2011/08/22

打倒ボブ・ディランのおぼこ姉妹デュオ (I Met Up With The King - ファース ト・エイド・キット)

First Aid Kit 010 by lactulli
First Aid Kit 010, a photo by lactulli on Flickr.

本日ご紹介するのはスウェーデンから来た姉妹デュオ、ファースト・エイド・キット(First Aid Kit)です。

3年ほど前、YouTuube で公開したビデオが評判となり、数多くのコンサートこなした後、昨年ファースト・アルバム「The Big Black & The Blue」をリリース、さらにジャック・ホワイト(Jack White)の目に止まり、今年の初めにジャックのプロデュースで Thirdman Reccords からもシングルを1枚リリースしています。2枚目のアルバムレコーディングも既に完了していて、9月からは US ツアーが予定されています。

つまりプロのミュージシャンとしてのキャリアはもう3年ほどになるのですが、姉ちゃんのヨハンナは1990年生まれで今年21歳、三つ年下の妹クララはまだ18歳です。

スウェーデン出身のおぼこ娘といってもさすがに今は21世紀ですから、二人はご両親のかけるパティ・スミス(Patti Smith)、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(Velvet Underground)やピクシーズ(Pixies)などを聴いて育ったそうです。ヨハンナはジャーマン・テクノにハマっていたんですが、妹のクララはなぜかカーター・ファミリー(Carter Family)などの古いアメリカン・カントリーが大好きで、13歳でギターを持って歌いはじめ、後から姉ちゃんも一緒に歌うようになったそうです。

ビデオはファースト・アルバムに収録されている「I Met Up With The King」です。ボブ・ディラン(Bob Dylan)を意識して書いた曲だそうです。並のおぼこ娘にはないサムシング・ウィズ・ダークネスがあります。ギターを弾きながらリード部分を歌ってるのがクララです。ヨハンナはエンディングでキーボードを頭で弾いてます。

王様に出会った
彼は自分の体が燃えてるんだって言ってた
王様に出会った
彼の体は腐りはじめていた
彼は
ぼくは以前と何も変わっていない
だから忘れないでと言ってた

だけど
誰も彼のことを信じなかった
誰も彼のことを信じなかった

ひとりのきれいな少女がいた
彼女は世界に恋をしていた
そしてある少年を愛した
少年は彼女の体が目当てで、心には見向きもしなかった
少年は彼女の持っていたものをすべて奪った
何も残さずせんぶ奪っていった

だけど
誰も彼女のことを信じなかった
誰も彼女のことを信じなかった

地面の泥の中に突っ伏すと
自分が王様になったような気がする
あの少女になったような気がする
みんな何かを考えていて
みんな何かを知ってるけど
私には何もわからない
歴史にとって、私たちは何の意味もない
神様、感謝します

あなたは私のことを信じる?
私のことを信じる?
きっと信じないわね
信じるはずないわ

2011/08/21

こわくないよ、ジョニーおじさんだよ、きみの味方だよ (Psychopath - パブリック・イメージ・リミテッド)

PiL @ Benicàssim by fiberfib
PiL @ Benicàssim, a photo by fiberfib on Flickr.

サマーソニック 2011 の大阪、東京への出演、そして新木場スタジオコーストでの単独公演と8月13日から3日間連続でおこなわれた PiL (Public Image Ltd.)の来日コンサートはすべて無事終了しました。Twitter などネット上にもこれらのコンサートに行った人たちの声がたくさん寄せられています。ジョン・ライドン(John Lydon)に関する評価をオラが独自に手法でまとめたところ、多かった声の上位三つは次のような結果になりました。

  • かっこいい!
  • チャーミング!
  • すごい声!

さらにこれらの結果を一言でまとめると「ジョン・ライドンはかっこいい!」です。

普通ではあり得ないことです。太鼓腹で前歯の1本抜けた55歳のおっさんが手鼻を飛ばしながら歌うのを見て「かっこいい!」ですって?認めたくない人も多いでしょう。ですが、アイムソーリー、あいにくこれは事実です。

おそらくは「かっこいい!」と言った人たち自身、自分が実際に目にするまでは信じられなかったはずです。でも今のジョン・ライドンが歌う姿は信じられないほどかっこいいんです。この事実が多くの人たちに認められたことをオラはうれしく思います。また今のジョンを「かっこいい!」と感じ、そう表現できる人が日本にもたくさんいることを、オラは誇らしく思います。

音楽はずっと変革を叫ぶ抵抗の音であり声だったし、もちろん今もそうだ。

他人のボディ・ランゲージを読み取る能力というのは、人間にとって最も大事な能力なんだ。今じゃいくらでも好きなだけ長い時間ネットの世界で暮らせるが、それだけじゃ人間が本来持ってるこうした能力を高めることはできない。ま、インターネット上のポルノはまた格別だけどな。

俺たちとオーディエンスの間にはすごく特別な絆があるんだ。(PiL のコンサートでは)自分自身を自由に解き放つんだ。それがたとえ三本足のロバみたいな踊りだったとしても恥ずかしがることなんかない。むしろそれこそが重要なんだ。

宗教的な体験に近いとも言える。それはすごく親密な空間で、自分のそうした体験を別の人間と共有するところなんだ。生きてることを讃える場であり、これこそが PiL の真髄だ。

パンクはネガティブなものじゃないし、そうであったこともない。PiL はパンクを進化させたものだ。PiL はあらゆるアプローチを可能にする。きちんとした曲の形式に沿って演奏することもあれば、そんなものを放り投げてしまうこともできる。

パンクはかくあるべしという考えに従う必要はない。パンクは形を持たない。それはあんたが正直に、誠実に、敬意を持って表現するなら、あんたが望むどんな形にもなりうる。

John Lydon - A Reluctant National Treasure

中には自分をうまく表現できない子もいますが、そんな子だってジョニーおじさんは見捨てたりしません。

ずいぶんおとなしいな。こわがってるの?大丈夫だよ、ジョニーおじさんだよ。きみの味方だよ。

‘Uncle Johnny’ brings the party to Preston

本日紹介する曲は1997年にジョン・ライドン名義で発表したアルバム「Psycho's Path」に収録されている曲「Psychopath」です。最終日の新木場ではこの曲も演奏されました。

「Psycho's Path」がスタジオ・アルバムとして現時点でのジョンの最新録音です。つまり14年間新しい作品は出ていないんです。本人はアルバムも作りたいし、ツアーもしたかったのにそれが不可能だったんです。レコード会社って、一体何が仕事なんでしょう?

ピエロの恰好をしたサイコパスが俺の中にいる
俺を引きずり込もうとしている

俺はそいつに身を委ねた

空の上に辿り着くと
悪魔と天使は俺を無視して通り過ぎて行った

俺はそいつに身を委ねた

溺れる者のように、藁をつかもうともがく
手にしたのは見えない条項が書かれた契約書

俺はそいつに身を委ねた

もう逃げられない
ピエロの恰好をしたサイコパスが俺の中にいる
俺を引きずり込もうとしている

「いったいどんな気分だい?」
友人たちが話すのは、そんなくだらないことばかり

俺が手に入れたものは
誰かの指図でそうしたわけじゃない
俺がまだ手にいれてないものが
俺に必要なもの

俺はそいつに身を委ねた

俺ができる最もおぞましいことは
お前にこの身体を差し出すこと
俺ができる最もおぞましいことは
お前にこの身体を差し出すこと

俺はきみにつきまとう
吹き出物のように
ブードゥーの呪いのように

俺はそいつに身を委ねた

俺がまだ手に入れていないものこそ
信じるに値するもの

多くの無意味なこと
多すぎて区別できない
多くの現実と虚構の混濁

俺がまだ手に入れていないものこそ
俺が欲しいもの

ピエロの恰好をしたサイコパスが俺の中にいる
俺を引きずり込もうとしている

罪の中に浸っていたい
心の落ち着く場所がない
俺の頭の中にあるもの
俺が言ったこと
俺がすること
奴らは俺を糊みたいにはりつけ
身動きが取れないようにする

俺ができる最もおぞましいことは
お前にこの身体を差し出すこと
俺ができる最もおぞましいことは
お前にこの身体を差し出すこと

亡霊たちが引き起こす頭痛
俺に棲みついている寄生虫
奴らが頭の中を走り回っている

俺ができる最もおぞましいことは
お前にこの身体を差し出すこと

2011/08/18

ルー・エドモンズのラテン風ロシア演歌 (Gulaguajira - レ・トリアボリー ク)

Les Triaboliques by StimpsonJCat
Les Triaboliques, a photo by StimpsonJCat on Flickr.

ね、言った通りでしょ。ルー・エドモンズ(Lu Edmonds)すごかったでしょ。甘く見ていた人、反省してください。そう言ってるオラもルーのすごさに気づいたのは「ALiFE 2009」からなので、あまり大きなこと言えませんけど。

彼が出すノイズ・トーンは電気的でありながら、どこかアコースティックな響きを残しています。どうやらそれは、彼が複弦の楽器を好んで使うところからきているようです。

普通のギターだとひとつの音を出す弦は1本だけですが、2本隣接して弦を張りそれを同時に鳴らすようにしたものが複弦です。2本の弦が共鳴することで1本では出せないような複雑な音色を生み出します。マンドリンや12弦ギターが複弦の楽器として良く知られていますが、サズもそのひとつです。PiL のアルバム「Happy?」では所々に妙な響きのギターの音が散りばめられており、オラはずっとジョン・マッギーオ(John McGoech)の出す音だと思っていたのですが、実はルーの奏でる複弦だったことに最近やっと気づきました。

PiL で出してるようなルーのサウンド、もっと聴きたいという人も多いでしょう。彼は PiL 以外にも実にたくさんのバンドで演奏しているんですが、「PiL のライブで聴いたルーのサウンド」を期待して聴くと肩透かしをくらいます。いや、もちろん他のバンドでやっている演奏にも素晴らしいものは色々あるんですが、今の PiL で出してるようなサウンドではないんです。逆に言えば PiL の復活に参加することで、それまでにはなかったルー・エドモンズのサウンドが開花したとも言えます。

ひとつルーの別の面を紹介しましょう。レ・トリアボリーク(Les Triaboliques)と言って、ジャスティン・アダムズ(Justin Adams)、ベン・マンデルソン(Ben Mandelson)それにルーという普通の人はあまり知らない変なおじさん三人組です。三人で国籍不明の妙な音楽を作り出します。ビデオの曲「Gulaguajira」はラテン風味のロシア演歌みたいな曲で、ルーがヴォーカルを担当してます。

ここでルーが弾いてる楽器は一見バンジョーのようなんですが、良く見ると複弦で弦が12本、しかもフレットレスです。手製のオリジナル品のようです。同じ楽器を使って「Flowers of Romance」を演奏しているビデオもありますので、ぜひ聴き比べてみてください。

(2015/10/07追記)楽器の名前が判明しました。ジュンブシュ(cümbüs)っていうトルコの楽器だそうです

2011/08/15

PiL at 新木場 スタジオコースト

凄かった…俺の目の前にジョン・ライドンいたんだぜ。暴れられなかった。終始固まってた。8月15日 via Keitai Web Favorite Retweet Reply


PiL、ベースの音凄すぎて背骨割れて骨髄液漏れるかおもたわ8月15日 via SOICHA Favorite Retweet Reply


楽しかった〜〜。ライドンのジジイホントすげぇー声量だ。8月15日 via yubitter Favorite Retweet Reply


ライドン先生かっこよすぎやで……ひとつひとつのポーズはどう考えてもカッコいくないのだが!8月15日 via Twitter for iPhone Favorite Retweet Reply


PiLめちゃくちゃかっこよかった!あの人、声でかい‼8月15日 via Twitter for iPhone Favorite Retweet Reply


やっぱりジョン・ライドンはLIVEな人だね8月15日 via モバツイ / www.movatwi.jp Favorite Retweet Reply


PiLやばいよPiL(´д`*)初の生ジョン・ライドンおいたん可愛すぎてどうしようかと思った。8月15日 via Echofon Favorite Retweet Reply


人を惹きつけてやまない人ってのがいるもんですなぁ。トンガった悪ガキの「ジョニー・ロットン」時代とまた全然違うチャーミングなジョニーにアンコール終わっても帰らないお客さん多数。菅さんにあのチャームが爪の先ほどでもあればなぁw8月15日 via Keitai Web Favorite Retweet Reply


ジョン・ライドン、完全に若返り&このバンドは本気なんだな8月15日 via Twitter for iPhone Favorite Retweet Reply


二時間を超える熱演だった。ジョン・ライドンそのほとんどで叫んでたよ。一曲目からラブソングだった。明日休みにしてて良かったというライブでした:) http://t.co/lARWuc28月15日 via PictShare Favorite Retweet Reply


PiL単独。バンドがタイトで重くて、たぶんライドン先生のお蔭だと思いますが、奇妙な浮遊感があって好きなタイプ。CDだと箱庭的閉塞感を感じたけど、ライブは拡がりが。息もあって、ラストはジョンがバンドも裏方も全部紹介するというファミリーぶりで、長く一緒にやってるのかなと思わせました。8月15日 via SOICHA Favorite Retweet Reply


PiL良かった。あああ、良かった。PAの前にいたので耳よりノドに効いた!すごかった。ジョンは凄い。頭の血管切れそうなくらい声張り上げて2時間20分もでシャウトしていた!凄い!8月15日 via TwitBird Favorite Retweet Reply


終わって電車の中。あっという間の2時間。ジョン凄いや。完璧。 http://img.ly/7m9N #pil8月15日 via Twitterrific Favorite Retweet Reply


今のPiL本当に凄いから絶対にこのメンバーでアルバムを残して欲しい。今日のライブ観た人は皆同意するはず。リリースは自主になるのだろうけど。8月15日 via Keitai Web Favorite Retweet Reply


PILはちゃんと生きて帰ってきたぁ(⌒~⌒)〃今までのPILの中でダントツで1番っしょ☆ルーは凄すぎだって( ̄∀ ̄)〃8月15日 via モバツイ / www.movatwi.jp Favorite Retweet Reply


8/15 public image limited 『もう一曲聴きたいか?よし、タバコ一本吸ってからな』→舞台からはけ、アンコール待ち。こういう然り気無いセンス、ジョン・ライドンて天才だなぁと思う。しっかし2時間20分ライブやって、涙目で愛してるぜ!って、こんなキャラでした?8月15日 via Keitai Web Favorite Retweet Reply


PiL超最高だった!!!スタジオコーストで今まで観た外タレでダントツで1番良かったです。ジョンライドン天才すぎる。キャイさんめちゃくちゃ興奮してました http://t.co/vJl5gAu http://t.co/0v526EG8月15日 via Echo (iPhone) Favorite Retweet Reply