ライドン(John Lydon)の短いインタビューが掲載されています。とってもすてきな内容なので訳してみました。

鏡で自分の顔を見ると、シミ、毛穴の黒ずみやニキビが見つかる。それを絞るのがおもしろくて止められない。鏡は角度を変えられる拡大表示タイプのものを使う。肌がまるで月面のように見えるんだ。

本当の髪の色は鼠色だ。赤毛になりたかった。もともと生まれたときはそうだったんだ。でなきゃブロンドがいい。ロスに住んでるから、そういう色なら実際にはサーフィンをしなくても、いかにもしてますって感じに見えるだろ。

俺のニックネームはロットン、歯に緑色のカビのスジが付いていたことからこの名前が付いた。そもそもライドン家の辞書に口腔衛生なんて言葉は存在しなかった。俺が家の中で歯ブラシを見たのは、親父がブーツを磨くときだけだ。

その後、俺はありとあらゆる病気にかかったが、不衛生な歯が身体全体の機能を狂わせる原因だったとは気づかなかった。1996年のセックス・ピストルズ(Sex Pistols)のツアーの前、ついに骨まで腐り始めたため、大掛かりな手術を受けるハメになった。今じゃ毎日フロスをしている。いいやり方を見つけたんだ。プラスチックのショッピングバッグの手さげ部分を使う。歯の隙間に具合良く入るんだよ。

好きなものは綿棒。安全ピンと同じでたくさんの使いみちがある。綿棒で鼻をほじるのが大好きだ。手鼻じゃ飛ばないようなやつが取れる。

俺は今54歳だが、年はまったく気にしちゃいない。たかだか半世紀生きて、ほんのちょっと変わっただけだ。

2010/12/14

すっげー虚しい (プリティ・ヴェイカント - セックス・ピストルズ)

セックス・ピストルズ(Sex Pistols)の曲、「プリティ・ヴェイカント(Pretty Vacant)」のオリジナル・リフは、グレン・マトロック(Glen Matlock)がアバ(ABBA)の「S.O.S.」からいただいてきたそうです。結果的には似ても似つかない曲になっていますけど。

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若い人はアバのビデオを観て「うわ、昔のバンドってこんな変な格好してたの?こんなの流行ってたの?」って思うかもしれません。いいえ、あんな格好は流行ってませんでした。当時もアバの異様さは突出していました。

ちなみにグレン・マトロックとシド・ヴィシャス(Sid Vicious)は二人共、アバの隠れファンでした。

俺たちはアバのファンを一人クビにして、同じポジションに別のアバファンを入れたんだ。(ジョニー・ロットン)

また、シドはストックホルム空港でアバの女性メンバー二人に出会ったことがあります。サインをもらおうと駆け寄ったところ、悲鳴をあげて逃げられてしまったそうです。

以上、ネタ元は No Irish, No Blacks, No Dogsです。

ところで、「すっげー虚しい(Pretty Vacant)」と歌うおじさんたちが、この上もなく充実しているように見えるのはなぜでしょう?

おじさんたちといっしょに歌いたい人はこちらを参照

2005/10/19

The Best of British £1 Notes - ジョン・ライドン

The Best of British £1 Notes」はむしろイギリスの音楽の歴史のようなものだ。自惚れで言ってるんんじゃない。真実だ。

Sex Pistols、PiL、ソロなど全キャリアを網羅したライドンおじさんのベストアルバム「The Best of British £1 Notes」、イギリスでは予定通りリリースされました。ただしほかの国では発売延期、ちゅうか発売未定です。

どうやら他国での販売交渉権を Virgin/EMI に渡さず、自ら契約交渉に当たっているもようです。イギリスでの宣伝すらレコード会社に対して「余計なことすんな、全部自分でやる!」と拒否したみたい。だからレコード会社の Web サイトにも載ってない。自分であちこちのインタビューを受けて宣伝してます。このおじさん、昔からこうなの。インタビューったら、いかにレコード会社がアテになんないか、自分でやることがいかに大切かって話ばかりなの。こうゆうモードに入ったということは本気で音楽活動再開しようとしている証。

知ってる人は良く知ってるけど、一般にはあまり知られていないジョン・ライドンの功績はたくさんあるのだけど、そのひとつが「曲のクレジットにメンバー全員の名前を載せる」というやつ。Sex Pistols や PiL の CD 確認してごらん。ちゃんと全員の名前載ってるから。ジネット・リーってお姉ちゃんがマネージメント担当のメンバー(?)として所属していた時期があるのだけど、そのお姉ちゃんの名前が載ってる曲だってある。後続のパンクバンドはみんなわけもわからずこれを真似したのだけど、ずっと後になってから「ああ、そうゆう意味だったのか」って気付いた連中多いはず。

The Rabbit Song はやっぱり新曲でした。以前 Nick Launay と一緒にレコーディングしているというニュースが流れたのだけど、そっちはボツになったそうです。でも弟の Martin と一緒に作った曲が既に10曲くらいあるそうです。The Best of British £1 Notes ツアーもやりたいって言ってるがな。

2005/10/06

Steve Jones インタビュー

ホントはパンクなんて大嫌いだ。パンクなんてほとんどがクソだ。俺はボストンとかクィーンとかスレイドみたいのがやりたかったんだ。

John Lydon インタビュー

「別にピンク・フロイドは嫌いじゃない。何度かデイヴ・ギルモアに会ったことあるけど、すごくいい奴だぜ。」

「ピストルズの大黒柱はポール・クックだった。世界一のドラマーだよ。あまり認められてるとはいえないけど、俺は、すごく尊敬している。」

The Sunday Times October 2, 2005

2004/05/05

きみにも歌える英語の名曲シリーズ 2: プリティ・ヴェイカント - セックス・ピストルズ

ごくごく一部で大好評、きみにも歌える英語の名曲シリーズ第二弾はプリティ・ヴェイカント(Pretty Vacant)です。

前回のボブ・ディランほど難しくはありません。普通は vacant を「べぇいかんと」と、頭にアクセントを置いて発音するのですが、この曲では「べぇい かんと」後ろを強調するのがポイントです。こうすること、普通テレビやラジオで発することのできない言葉を正々堂々と叫んでいるように聴こえるわけです。

ぜずのぉ ぽいにんあすきん にょげっのぉ りぷらい や

あ じゃす り めんば あ どんでぃ さあい
あい がっのぉ りずん いつ おぅ とぅまっち
よ おぅうぇい ふぁいんだす
あう とぅ らぁん ち

あ うぇい そう ぷれてぃ おうっ そう ぷれてぃ
うぇ べぇいかん と
あ うぇい そう ぷれてぃ おうっ そう ぷれてぃ
うぇ べぇいかん と

どん なすかす とぅ あてぇん かずうぇ なとぉる ぜぇ
あ どん ぷり てん こず あ どん けぇ
あ どんびりぃ びんるぅじょん
ずとぅ まっちぃず りある
すたっふ よ ちぃぷ こめん つぉ
こず うぃのぅ わっうぃ ふぃある

あ うぇい そう ぷれてぃ おうっ そう ぷれてぃ
うぇ べぇいかん と
あ うぇい そう ぷれてぃ おうっ そう ぷれてぃ
うぇ べぇいかん と
あ うぇい そう ぷれてぃ おうっ そう ぷれてぃ あぁぁ
あん なぁう
あぁ うぃどん けえ あぁぁぁぁ

ぜずのぉ ぽいにんあすきん にょげっのぉ りぷらい
あ じゃす り めんば あ どんでぃ さあい
あい がっのぉ りずん いつ おぅ とぅまっち
よ おぅうぇいず ふぁいんどみぃ
あ あう とぅ らぁん ち

うぇ あ だん らん ち

あ うぇい そう ぷれてぃ おうっ そう ぷれてぃ あぁぁ
うぇ べぇいかん と
あ うぇい そう ぷれてぃ おうっ そう ぷれてぃ あ
うぇ べぇいかん と
あ うぇい そう ぷれてぃ おうっ そう ぷれてぃ あぁぁ
あん なぁう
あぁ うぃどん けえ あぁぁぁぁ

うぃ ぷれ てぃ あ ぷりてぃ べぇい かんと
うぃ ぷれ てぃ あ ぷりてぃ べぇい かんと
うぃ ぷれ てぃ あ ぷりてぃ べぇい かんと
うぃ ぷれ てぃ あ ぷりてぃ べぇい かんと
あ うぃどん けえ あぁぁぁぁ

2003/10/03

KLF の Jimmy Cauty が John Lydon 様ご同伴で復活

お仕事せずにあちこちの Web をふらふらしていたらこんなニュースを発見。KLF の Jimmy Cauty が Blacksmoke なるプロジェクトで復活、しかも John Lydon 様ご同伴で BBC Radio 1 に出演していたらしい。いやあ、すばらしい。こういう人たちががんばってこそ、愛と希望の21世紀が本格的に始まるってもんです。Radio 1 のセッションはBlacksmoke のサイトで間もなく聴けるようになるらしい。しかし、すんごい見づらいサイト。

Sex Pistols 恒例の2003年秋北米集金ツアーは適度なキャンセルとともに無事終了。