2012/12/01

そして何か答が見つかったら、ぼくに教えてほしい (マニフェスト - ロキシー・ミュージック)

Roxy Music - Manifesto

ブライアン・フェリー(Bryan Ferry)のニューアルバムは過去のロキシー・ミュージック(Roxy Music)やソロ作品からセレクトしたセルフカバー集です。ただし1920年代風のジャズ・アレンジ、しかもあろうことかヴォーカル無しのインスト・アルバムでその名も「The Jazz Age」です。

普段ならここでニューアルバムをネタに与太話を書くところなんですが、昨今の状況を考えるとやはり今あの曲について書いておく必要があるという結論に逹し、敢てうんと古い曲をご紹介することにします。

会って話したこともないのに唐突に断言しますが、ブライアン・フェリー(Bryan Ferry)というのはものすごく自分勝手な人です。おそらく本人に悪気とか自覚のまったくない、天然タイプだと思います。

ブライアン・フェリーがロキシー・ミュージックのシンガーとしてデビューしたのは1972年です。ところがその翌年、1973年にはもうソロ・アルバムをリリースしています。しかもロキシーのメンバーがほとんどそのままレコーディングに参加しているにも関わらず、ロキシー・ミュージックではなくブライアン・フェリー名義なんです。普通「何でや?」って思いますよね。たぶん彼にしてみると「ロキシーとは違うことやってるし、そんなに変かな?あれ?前に話したよね?」という感じなんだと思います。1970年代はその後もロキシーのアルバムと並行して毎年のようにソロ・アルバムを発表し続けました。

ただそんな彼でも気付くほど他のメンバーとの関係がこじれてきたのか、1975年の「Siren」を最後にロキシー・ミュージックとしての活動を一旦停止、ブライアンはソロ活動に専念し始めます。大昔のインタビューでブライアンが「ツアーバスで他のメンバーに気を遣って、ほら、あそこにカンガルーがいるよ!とか言うのに疲れちゃったんだ。」なんて言ってたのを記憶しています。気を遣うところが違うだろうと突っ込みを入れたくなりますが、そういう人なので仕方ありません。

ただしその後もソロのレコーディングやツアーにはロキシーのフィル・マンザネラ(Phil Manzanera)やポール・トンプソン(Paul Thompson)がしっかり参加していて何だかわけの分からない人たちです。

そしてそのわけの分からないまま1979年に突然ロキシー・ミュージックの復活作としてリリースされたのがアルバム「マニフェスト (Manifesto)」です。今回ご紹介するのはそのオープニングを飾るアルバムタイトル曲です。

マニフェストというのは声明、宣言を意味します。ロキシー・ミュージックとしてのマニフェストです。ただしブライアン・フェリーがメンバーとよく話し合った結果この曲が生まれた、なんてことはあり得ません。間違いなくブライアン自身のマニフェストです。

マニフェストというのは他人に対して宣言するわけですから、言ったこととやってることがまるで違うというのでは信用を失います。もちろん人間、生きていれば諸般の事情というものがあり、臨機応変に変えていかなければならないことも多々あります。ですから、マニフェスト作りというのは、何があろうと決して変わらないもの、何があろうと決して変えてはいけないものを厳しく自分に問い、見い出す作業となります。

この曲の発表当時、マニフェストというのは一般の日本人が知っている言葉ではありませんでした。私はこの曲でマニフェストという言葉を知りました。そしてマニフェストというのは、こうあるべきものだと確信しました。

ブライアン・フェリーは今もこのマニフェストそのままに生き、歌い続けています。ぜひみなさんにも見習っていただきたいと思います。

ぼくは支持する
不意に襲いかかり
きみに欠けているすべてをもたらす
人生の転機を

ぼくは支持する
数字の順に色を塗るだけの生活に
突如吹き込む一陣の風を
詰み重ねが幸運につながる
さあそれはどうだろう

ぼくは友情と穏かな航海の(とりこ)
寄港地では熱狂で迎えられ
ただ愛に溢れて
激しく握手を交す

あるいは
明日を求める者にとっては
まったく無意味でもかまわない
どの町にも必ずいるだろう
束縛されるくらいなら
死を選ぶようなイカレた男が

ぼくは支持する
きみを死の淵に引きずり込むまで
鉄槌(てっつい)を振るう男を
彼のドリルは
百万マイルの彼方までも震わせる

ぼくは支持する
革命の女神の到来を
彼女がどこにいるのか知らない
だけどその場所はここだと言い切る者たちを
ぼくは知ってる

しばしばぼくは
不完全さに苦しんできた
大理石に入ったひびと
涙でいっぱいの
弱々しく疲れ果てた顔を
ずっと調べていた

ぼくは動機なく戦うために
どこでもない場所で生まれた男
根はその性質に逆らい
無理矢理ピンと張っている

ぼくを信じたほうがいい
出会うものに疑問を投げかけ
そして何か答が見つかったら
ぼくに教えてほしい

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