2012/08/29

アナログ・レコードに手を出すな!

Record Slow motion with needle
Record Slow motion with needle, a photo by kingdesmond1337 on Flickr.

「CD の音はダメだよ。MP3 とか iPod なんてもってのほか。やっぱ音楽はレコードで聴かなくちゃ。音の質感というかツヤが違うんだよねえ。それに何といってもあの大きなジャケット。」

中高年の音楽ファンがこんなセリフをほざくのを聞いたことはありませんか?何だか「お前が聴いてるのは質の低い音楽なんだ」って言われてるみたいで、すごくムカつきますよね。だいたいレコードなんてそのへんの店に行っても売ってない過去の遺物です。じじい共と一緒にさっさと滅びてほしい。レコードにこだわっていた人種といえば DJ がいるけど、あいつらでさえ最近はレコードはおろか CD すら使わなくなっています。

だいたいさあ、レコードって直径30センチもあるでかい円盤なのに、1枚50分くらいしか曲が入らないんですよ。しかも表と裏、別々に25分だって。25分経ったら続きを聴くのに円盤をひっくり返さなきゃ聴けないんだって。信じられる?

レコードってあれ、ただのビニールの円盤に溝を刻んでるだけでしょう。それをダイヤモンドでできた小さな針で引っかいて振動させて、それを電気で増幅して音を鳴らすだけなんだって。あまりにも原始的というか、それって安土桃山時代あたりの技術ですよね。それに針でビニールをこするわけだから、レコードは聴くたびにだんだん磨り減ってくんだって。「磨り減るほど聴き込んだ音楽」って、あれ例えじゃないんだって、本当に磨り減るんですって。アタマ悪過ぎ。

もそもさあ、あんなでかいレコードとレコードプレイヤーなんて持ち歩けないでしょう。電車やスタバで聴きたいときどうするんですか。聴けないでしょう。いや、そう思って「外で音楽聴きたいときはどうするんですか?」って尋ねたことがあるんですよ。そしたら「頭の中にしっかり音が刻まれた脳内ジュークボックスがあるから大丈夫。どんな場所でもすぐに好きな曲が聴けるよ」だって。アタマおかしい。

普通は iPod や iPhone で好きなときに好きな場所で音楽聴きますよね。連中違うんですって。新しいレコードが手に入ってもどこでもすぐに聴けるわけじゃないから「今日は真っ直ぐ家に帰って、ご飯食べて、あのレコード聴くぞ。今日は家に帰ったら、絶対あのレコード聴くぞ」って一日中考えながら、ずっと我慢して過ごすんですって。間違いなく変態。

AMP Magazine のサイト見ていたら、PiL のジョン・ライドンっておっさんのインタビューが載ってて、例によってレコードについて熱く語っていたんですよ。このおっさんはレコード・マニアで、20年くらい借金で首がまわらなくて座敷牢状態で新作を発表できなかったらしいんだけど、それでも自分で集めたレコードは手離さなくて、今はロンドンとロスの2箇所に大量のレコード・コレクション保管してるんですって。話を聞いてる若いインタビュアーがまた世間知らずで「ぼくもレコード・プレイヤー買います!」なんて言い出す始末。みんな、気を確かに持って!

Q: ここ数年、アナログ・レコードがまた盛り返してきていることをどう思いますか?あなたがアナログ・レコードの熱狂的支持者である理由も教えてください。

音楽を理解し満喫したいなら、アナログ・レコードを聴くべきだだよ。CD も高い技術レベルで製造すればいいものになるかもしれないが、今のところアナログ・レコードの質感には及ばない。あと何といっても大きさなんだよ。12インチのビニールの円盤は、アーティストが聞き手とその世界を分かち合うため、招き入れるために必要な大きさなんだよ。レコードの溝に指が触れないように注意しながら、真ん中のラベルに書かれた情報を見て、自分が今聴こうとしてるものを確認するんだ。俺が今までに買った一番高価なものはレコード・プレイヤーなんだよ。

Q: レコード・プレイヤーは今まで持ってなかったんですけど、そんな話を聞くと1台欲しくなりますね。

こういうジェネレーション・ギャップが生じた原因は、レコード会社の経営的な判断によるものなんだ。レコードを聴いてきた俺とレコードを知らないあんたは、聴いてきたものがまるで違うんだよ。レコード会社は CD というより安く音楽を製造する手段を得て、レコードを作るのを止めてしまった。安くなった一方で質が落ちた。で、知っての通りダウンロード音楽になるとさらにまた質が落ちたんだ。何か変わる度にすぐそれと分かるほど質が落ちる。ひどい話だよ。

PiL としての俺の立場から言えば、俺たちみたいな低音のぶ厚い音楽を聴くときは、インターネット経由で、しかもヘッドフォンを使って聴いたりすべきじゃない。自分の好みの音楽かどうかを確かめるにはそれでも用は足りるかもしれないが、大きな音で、ちゃんとした音の感触を楽しみたいのなら CD を買ってほしい。もっといい音で聴きたいならアナログ・レコードを買ってくれ。レコード・プレイヤーを置く場所が必要になるけどな。

Q: もうひとつ私が持ってないものが...

ああ、コンピューターを一式買うのに似てるよ。レコードで音楽を聴くには色々用意しなくちゃならない物があって、それが揃って始めて音が聴けるようになる。いずれにせよ、俺がやってるような聴き方は快適だぜ。大きなスピーカーのコーン紙が振動して部屋の中に響き渡る、これ以上のものはないよ。静電気のパチパチいう音がターンテーブルで鳴って、細かな音の隅々まで聴こえてくる。俺たちはでっかい部屋でレコーディングしたんだ。それを再現したいなら、部屋の中を音で満たすしかないんだよ。

Q: レコード・プレイヤーを買ってきます!

それがいい。世界が一変するぜ。

JOHN LYDON talks about the new album, the Occupy movement, Pete Townsend’s unsavory remarks about age, and Kickstarter

ああ、それからグルーヴ(groove)って言葉あるでしょう。「イェー、このグルーヴ、感じるかい?」のグルーヴ。グルーヴってレコードの溝のことなんですって。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

宮沢りえが母親の持っていたアナログをかけてみたら、目の前でアーチストが歌っていると錯覚するほどの迫力ある音にびっくりして、音楽専用ルームを新設したと言っていました。

匿名 さんのコメント...

私もアナログレコードからCDへの過渡期に生きた人間です。初期のアナログレコードプレーヤーはアイドラードライブといって、もろに駆動モーターのゴロ音を拾う代物でした。それがベルトドライブになり、今のパナソニックがナショナルの時テクニクスのブランドでダイレクトドライブを発売してオーディオファンをアッと言わせました。それに制御にクォーツロックが採用されましたが、それでもワウフラッターが0.01%でした。アナログレコードプレーヤーはレコード針からカートリッジで電気信号に変えるのですが、構造上マイクロフォンと同じでハウリングを起こしてしまいます。マニアはこのハウリング対策、ワウフラッター改善、カートリッジにどれだけの金をつぎ込んだのでしょう。それでもCDの物理特性、操作性には敵わなかったのです。CDが出たころは私も含めてデジタル信号の角ばっている音が聞こえる、耳障りだと揶揄したものですが...。アナログレコードの一番音質の良いのはダイレクトカッティングだと思いますが、これはSPレコードの時の製造方法でした。レコードもLP、EPになり、テープレコーダーが発明され先にテープレコーダーに録音してそれからカッティングするという手法がとられました。歌唱曲は先にオーケストラを録音しておいて後で歌手がアフレコするという具合です。今のカラオケですね。歌手がとちっても何回もやり直せるという訳です。先にテープレコーダーに録音するということでテープはリールに巻かれて保管するのですが、この時隣合わせたテープが転写という現象がおきます。これはテープに磁粉が塗ってありアナログ信号を記録するようになっているからです。レコードに針を落とすと、はじめに小さな転写された音が聞こえてくるレコードが何枚かありました。テープも2トラ38、4トラ、車載用に開発された8トラカートリジ、カセットテープ、音響メーカーの何社かが出したエルカセットなど、時代の流れを感じさせます。

wagamamaboy さんのコメント...

はじめましてです。レコードもCDと一緒で音の状態がいいのと悪いのありますね。サイプレスのレコード買ったらサイプレスなのに音が悪かった